続あたれぽ -4ページ目

ウシとお坊さん(改題)

※基本は発売前、製品サンプルが出た段階で書いたものですが、発売後に状況が変わったため改訂しました。


ボイスドラマCD Zelfstandig「日本民話シリーズ」 第6弾『ウシとお坊さん』宮城県民話原作






イラスト:ほんだみちひろ


いやこれイラストレーター怒るだろ…なんでフェイドアウト処理はずした…?

原作 『ウシになったお坊さん』
録音時 『ウシとお坊さん』
製品サンプル 『牛になったお坊さま』
製品 『ウシとお坊さん』

ということみたいです。
牛=坊さんの話に『ウシとお坊さん』は違うと思いますね。実は牛になってなくて入れ替わっていたとかアレンジ入ってるなら別ですが。


このボイスドラマでは、お坊さん、お百姓、ウシ買い&隣のお金持ち、語り手の4人でチームを組み、それが数組分収録されているということで、新人声優(の卵)カタログといったところでしょうか。

Team HARUKA
石田泰弘 お坊さん
佐藤嘉津紀 お百姓
JJ池田 ウシ買い&隣のお金持ち
遙風 語り手

Team Kageyama
仙葉汐季 お坊さん
岩崎悠汰 お百姓
濱田凛 ウシ買い&隣のお金持ち
影山陽波 語り手

Team Myojin
志賀けい お坊さん
市川健太 お百姓さん
橘田拓哉 ウシ買い&隣のお金持ち
明神あい 語り手

Team Kojima
杉原枝利香 お坊さん
水沢レイン お百姓
稲垣昂志 ウシ買い&隣のお金持ち
小嶋乃愛 語り手

Team Asatsuki
結月とも お坊さん
三池ひなた お百姓
堀浩一朗 ウシ買い&隣のお金持ち
朝月のりこ 語り手

Team Akiy
宮本竜也 お坊さん
近江遥 お百姓さん
達上智名 ウシ買い&隣のお金持ち
アキィ 語り手

Guest
橋本あゆみ





このお話、わたくしは知りませんので、ちょっと調べてみました。

ウシになったお坊さん 宮城県の民話 <福娘童話集 きょうの日本民話>
優しいお百姓さんが旅の弘法大師に宿を貸して飯を与えると、大師は牛になって自分を売らせて大金をもたらした。
それを見ていた隣のお金持ちが牛になるのを目当てに通りすがりのお坊さんに無理矢理ご馳走すると自分が牛になってしまい、翌日お坊さんは牛を連れてどこかへ消えてしまった。

弘法大師





子牛が売られていく「ドナドナ」日本語版には2種類の歌詞があるようです(訳詞は両方とも安井かずみ)。
上の方はザ・ピーナッツの『かえしておくれ今すぐに』(1965年3月)B面「ドンナ・ドンナ」、下の方はNHK『みんなのうた』(1966年3月)岸洋子『ドナドナ』(「ドナドナ・ドーナ」から改題)が初出です。


(これ奥が深くて面白いので別に記事立てるかも。)

真似牛寺 | みちのく悠々漂雲の記/宮城県
貧乏なお百姓さんが旅の坊さんを泊めると坊さんは念仏も唱えずゴロゴロした挙げ句「怠けていたので仏罰に当たった」と牛になってしまい、お百姓さんは牛を使って農業実績を上げてお金持ちになった。
それを知った欲深なお百姓さんが牛になるのを目当てに通りがかった金光上人の世話をすると自分が牛になってしまった。金光上人が師の法然に助けを求めると法然が自分のフィギュアをくれたのでこれを囲んで一同で拝むとお百姓さんは元に戻った。

金光上人


法然上人


こちら年代、地名などが特定されてリアルです。昔話ではなくて「伝説」という扱いで、普通に考えたらこっちが元ネタっぽいですが、お寺が自分とこに箔を付けるというか由緒正しさ霊験あらたかさを主張するために改変してる可能性もあります。自分とこの宗派に合わせて登場するお坊さんが変わってます。牛は売って一攫千金でなくて仕事の道具になるだけで本人が働いてお金持ちになる辺りに説法ぽさを感じますね。

