いよいよ始まる、図書館の大魔術師。
すごく話題の物語だけに、わくわくがつのります。
さっそく第1話をよみました。
感想は・・・、
絵がきれい!
この一言に尽きるでしょう。
第1話のストーリーは、物語初回につき、主人公らしき少年の日常を描いています。
主人公の成長物語では定番ですが、物語は少年のネガティブオーラ全開状態で始まります。
どらえもんで、いつものび太がジャイアンからいじめられるシーンから始まるのと同じ。(のび太はいつまでも成長しないですが。。。)
主人公のつらい姿、失敗、苦しみをしっかりと描き切ることで、その後の主人公の成長を強調する狙いがあります。
でも、この手法をとるには、主人公の苦しみを描きながらも、読者をひきつけ続ける技量が必要です。
そこを物語の作者は、なんといっても圧倒的に美しい絵で読者の心をひきつけ続けます。
美しい自然の中で、とてもキュートな少年が悲しそうな表情を浮かべると、多くの読者がきゅんとしてしまうでしょう。
さらに、いたいけな少年に対して何もすることができない読者に代わり、少年の心に寄り添うかわいらしい動物が登場します。
この動物によって、読者はいじらしい少年のつらい状況を目撃し続けることに、かろうじて救いを感じます。
そして少年は、心の中に夢を抱いています。
夢は、いつの時代も子供たちの味方。
悲しいことがあっても、つらいことがあっても、夢は子供を守り続けます。
夢を見ることで子供は現実に耐え、そして足を前に踏み出す勇気をえることができます。
少年も、あこがれの土地を心に描き、いつか行ってみたいと願うのです。
さて、場面は1話の終盤。
少年があこがれの土地を思い描く中、希望と思しき存在が少年の村に近づきます。
この存在が、私たち読者に安ど感を与えます。
ここまで数十ページの間、少年の悲しい状況を受け入れつつ、どうにかならないものかとやきもきする読者。
そこに、ついに希望が訪れるのです。
まだ少年の状況が変わったわけでは全くありませんが、読者は「いよっ!待ってました!」と掛け声をかけたくなるような心境になります。
・・・というように、物語は冒頭からずっと重たく進みます。
その中で、みずみずしい絵が一服の涼風となって、読者をひきつけます。
正直、これまで漫画の絵のきれいさについてはあまり注目していませんでした。
絵のきれいさにかかわらず面白いものは面白いです。
絵が汚くても面白い漫画はたくさんありますし、絵がきれいでもつまらない作品もあります。
でも、この作品を読んで思いました。
美しい絵によって、読者は感情移入が楽になります。
かわいいものには愛着を、憎たらしいものには敵意を、救いには涙が出るほどの安ど感を感じられるようになるのです。
きれいな絵は、読者の物語への感情移入を楽にし、作者が意図する物語のアップダウンを素直に受け入れさせる効果があるのだと、知りました。
物語を壮大なものにする場合には、主人公の雌伏の時間をより長く、そしてよりつらく描かないといけません。
その間、読者を引っ張り続けるためには、美しい絵は強力なツールになります。
第2話が楽しみです。