「ヨーガ」でもよく出てくる言葉、「本性(スワバーヴァ)」って何だろう?
以下は、佐渡さんの第9演奏会に行ってから聴いた、フルトヴェング
ラー指揮の第9。
すべて実況録音である。
①1942年3月22日 ベルリン(英UNICON LP)
②1943年12月8日 ストックホルム(SETC LP→MDへ)
③1951年7月29日 バイロイト(東芝LP)
* EMI音源
④1951年7月29日 バイロイト(HMV盤からの復刻版 CD)
* EMI音源
⑤1951年7月29日 バイロイト(EMI CD)
* EMI音源
⑥1951年7月29日 バイロイト(フルトヴェングラー・センター CD)
* バイエルン放送局に残された音源盤
⑦1953年5月30日 ウイーン(キング CD)
テンポや年代が異なっても、「これは、まさしくフルトヴェングラーの指
揮」に他ならない、と分かる。
これが、フルトヴェングラーの本性に違いない。
世間の定評では、③~⑥までの、1951年7月29日 バイロイトでの
演奏が今でも最も彼の本性がよく表れた演奏とされている。
しかし、この実況録音は、 EMI音源とバイエルン放送局に残された音源盤があり、実際、聞き比べてみると違いが感じられる。
EMI音源の③~⑥は、テンポの揺れが激しく、実に凄い演奏である。
一方、バイエルン放送局に残された音源盤では、同じ演奏だということ
は分かるが、全体に冷たい音質で血が通っていない感じがする。
こちらは、別マイクによる当時の実況録音そのものらしい。
演奏後、フルトヴェングラーは「出来があまり良くなかった。」と洩らした
とされるが真偽のほどは分からない。
一方、EMI音源盤は、よく知られているように敏腕プロデューサーの大
物、ワルター・レッゲが、リハーサルと本番演奏を取り混ぜて編集した
ものである。
そのため、本来、フルトヴェングラーの演奏は、かくあるべきとして編集
したのではなかろうか。
しかし、この前書いたように、同じバイロイトの実況録音でも、カール・
ベーム指揮の「さまよえるオランダ人」は、編集されたことによって、逆
の結果となってしまったことを考えると、商品になるLPやCDって、一体
何なのだろうか、と複雑な気がする。
指揮者や演奏者の本性をよく捉えたプロデューサーや編集者の手腕
次第ということになるだろうが、当日会場で聴いた1回限りの演奏とは
いずれにしても異なる。
とにもかくにも、それだけフルトヴェングラーは特別な存在の指揮者で、
演奏日によって異なる同曲を、数多く聴いたものである。
現物は、もう処分して手元に残っていなくて、過去のブログに載せた写
真しかないが、LPのレーベルも当時はいろいろとあった。
(これは、ソ連に行った友人からお土産にもらったメロディア盤の第4)
(同じくソ連メロディア盤と同じ音源を、日本コロムビアが発売した
第3か第6?)
現在は、ほとんどがCD化されているので、彼の演奏は、ほぼすべて
聴くことができると思う。