「欲深なお百姓は病をおこし、見るみるうちに額に角が生え、顔は人でありながら尻尾が生え、体は黒牛の姿になってしまった。」
というのでこれを思い浮かべましたが


件(くだん) 天保7年(1836)の瓦版/歌川芳盛(1830-1885)の浮世絵

これ知られたオカルト物件だったようで、悪百姓の抜けた角が残ってる!

遠野不思議 第七十三話「真似牛の角」 : 不思議空間「遠野」 -「遠野物語」をwebせよ!-

と思ったら何故か岩手県の寺にも角があるのだった!

遠野不思議 第八百三十話「真似牛の角と伝説の正体)」 : 不思議空間「遠野」 -「遠野物語」をwebせよ!-

ただしお話自体は宮城県のもので、遺物だけ岩手県管轄ということです。


このお話は山形県にもパクられていて(断定)、フジパンさんが朗読を公開している。

牛になった小僧(うしになったこぞう)- 山形県の昔話 - 民話の部屋 | フジパン

朗読はなんとセイラ・マスこと井上瑤さんだ! 必聴!



仏教界全体としては宗派関係なく共有しようということか、

『仏教説話大系』第38巻「日本の民話(一)昔話編」監修:中村元・増谷文雄 仏教教化出版センター/すずき出版

の「牛になった僧」では、出所不明の物語として、お坊さんは匿名で採録されています。次巻の日本の民話(二)は「伝説編」で、『仏教説話大系』の索引の巻でそちらには都道府県が記載されていますが、昔話編にはそれもありません。
気になったのは欲深な隣人を助ける時に「呪文を唱え」ることで、仏教の呪文て何かなと思ったら
仏教の呪文一覧。 - NAVER まとめ
ああ、真言、「オン・キリキリ」とかのあれね。サンスクリットをまんま発音してるという。
ではサンスクリットで「牛」は何と言うのだろうと検索すると、「go(ゴー)」というのと「ウクシャ」というのの二つが出て来て、goは「cow」の語源だと言うし、ウクシャは「ウシ」の語源だと言う。じゃあ、goは「牛」の語源だろうし、ウクシャは「ox」の語源じゃないかと思うのだが、その辺まで追求されてはいないようです。
「cow」と「ox」の違いは何ですか。 - 意味は両方とも「牛」ですけど。 - Yahoo!知恵袋


この話の成り立ちについては

地名由来 小牛田町(宮城県) - 全国肉用牛振興基金協会(PDF)

前半のみで完結している「牛飼長者伝説」というものがあり、

菱沼の往生寺 | ヒシヌマノオウジョウジ | 怪異・妖怪伝承データベース

後半のみの話がある。

どうやら元はひとつづきのお話ではなく、以前からあった小牛田の牛飼長者伝説に、それに触発された出来事が接続されているようです。
『ムカデ人間』と『ムカデ人間2』が合わさって1本になっているという形ですね。
花咲爺さんだのこぶとり爺さんだの舌切り雀だののフォーマットに則っているので据わりが良い。

ムカデ人間2 - Wikipedia
「前作『ムカデ人間』の直接的な続編ではなく、前作の映画を鑑賞した主人公が、映画の内容を自分で実行するという狂気へと呑まれるというストーリー。」


ところで、牛になった坊さんの話は他の地方にもあって、茨城県のこちらなんかは坊さんではなくて小坊主ですが、

金竜寺の伝説 牛になった小坊主のお話
食っちゃ寝してた小坊主が牛になったことをはかなみ、沼に入水したことから、牛を食う沼=牛久沼と名前が付いた。

東北のことは知らないが、関東者としては牛久は知ってます。
牛久と言えば大仏ですね。



Eテレ「青山ワンセグ開発」の『補欠ヒーローMEGA3』では第3話で数々のスーパーヒーローの手に負えなかった隕石を受け止める大活躍。飯塚貴士監督が牛久出身なんですね。(ところでNHKさんはホームページ削除するの早すぎます。)



