キセキノハナ(20) 真実の行方 | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

〔何故なの・・・・あなた・・・〕


小鳥は小さく首を振り飛鳥を呆然と見つめる


「澪・・・」


「・・・飛鳥」


襲い掛かるカラスから庇うように澪を抱きしめている

飛鳥の姿が映りの守護者も黙ってみている


「小鳥・・・。君は何かに憑かれているのか?

 この祠に眠っていたものの正体は・・」


「鬼だ」


「鬼・・・・」


飛鳥の訪ねに答えたのは天野だ

二人の側に来ると二人を護るかのように

小鳥に槍を向けてちらりと振り向く


「鬼といっても、元は人間だ

 人を呪い・・・世界を呪った哀れな娘の成れの果て」


〔黙れ!黙れ!〕


天野の言葉を振り切るように

小鳥は髪を振り乱し、髪をかきむしる


〔私は何もしていない!勝手にお前達が私を鬼と恐れ

 私をこんな暗い所へ送ったのだろう!

 私が・・・・私が!!〕


小鳥を媒介として叫び続ける鬼の姿は

哀れに写る


〔お前を許さない・・・。私から何もかも奪うお前を〕


再び大地が激しくゆれ

地面が真っ二つに裂け始める

森にいた鳥たちは一斉に飛び立ち

木々たちはなぎ倒される


「ここは危ない・・・一旦引くんだ」


「でも」


〔そこは私の場所だ!〕


飛鳥の腕の中にいる澪をにらみつけ

小鳥は目を血走らせ、襲い掛かる

しかし、守護者が行く手を遮る


「いい加減にしろよ」


「力ずくで返すしかない」


「小鳥!」


「飛鳥!」


澪の静止を振り切り

小鳥の名前を呼ぶ飛鳥

しかし、小鳥には飛鳥の声すら届いていない


〔貴方は・・・私を愛してくれるといった

 私だけを・・・〕


「小鳥・・・・。目を覚ませ」


〔それなのに・・・それなのに!〕


いつの間にか手にしている剣

小鳥は飛鳥に振り上げ涙を流している


〔死んで・・・・私の為に!〕


「飛鳥!」


後ろから聞こえる澪の悲痛な声

ゆっくりと振り向き

笑顔を見せる


「いいんだよ・・・。これで・・・お前を救いたい澪

 そして小鳥も・・・」


振り下ろされる剣

守護者の声や、振り下ろされる剣が

ゆっくりなのを飛鳥はぼんやりと考えていた

このまま死ぬのも悪くない

小鳥も大切

けれど・・・・・・


「駄目!」


「「「「「姫!!」」」」」


澪の声、守護者の声に

目をつぶっていた飛鳥は目を開くと

自分を抱きしめる澪の背中を切りつける瞬間が広がる


真っ赤な血が飛鳥の頬に当たる


「澪!」


「・・・・よかった・・・・あなた・・が・・無事・・で」


飛鳥にもたれ掛かり力なく微笑む澪


「なんで・・」


「貴方を護りたいから・・・貴方の幸せを・・」


澪の言葉に飛鳥は言葉を失う

ゆっくりと身体を起こし

澪は小鳥と向き合うと両手を重ね深呼吸をし

言霊をつむぎ始める


「・・・・悲しき宿命(さだめ)の者を・・・柔らかな光に包み

 常世へと返したまえ

 我の力・・・今ここに・・」



澪の言葉が光となって辺りを包み込む





〔おのれ・・・おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!!〕