変わらない事は罪か否か。


↓本編。







私の名前は妹紅。

ひょんなことから蓬莱山 輝夜が宿敵になり、終わらない殺し合いを続けている。


軽くウン百年程。

毎日飽きもせず戦っている私達だ。


「どうしたんですか?妹紅さん」

「いや…。ちょっと考え事してた」


私の考え事に横槍を入れて来たのはシロと言う人間。

少し前、竹林で死にかけていたコイツを永遠亭に運んだんだ。


そのせいかシロは永遠亭に住み込み、輝夜の世話をしてるらしい。

なんとも物好きな人間だ。


「そういえば、最近輝夜が妙な感じなんだ」

「みょん?」


妙だ、と言い直してシロに向き直る。

ちなみに夕食のタケノコ取り中だ。


「最近やたらお前の話をするんだ。今日の献立やら、シロとどんな話をしただの」


これは安いフラグだ。

一般的に考えずとも、昼ドラばりの恋愛話なのだが妹紅は期待していた。


(奴を惚れる人間なら腐る程見たが、奴が惚れる男ってのはどんなもんなのか!?)


………長い間恋バナをしてないので、興味津々なのだ。

「姫様がそんな事を……」


「うんうん。かなり言ってたな」

「…………どうしよう」


「………は?」

シロがワナワナ震え出す。


「考えてみて下さいよ!女性はされて嫌な事は良く覚えるんですよ!?つまり、僕の奉仕が相当癪に障ったですね……」


妹紅は思う。

(コイツ馬鹿だな……)


お人よしで、恋愛に無頓着で、自己犠牲が得意な馬鹿野郎。


「確かに面白い奴だな…」


変わらない自分達に、変わった人間が一人。

長く生きる中で忘れ掛けていた、無邪気さを見せつけられた気分だ。


「輝夜は怒ってないさ。それは保障する」

「え……?怒ってないんですか?だったらなんで……」


「それは教えない。自分で考えろ」

ニヤリ顔でシロに向き、笑う妹紅。


困り顔のシロはオロオロするばかり。

(輝夜…。お前の気持ち、少し分かった気がするぜ)


心の中でそう呟き、妹紅は歩く速度を上げた。

「あぁ!?置いてかないで下さいよ~!」


変わり者の情けない声が竹林に響いて行った。






To Be Continue…
一年前の今日。


私は休みだった。

ついでに言えばパソコンでゲームをしていた。


時間は午後2時46分。
それは起こった。



グラリともドン!!とも言える大きな揺れが襲って来たんだ。


怖い、とは思わなかった。

まるで揺れている事が他人事の様に感じて居たのを覚えている。



その後は詳しく覚えていない。

ただ壊れ、失われ、消えて行った映像が頭にこびりついている。


私の住んでる場所は長野県の端っこ。

海から遠いし、津波を想像出来ない。


そんな割に震度5弱を記録した。




与太話が過ぎた。

今日は被災から一年の日だ。


一年前から比べて被災の意識は薄れている。

だが、これから先この日を忘れる事はできないだろう。



私は今日と言う日を忘れず、生きて行きたい
てゐの出番は失われ、輝夜は皆勤賞をとるだろう。



↓本編。






わかりやすい反応過ぎて逆にツッコミずらい。

「具体的にどんな事をしたんですか?教えて下さい。………怒りませんから」


ウドンゲの顔は笑っているが目がマジだ。

永琳も無言でプレッシャーを掛けている。


輝夜は逃げ場を失い、ついに観念した様に告白する。


「…………キスした」

「「…………あ"?」」


ウドンゲと永琳の顔が般若よろしく、深い皺と醜い感情で歪む。

ぶっちゃけ人に見せられる顔じゃない。


「キスってあのマウストゥーマウスで行う禁断の儀式……!?」

「古風に言えば接吻ですよ師匠!」


結構衝撃が大きかったのか二人とも壊れた。


「…だってシロは一人だったのよ」

輝夜は少し寂しい声色で話を始めた。


「あの子は外の世界でたった一人だったのよ。だけど人と関わりたくて、でも関われなくて……」

そして幻想郷に来た、そう輝夜は続けた。


外の世界から幻想郷にやってくる方法はたった一つ。

忘れられる事。


「シロは外で忘れられてしまった。だけど私なら忘れる事はないから。だから元気を出そうとしたの」


「………姫」

切実な輝夜の言葉に永琳は言葉を失っていた。


人間は自分より下で、どうでもいい存在だと考えていた姫様が、人間を励まそうとしたのだ。


これは小さいが、大きい変化だ。

「まぁ……。いきなりキスはやり過ぎだったわ。凄い恥ずかしいし………」


顔を真っ赤にした輝夜が自分の部屋に戻って行くのを、永琳は笑いながら見ていた。


「変わる物ですね。人も時も」

そんな一言が満月の夜に溶けていった。






To Be Continue…