大仏は動くものだというのは、あれを読んで以来あたりまえって漫画の話をしようと思ったんですけど、最初に読んだ時に「オオ~ッ」となったから読んでない人に教えるのはあまりよくないな……



これです。

あとこの辺はいいかな。


『魔法使いサリー』第97話「歩きだした大仏さま」の鎌倉大仏


『覚悟のススメ』の移動菩薩「G(ジャイアント)・ガラン」


『GANTZ』の大仏星人

しかしこのMEGA3の牛久大仏はイメージでいうと、大仏魂(だいぶっこん)ですね。


『歌のトップテン』第1回で吉沢秋絵のバックダンサーをする大仏魂さん。

大仏魂は『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』初期の人気キャラクターです。


この番組で「放送作家オーディション」という企画があり、実はわたくし、確か浦安フラワー通り商店街の復興計画という一次の書類審査は通りまして二次の川崎徹とかテリー伊藤が審査する収録まで進んだのですが(何十人もいる会場で二番目に名前呼ばれたので一次は好成績だったんじゃないかと思ってるんだけど)、みんな真面目にやっちゃったせいかバラエティとしては盛り上がらず(検尿とかふざけたの撮ったりはしてたんですけど)企画自体ボツになって放送されませんでした。

この大仏魂は、299万ドルでつくってくれるところがあるようなので、気になる方は是非。



千葉県にもありました。

まんが日本昔ばなし~データベース~ - なまけ坊主


怠け者の坊さんが牛になってしまい、仏にすがると供養塚を99個つくれと言われて、つくり終わると元に戻った。




富山県にはこんなお話

上市町ホームページ昔話
欲深くうぬぼれ強く見栄っぱり の心の悪い坊さんは、ある日、山登りの途中で牛になって人々が呼ぶのもかまわず山の中に消えていってしまう。

ただ牛になるだけって、中島敦『山月記』みたいだなあ。





坊さんが怠け者だったり偽物だったりで、牛になる理由としては罰というのが優勢のようです。

ところが仏教誕生の地インドでは牛は罰でなるものなどではなく、聖なる動物とされています。
これはヒンズー教のシヴァ神の乗り物とされているためです。



この牛はナンディン君というのですが、彼のお母さんがスラビーまたはカーマデーヌという名前で



また出ました、人頭牛身の怪物(孔雀みたいの入ってますが)。
一方、西洋で牛の怪物というと逆に牛頭人身のミノタウロスなんかが有名ですが



日本にも牛頭天王(ごずてんのう)というのがいて、例によってインドの神様から転じたに決まっているのですが諸説あるようなので割愛(スサノオとかまで出て来るし小難しいんですよ)。



これ牛っぽさがなくてつまらないのですが(失礼)、地獄の獄卒に牛頭馬頭(ごずめず)というのもいて(これは中国から来てるみたいです)、こちらの牛頭はちゃんと牛です。



ズバリ牛頭というタイトルの映画もありますが、深くは聞かないでください。

三池崇史監督『極道恐怖大劇場 牛頭 GOZU』(2003)


牛頭人身の怪物として鬼を上げたいところでしたが、あまりに多用な形態、丑寅の方角の丑から牛の角を生やしたデザインになったり(なのに一本角も多い←クリネックスのCM動画を貼ろうとしてチッてなった)、奥が深すぎて一朝一夕に取り上げるわけにもいかないようです。

