慧音がかわいくならないのと、霖之助が唐変木にならない。


あれ……。これ慧音と霖之助の話だよな……?

↓本編







「ゴホッ!ゴホッ!!」

「本当に大丈夫かい?僕達は一度掛かると長引くからね」

人間の里の端、慧音の家。


布団で横になった慧音が苦しそうに咳をする。

彼女は半人半妖であり、人間と妖怪のはやり風邪には掛かりにくい。

のだが、掛かりにくいだけなので稀に掛かる。


今日の様に。

「ゴメン……霖之助ぇ」


「構わないよ。人間にしろ妖怪にしろ、風邪を引いた僕達に触れ合うと移ってしまうからね」

霖之助が苦笑しながら慧音の頭に濡れタオルを置く。


半人半妖同士だと風邪を移さない為、霖之助が看病しに来ている次第だ。


「さっきお粥を作ったんだ。よかったら食べてくれないか?」
「あぁ……。ありがたく頂こう」


顔を紅く染めた慧音がだるそうに身体を起こす。

寝巻き姿の慧音は非常に魅力的であり、普通の男性なら一目惚れするレベルだ。


…………普通の男性ならね。

「少し冷まして上げよう。味は期待しないでくれ」


慧音をガン無視でお粥を用意中の霖之助。

だがツッコむ元気もないのでノーコメント。


「ほら。あーん」

「ふぇ!?」


冷ましたお粥を慧音の口に近づける霖之助。

他意はない。


「食べないのかい……?」

「あぁ!いや、食べる!!」


ポーっとしてしまった私は急いで差し出されたお粥を口に含む。

程よく冷まされたお粥が口の中で踊る。


正直ダル過ぎて味なんて解るわけないが、

「……どうだい?」


なんて言われたら答えるしかないじゃない。

「凄く美味しいよ!霖之助」


不安そうに顔を曇らせていた霖之助が、パアッと明るくする。

こんな風邪の日でも幸せを感じられる。


そんな事を考えながら私は差し出されたお粥を食べるのだった。








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慧霖のカプは(百合だらけの)東方には珍しいノーマルですよね。

何故いきなり慧霖を書いてるか?


作者がノーマルの可能性に魅せられたから≡ω≡

↓本編






時刻は昼を過ぎた頃。

魔法の森の入り口の古道具屋、香霖堂。


その店の店主、森近 霖之助は本を広げ椅子に座っていた。

仮にも店なのだが、客が来なければやっていないのと同じである。


専ら霖之助が趣味程度にやってる店だから困る事はないが。

「お邪魔するぞ」


「あぁ。客としてお邪魔するなら大歓迎さ」

店の扉を開けて入って来たのは、手荷物を持った慧音。


いつもの教師姿より少しラフな格好だ。

「君がここに来るとは。寺子屋はどうしたんだい?」


「今日は休みなんだ。あんまり毎日やっても覚えてくれないからな」

霖之助のいる机に慧音が近付いて、手荷物を置く。


慧音が来たのに本を閉じる事をしない霖之助。

理由は客ではないからだろう。


「ところで霖之助。お前、お昼食べたか?」

「いや。昼はまだだね」


なら良い、と慧音が机の上に手荷物を広げる。

慧音は嬉しそうだ。


「実は食べてないだうと思って、お弁当を作って来たんだ……」

「へぇ。なんだか悪いね」


やっと興味を引いたのか、霖之助が本から目を離す。

いそいそと用意する慧音の顔は少し赤い。


「それで、何故ここに来たんだい?」

ビキッと慧音の額に血管が浮く。


鈍い。鈍すぎる。


「いやぁ。霖之助にいっぱい食べて貰いたくてさぁ♪」

箸を装備した慧音は、猛烈な勢いで霖之助の口に料理をぶち込む。


「ちょっ……!そんなに入ら……」

「え?もっと入れる?もー!そんながっつかなくとも良いのにぃ♪」


有無を言わさずに料理を残らずぶち込んだ慧音は、香霖堂から出て行った。



店に残されたのは動かなくなった霖之助。

「料理は残さず食べろよ!!」


戻ってきた慧音の一言に、霖之助がピクリとだけ動いた。


幻想郷は今日も平和。







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注意:このシリーズには2828要素や慧音が可愛い等の成分が含まr(ry


↓本編






「けーねせんせー。さようなら~!」

「あぁ。宿題をちゃんとやって来るんだぞー」


子供達が元気に挨拶し、帰って行く。

それを慧音は優しい笑みで送って行く。


「良い笑顔だね。君も女性だから母性本能が疼くのかもしれないが」

「……お前は女性に対する言葉使いを一から勉強してこい」


人間の里、寺子屋の入り口に上白沢 慧音と森近 霖之助が立っている。

「僕は君に頼まれていた教材を届けに来ただけだ。それと僕は口調を変える気なんてないよ」


「はいはい……。ったく口だけ達者なんだから」

霖之助が持っている荷物を寺子屋の中へ運ぶ。


慧音もその手伝い。

「昔は半人半妖が人間と一緒に住むなんて考えられなかったが、今じゃ寺子屋の先生だってやれる」


霖之助が荷物を運びながらそんな事を口に出した。

「どうした?いきなりそんな話をし始めて」


慧音が尋ねるが霖之助は答える様子がない。

盛大な独り言なのか?

「血や出生が重要視されなくなって、君も住みやすくなったんだろう?」

「まぁ……。里にも妖怪が遊びに来るくらいだしな」


「婚約者でも作ったらどうだい?」


ビキッ!!と空気が割れる音がした。

「僕達はいくら人間より寿命が長いとは言え、やっぱり死ぬ時は死ぬ訳だし。君も子供の一人や二人育てるのもありだろう」


「…………」

イライラする慧音に気付く事なく、霖之助は運搬作業を終える。


「それじゃあ僕は店に戻るから。また注文よろしく」


ピシャリと閉まった戸。

立ち尽くす慧音。


ワナワナ震え、やがて止まる。


「バカァーー!!」

恋する乙女みたい声を出して慧音はへたりこむ。


「私が好きなのは…。霖之助だもん…」


慧音の声は誰に届くでもなく霧散する。


夕日は慧音を残して寺子屋を紅く染めていく。






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