第2話を読みました。
一言で感想を述べるならば、心の底からの主人公への共感、です。
読者の私たちが、主人公の少年に激しく感情移入することになります。
第1話は、ぐーっと少年に対する抑圧が続き、最後にヒトすじの光明を見ました。
第2話は、司書とはなにか、の紹介するストーリーから始まります。
司書は、書の守護者。書の管理・監修から物流までを担う、えりすぐりの人材のみがなれるあこがれの職業です。
そして司書の中でも最高峰に位置づけられるのが中央図書館司書、カフナです。
カフナは、英知の専門家として、多くの人から敬意を表される存在。
書を護るための高度なスキルを持つのです。
(カフナについてはこちら➡図書館の大魔術師に出てくるカフナってなに?)
第2話後半では、少年とカフナの一つのエピソードが展開されます。
このエピソードでは、少年の自然や科学への理解が非常に高いことが明らかになります。
少年はおそらく、読書を通じて、自然への理解や科学的洞察力を身に着けたのでしょう。
それにより、カフナの大事な本を守ることに成功します。
しかし、私の意見では、本を守ることやカフナと触れ合うことそれ自体よりも、少年がカフナの大事な本を読む時間を得たことに重大な意味があるように思います。
そのカフナの本を少年が読んだ際、少年は本に没入する感覚を得ます。
本と自分が一体化する感覚を得、読むページ読む文字がすべて自分に飛び込んでくる感じ。
あたかも、文字が浮遊し、命を得て動き出すような感じ。
文字は自分の脳を貫き、体を震わせ、感情を激しく揺さぶります。
(ここの画像美は本当に素晴らしいので、ぜひ単行本を手に取って実物をご覧ください。)
こんな体験、あなたはしたことがありませんか?
きっと誰しも、それなりの年数を生きると、そういった本との出会いというものがあるのではないでしょうか。
本に限定する必要はないかもしれません。
人によっては、音楽であったり、絵画であったり、映画であったり。
心がそれらと一体化し、突然涙があふれるようなことがあるのではないでしょうか。
少年はこのような経験をし、私たちも似たような経験をします。
その経験は、単なる経験というよりも、人間の根源的喜びにも直結するような特別な経験ということができます。
このような特別な体験を主人公と私たち読者が共有できるのは、おそらくは作者の圧倒的な画力のおかげなのだと思います。
魂を震わす力のある絵を描くことができる漫画家はそう多くはないと思います。
しかし、この物語の作者はその力量を持っているようです。
少年がカフナの本を読むことで没入体験を得、その結果少年と読者たる私たちを強固につなぎとめる。
このことによって、この物語は私たちの物語の一部となり、もはや私たちは物語から逃げられなくなるのです。
おそるべし、図書館の大魔術師。
ところで、少年の額にある傷が気になります。
1話でも気づきましたが、2話でも表現されているため、きっと意味があるのでしょう。
さて、この傷からどんな物語が紡がれるのでしょう。楽しみです。