お楽しみコンテンツ:鬼の面ギャラリー | でん六


なお牛鬼という妖怪もいますが、一般には(鬼太郎とかも)頭が牛で身体は蜘蛛っていう全然違うヤツなので注意が必要です。







さて、牛になったお坊さんに戻りましょう。

この宮城県のお話は江戸時代の成立のようですが、それ以前の牛になったお坊さんが変身譚でなくて転生譚として記録されています。仏教ですから輪廻の物語なのは納得です。


今昔物語集


延興寺の僧恵勝(えしょう)、悪業によりて牛の身を受くるものがたり (今昔 巻20 第20)
現代語訳「今昔物語」 - 牛になった僧侶
延興寺の恵勝という坊さんが寺の薪を人にあげてしまったが寺に返さないまま死ぬと、仔牛に生まれ変わり、薪運びに使役されていた。見知らぬ僧が「生前は読経とかちゃんとやってたのに可哀想」と言うと、仔牛は涙を流して死んでしまい、牛飼いは僧が変なことを言うからだと朝廷に訴える。天皇は僧を見て、人間離れした方だと思い、絵師たちに僧を描かせると観音の姿だったので驚くと、僧は消えてしまった。


『今昔物語集』は平安時代末期に編まれたもので、実はこの話は平安初期の『日本霊異記』にも書かれています。

日本霊異記(日本国現報善悪霊異記)


上巻20話

僧用涌湯之薪而与他作牛役之示奇表縁第廿
 釋恵勝者,延興寺之沙門也.法師平生時,涌湯分薪詘束,與他而死.其寺有一牸而生犢子.長大之後,駕車載薪,無憩所駈,控車入寺.時不知僧,在寺門曰:「恵勝法師者,涅槃經雖能讀,而不能引車.」牛聞,流涙長息,忽而死.將牛之人,嘖其僧言:「汝咒牛殺!」捉之申官.官將問状,請僧見之,面姿奇貴,身躰體妹妙而添.宴哩墨嘿居於淨屋,召請繪師,言:「如彼法師之容,不誤繪之持來.」奉詔持進之於官.官見之,皆觀音菩像也.彼師忽然不觀焉.諒委,觀音所示,更不應疑.寧所迫飢雖食沙土,謹不用食常住僧物.所以大方等經云:「四重五逆,我亦能救.盜僧物者,我所不救者.」其斯謂之矣.
釋惠勝者,延興寺之沙門也.法師平生時,涌湯分薪詘一束,與他而死.其寺有一牸而生犢子.長大之後,駕車載薪,無憩所駈,控車入寺.時不知僧,在寺門曰:「惠勝法師者,涅槃經雖能讀,而不能引車.」牛聞,流淚長息,忽而死.將牛之人,嘖其僧言:「汝咒牛殺!」捉之申官.官將問狀,請僧見之,面姿奇貴,身體姝妙而添.宴嘿居於淨屋,召請繪師,言:「如彼法師之容,不誤繪之持來.」繪師等,奉詔持進之於官.官見之,皆觀音菩薩之像也.彼師忽然不觀焉.諒委,觀音所示,更不應疑.寧所迫飢雖食沙土,謹不用食常住僧物.所以大方等經云:「四重五逆,我亦能救.盜僧物者,我所不救者.」其斯謂之矣.

日日是好日|第二十 僧が湯を沸かすための薪を他人に与え、死後、牛となって使われ、不思議な結果を示した話

観音が変化して畜生道に堕ちた僧を救う話し - ブログ坐神宮

お話は『今昔物語集』とまったく同じなので略。
『日本霊異記』はフルネームに「現報善悪」が入っているだけあって、悪行のため云々という語り口で、ラスト唐突に観音を信じなければならぬ、寺のものは盗んではならぬ等教訓が付いていますが、『今昔物語集』にも丸々引き継がれてます。


さらにこの話は冒頭の「序」に内容例として要約が書かれていました。



貪寺物,生犢償債(寺の物を貪り、犢に生れて債を償ふ)
てらのものをむさぼりうしのこにうまれてもののかひをつくのふ

奈良地域関連資料画像データベース 興福寺本 『日本霊異記』


さらに中国の経典に元ネタがありそうなのですが、もうそこまでは追っかけられません。


面白いのは民間伝承として「坊さんは牛に生まれ変わるものである」というのが広まっていたらしいことです。

牛に生まれ変わった僧侶 | ウシニウマレカワッタソウリョ | 怪異・妖怪伝承データベース
(牛に生まれ変わる僧侶) | (ウシニウマレカワルソウリョ) | 怪異・妖怪伝承データベース





