日本の鯨食文化――世界に誇るべき“究極の創意工夫”(祥伝社新書233) | 誇りを失った豚は、喰われるしかない。

誇りを失った豚は、喰われるしかない。

イエスはこれを聞いて言われた。
「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」
(マルコによる福音書2章17節)

この本によると、今鯨の肉を食べたことのない

 

世代がいる。という記述には衝撃を隠せませんでした。

 

「固有の食文化こそが、民族性の基本である―。」

 

作者のこの主張には僕も激しく同意します。

 

 

 

 

 

 

僕も鯨の肉は竜田揚げや鯨のベーコンや刺身などで、

 

数えるほどしか食したことはございませんが、

 

滋味あふれる味だったことを覚えています。

 

この本は農林水産省出身の元官僚で、現在では大学で

 

教鞭をとっていらしている方がお書きになったものです。

 

鯨を取る漁のやり方に始まって、江戸時代に編纂された

 

というなんと 八〇種以上の部位を解説した料理本の紹介や、

 

現在の鯨漁やその生態系に関する話が懇切丁寧に

 

記されてあって、鯨食を推進する一人としては非常に

 

楽しく読むことができました。

 

そのなかで僕もこの本を読んで知ったのですが、

 

調査捕鯨で取った鯨が何を食べているかということに

 

ついて書かれた箇所で、彼らがスケトウダラやスルメイカ。

 

カタクチイワシなどをそれこそ人間の3~5倍もの

 

海洋資源を消費するということ。そして、その影響がもろに

 

出たのは北海道釧路市をはじめとする漁で栄えた港町で、

 

1980年代には120万トンもの水揚げ量を誇りながら、

 

2000年以降の現在ではその10分の1である12万トンほど

 

までに落ち込んでいるという記述を見て、適切に海洋資源を

 

保つためにはある程度商業的に捕鯨をせにゃあいかん

 

だろうな、という思いを深めた所存でありました。

 

そして、この本を読んでいてもっともショックだったことは

 

札幌はすすきのにある有名な鯨料理店である

 

「おばんざい くじら亭」

 

という鯨料理専門の店が諸般の事情により、閉店すると

 

女将から筆者のほうに連絡が行ったということでした。

 

僕はこの記述を読んで、一瞬、目の前が真っ暗に

 

なりました。この店は10年以上前にテレビで特集されたのを

 

見たのがきっかけで、いつか行ってみたいなと思っていた

 

店だったので、これを書いている今でも、ものすごくショックです。

 

鯨を食することは日本の食文化です。鯨を一匹捨てる

 

ところなく利用しつくして来たのは先人の知恵と技術の

 

結晶であることが改めてよくわかりました。この本を見て

 

「土佐のハチキン女」でおなじみの漫画家・西原理恵子さんが

 

好きな男は? という質問に

 

『日ごろはぐうたらでも鯨が沖で発見されたときにはいの

 

一番に船に乗って漁に出て鯨に銛を突き立てる男がいい』

 

とおっしゃっていたのがよくわかるような気がいたしました。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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