むかしばなしを読み解く(読み解いてないが)のも存外疲れるものだなーと思い知らせてくれたボイスドラマCD『ウシとお坊さん』は2016年2月14日発売で、冒頭のリンク先で購入受付中です。また、各オンラインショップでも買えるようになるはずです。
(ちなみにわたくしフォームから発売前に『ウシとお坊さん』のタイトルで予約しましたが受付メール他なしのつぶてで未だ入手しておりません。)


杉原枝利香
お坊さんを演じる杉原枝利香さん


実写版『進撃の巨人』タレント事務所特典



映画のDVD/Blu-rayはソフト屋さんの他に出演者の所属事務所が通販してたりしまして、他ショップにはない特典が付く場合があります。
今回は発売が来週に迫った実写版『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(レンタルは先行して開始しています)についてまとめてみました。


三浦春馬(エレン)、渡部秀(フクシ)、平岡祐太(イズル)
所属:アミューズ
オンラインショップ:A!SMART(アスマート)

三浦春馬
http://www.asmart.jp/Form/Product/ProductList.aspx?shop=0&cat=200209
「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」
三浦春馬プリントサイン入り生写真(前後篇で別絵柄)

渡部秀
http://www.asmart.jp/Form/Product/ProductList.aspx?shop=0&cat=200219
「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙」
渡部秀プリントサイン入り生写真(書いてないけどそれぞれ別絵柄じゃないかなあ)

平岡祐太
http://www.asmart.jp/Form/Product/ProductList.aspx?shop=0&cat=200204
「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙」
平岡祐太プリントサイン入り生写真


長谷川博己(シキシマ)
所属:ヒラタオフィス
オンラインショップ:ありません


水原希子(ミカサ)
所属:エイジアクロス
オンラインショップ:ありません


本郷奏多(アルミン)
所属:スターダストプロモーション
オンラインショップ:スターダストショッパーズ

本郷奏多
http://bl.e-fanclub.com/STARDUST/artist.asp?jid=2&bunrui1=221&pageno=1
「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」
本郷奏多 劇中生写真(前後篇で別絵柄)

※スターダストさんは他に、大沢ひかる(イブキ)、田中仁(憲兵)が出演していますが、大沢さん、田中さんのページから買っても本郷くんの写真が付いてきます!


三浦貴大(ジャン)
所属:アノレ
オンラインショップ:ありません


桜庭ななみ(サシャ)
所属:スウィートパワー
オンラインショップ:「coming soon」になっていますが、有料のモバイルサイトがあるようなのでそちらで何かあるかもしれません。以下、有料や登録制のファンクラブとかについてはわかりません。


松尾諭(サンナギ)
所属:エフ・エム・ジー
オンラインショップ:タレント関連グッズでなく、所属のアーティスト(絵描き)の商品を扱っていて「ぬりえ 日仏語版」とか惹かれるのですが、ここでは関係ありません。
http://fmg-shop.ocnk.net/


石原さとみ(ハンジ)、水崎綾女(ヒアナ)
所属:ホリプロ
オンラインショップ:主催の演劇・コンサートのプログラム、ミュージカルのCDが充実してますが、タレントグッズを取り扱っているわけではありません。
https://www.e-get.jp/webap3/gs/hew2rnco/index.jsp


ピエール瀧【電気グルーヴ】(ソウダ)、武田梨奈(リル)
所属:ソニー・ミュージックアーティスツ
オンラインショップ:さすがに音楽系の事務所らしく俳優部の商品はなくて、Tシャツとかタオルとかライブの物販商品を扱っているようなのですが、ううっ、「電気グルーヴ」と「石野卓球」があるのに「ピエール瀧」のページがありませんよ…。
http://www.rocket-exp.com/m/?site=R&ima=4348


國村隼(クバル)
所属:あっ、國村さんフリーなんだ。


意気込んだ割りにまとめるほど扱ってる事務所ありませんでしたが、よきところからお求めください。




つかこうへい事務所のサイン

長谷川康夫『つかこうへい正伝 1968-1982』(新潮社)の出版記念イベントでサインをもらい損ねた私ですが、サインへの執着捨てがたく…ではなくて、前回のエントリーを書くにあたっての検索で出て来た中に気になるものがあったので後追い調査してみました。

以下、敬称略です。



『つかこうへい正伝』 P.543
『前進か死か!!』では(中略)紹介されている俳優も、「根岸季衣」「風間杜夫」「平田満」「三浦洋一」「加藤健一」「井上加奈子」「高野嗣郎」「長谷川康夫」「石丸謙二郎」という前回からのメンバーと共に、「岡本麗」「酒井敏也」「かとうかずこ」「柄本明」「角替和枝」「大橋惠里子」という名が新しく並ぶ。
 この『前進か死か!!』は(中略)最後の『蒲田行進曲』の公演中には、俳優たちのサインが入ったものが、紀伊國屋ホールのロビーで売られ、そこにも長い列が出来た。

こちら私は写真集自体持っておりませんが、オークション等に出てまして、サインの見本もあります。



この6人の組み合わせのものは3つ見かけましたが、

A:根岸季衣
B:石丸謙二郎
C:風間杜夫
D:平田満
E:???
F:長谷川康夫

Eが誰だか出品者もわかってない。
じゃあ他の役者のサインを調べてみよう。

どう見ても最後の字が「一」ではないし、これ以前の時点で残念ながらつかこうへいと縁が切れていますが…三浦洋一。



同じく「一」ではないけど一応、加藤健一。



見るまでもなく(オイオイ)違いますね。

つづいて井上加奈子、そして形から有力候補である高野嗣郎はサインが見つかりませんでした。

新登場組から岡本麗。



わー、可愛いサインだな岡本さん……違いました。



ちゃんと漢字で検索してるのにどうしてこうなるのかわからないよgoogleさん。



予想通り角張った字で、でもハートが付いてる! 岡本玲に勝った!

酒井敏也もサイン見つからないですね。

かとうかずこは現在「かとうかず子」になっているのでサイン変わってる可能性が高いですが



柄本明。



奥さんの角替和枝は見つからない。

長谷川康夫の奥さんの大橋恵里子(本では「惠里子」になってるけど、当時の芸名は普通に「恵里子」でいいみたいです)もないだろうと思ったらありました!



いずれも違いますね。

とすると、やっぱり高野嗣郎かなあ。

いや待て、この最終公演は二ヶ月強も期間があって、風間杜夫が銀ちゃんを演じたのは後半で(千秋楽は11月7日なので上のサインは実に劇団解散2日前のものである)、前半の銀ちゃん役・加藤健一のサインが入ってる本があるはずだ。

ありました!



あ、加藤健一は今のサインと違いますね。



A:根岸季衣
D:平田満
E:???
F:長谷川康夫
G:加藤健一
H:???

あああ!
謎が増えてしまった…いや、この横文字のようなのは…




かとうかず子の下の、「k.kato」かな? これどうだ。



違うか。
かとうかずこは1980年3月末から放送のポーラテレビ小説『マリーの桜』を主演するに際してつかこうへい事務所から離れていますしね。


(数年前には主題歌がネットに上がっていたのですけど…)

そもそも『蒲田行進曲』の女優って根岸さんだけのような。

えーと、『つかこうへい正伝 1968-1982』つかこうへい 活動リスト
1982年(昭57) 34歳
9月
『蒲田行進曲』/紀伊國屋ホール
Aプロ(出演/根岸季衣、平田満、加藤健一、長谷川康夫、石丸謙二郎、萩原流行、高野嗣郎、酒井敏也)1~25日
Bプロ(出演/根岸季衣、平田満、風間杜夫、長谷川康夫、石丸謙二郎、萩原流行、高野嗣郎、酒井敏也)29日~11月7日

ふむふむ……あれ?

萩原流行?




(基本五十音順で、根岸トメ)

長谷川さん、一人忘れてます~。



左のがだいぶ違うので同じサインか自信なくなってきたけど、実はこれが一番新しい=疲れてるから歪んでる、ということにしとこう。時間軸は貼ったのと逆に右から左で。うん、これ同じ人の。で、最古のは「流行」わかりやすい。

ちなみに最近のは変わってるみたいで…。



(あとダークホースとして撮影の斎藤一男というのもちょっと考えてました。)

そしてHは高野嗣郎か酒井敏也の二択。
普通に見れば真ん中に「井」が入ってるわけで、最後のは「也」かなあ。

むう、再検索だあ!

あ、来た来た。



だいぶ変わってるけどこれ決まりですね。



A:根岸季衣
B:石丸謙二郎
C:風間杜夫
D:平田満
E:萩原流行
F:長谷川康夫
G:加藤健一
H:酒井敏也

高野嗣郎は…そもそも役者志望じゃないからサインはないとか?
いや気が向いたらもうちょっと探してみよう。

ちなみに石丸謙二郎の最近のサインは違うのになってるみたいです。



石丸謙二郎と言えば、イベントで石丸さん秘蔵の似顔絵Tシャツが披露されました。

『つかこうへい正伝』 P.437
ロビーには平田満の似顔絵が描かれたTシャツが並んでいた。つかが作らせ、販売したのだ。アイドル歌手のコンサートでもあるまいし、いまだかつて、どこの劇団がそんなことを考えただろう。これ以降、つかはことあるごとにTシャツを作った。次の『広島に原爆を落とす日』では、平田、風間、加藤の似顔絵が印刷されたもの(引用注:これが石丸所蔵品)。そして(略)なんと和田誠によるつか自身の似顔絵Tシャツが大々的に売られ、のちには山口はるみデザインの(略)根岸をモチーフとしたイラストが入ったものも作られた。

これに関して、幻のTシャツ企画を石丸謙二郎が語っていました(17分29秒~)。



「つかこうへいさんの舞台やってた時に稽古場に、あのー、大友克洋さん?―『AKIRA』を描いた―がおいでになって、まだ『AKIRA』を描く前だったんだけど、僕ら役者の、こう似顔絵を一人ずつ5人分ずーっと描いてくれたんですよ。それはTシャツにしようなんつって描いてくれて」

つかこうへいと大友克洋にどんな繋がりが!?

これはもう、角川書店しかないですね。
つかこうへいは小説については当時角川書店独占で出しており(担当編集者は見城徹)、また早くから角川映画ヒロインオーディションの審査員をする等、角川の芸能系とは非常に関係が深い。
薬師丸ひろ子の時
原田知世の時
いずれの逸話も執筆に関与した長谷川康夫が「大嘘」だと言う『つかへい腹黒日記』(シリーズ)に書かれています。何巻かはわかりません。



あと角川映画『金田一耕助の冒険』(1979年7月14日公開)の「ダイアローグ・ライター」をやっています(具体的に何をしたかは知りませんが。共同脚本ではいけなかったのか)。


等々力警部「それより、付き合わされる私の身にもなってくださいよ」
金田一耕助「いやあ、あなたのカインドウェアもなかなか決まってますよ」
ああ、これなんかはつかこうへいでしょうね(前回のタキシードの話とつながった~)。

そんな角川書店の発行する雑誌『月刊バラエティ』では、大友克洋が名作漫画をパロって遊ぶイラストエッセイ『饅頭こわい』を、つかブームたけなわの1979年8月号から1983年2月号まで全40回(+番外編あり)にわたり連載しています(ここで関係を持ったのが後の『幻魔大戦』キャラクターデザインに繋がったと思います)。

映画『蒲田行進曲』の記事が掲載されている1982年11月号(残念ながら表紙は角川春樹第一回監督作品『汚れた英雄』に取られた!w)の第37回では、最終回に向かっての総括か漫画じゃなくて饅頭の話をしていますが。




こちら著作権の問題などがあり単行本化されていませんので、全体像を知るには古書店か図書館を回らないといけないのですが、基本は漫画についてのエッセイなので、つかこうへい事務所訪問記などが書かれているわけではないと思います。

と、書いた後で知りましたが、石丸さん自分でお書きになってました~
さて、イシマル、25才の時だ。
つかこうへいさんの舞台の稽古が、
真夏に行われていた。
その稽古場に、漫画家が訪ねてきた。
<大友克洋>

25歳の夏ということは1979年で、『饅頭こわい』連載開始時ですね。
1979年の夏の公演は…

『つかこうへい正伝 1968-1982』つかこうへい 活動リスト
1979年(昭54) 31歳
8月
[パルコ7$シアター風間杜夫スペシャル]『広島に原爆を落とす日』/西武劇場(出演/風間杜夫、加藤健一、平田満、かとうかずこ、長谷川康夫、石丸謙二郎、高野嗣郎、向島三四郎、角替和枝)2~15日

え、あれ?



いや、1979年は大友さんは『ショート・ピース』や『ハイウェイスター』の頃で、今よりもっと生のデッサンぽさ出てるから、この絵は違うな。


(『ショート・ピース』はちゃんと旧版の画像引っ張って来たぞ)

まあ当時の絵ということで『饅頭こわい』第一回でも探してみるか。



こちら漫画ネタでなくて、「末広演芸会楽屋裏ルポ」ということなんですが、文字は潰れて何が書いてあるのか読めないですね。なんか若手芸人の準備体操とかかな。





ああ!?

『広島に原爆を落とす日』Tシャツじゃねーか!

「末広演芸会」って、つかこうへい事務所の稽古場か!

という情報はスペインの人らしき方のサイトから得たのですが、
ChronOtomo: Otomo Katsuhiro Chronology: ●ILLUSTRATED ESSAY● MANJUU KOWAI (饅頭こわい) #1

ご覧ください。第二回のページを。
ChronOtomo: Otomo Katsuhiro Chronology: ●ILLUSTRATED ESSAY● MANJUU KOWAI (饅頭こわい) #2

同じ絵に「つかこうへい劇団舞台稽古訪問」てはっきり書いてありました!
第一回貼り間違えてるね。日本語読めないだろうからしょうがない。ちょっと教えてあげたい気持ちはあるが…スペイン語できないからしょうがない。
※追記:このサイト様のアドレスから「ありがとうございました」とコメントをいただき、どうやら話が通じたらしく第一回の画像は削除されました。これがインターネット!(2016/02/09)

この様子だと、間に角川を介して遊び(陣中見舞い)に来たとかでなくて取材か。

描かれている人たち=劇団員はこんな感じか。



長谷川さんはわからない、というか正伝に何も書いてないから不在だったんでしょう。つかさんはお父さんの訃報で帰郷してる時期なんじゃないでしょうか。


サインより話のネタになるもの発掘できてよかったなあ(『饅頭こわい』が元々は漫画ネタの連載でなかったのは興味深い)。
古本屋で探す場合は表紙はこれです。


角川書店『月刊バラエティ』1979年9月号
(表紙を見ると単に「バラエティ」なのだが、私は昔から「月刊」付けて読んでいて、これはラジオCMか何かの影響かなあ。)


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つかこうへい本人のサインは私も数冊持ってるんですけど(シアターXでやってた頃、毎回サイン本売ってた)、巷に溢れているので特に紹介はしません(自分のはダンボール箱開けて探さないといけないし)。