物語は徐々に加速する。


しかし今回は朱鷺子と慧音のお話。

↓本編






慧音が暴走した同日。

時は少し経ち、場所は慧音の家に移る。


「へぇー。お姉さん先生なのかー」

「まぁ一応だけどな……」


慧音の出したお饅頭を頬張る朱鷺子。

さっきまで泣いて居たのにやはり子供か。


「それでお姉さん。なんで店主の服着てんの?」

「うぐぅ……ッ!!」


突っ込まれない訳が無いとは思ってたが、いきなりですよ。

さてどうしたものか……。


「もしかして好きな人の服を嗅いで見たいとか言う、中二に多い症状だったりして!」

「……ッ!!?」


慧音は完全に動きを止める。

だが朱鷺子はケロッと言う。


「私、活字を食べて生きてるからさー。色んな本を食べて来たから知識はあるんだよね」


だけど、と朱鷺子は言葉を繋ぐ。

「人を好きになったって言う人を見るのは初めてだよ。先生、店主が好きなのかー」


「…………うん。好きだ」

顔が真っ赤なのが、自分でも解る。


だけど、相手が誰であれ真剣に話を聞いてくれる人に、嘘は付けない。

あぁ…でも恥ずかしい……!


「じゃ、私とライバルって事だな!」

「……え?」


むん!と胸を張った朱鷺子が言い放つ。

「私も店主は好きだ!優しいし!!」


「…………」

ポカーンと口を開けていた慧音に手を差し出す朱鷺子。


「だから、勝負だよ!お姉さん」

天真爛漫の言葉が似合う様な笑顔で、小さなライバルが笑う。


そこまで言われて、答えない訳に行かないじゃないか。

「望む所だ!霖之助は私が貰う!!」


この日、二人の女の子が一人の朴念仁を賭けた確かな戦いが幕を開けたのだった。







To Be Continue…
変態と無邪気な妖怪が出会う時、何かが起こる……のかなぁ?

↓本編






「お姉さん……誰だ!?」


「…………」

朱鷺子が慧音に声を掛けるが、慧音の反応は無い。


なぜなら、彼女の思考は1万倍に加速されているから。

(私がここで取るべき行動は、①逃げる、②言い訳、③襲うの三択……)


慧音は迷う事なく行動に移す。

「③じゃァァアア!!」


「ギャー!?お姉さんが壊れたー!?」

朱鷺子は危険を感じて逃げ出すが、覚醒した変態は誰も止められない!


「はい♪捕まえたぁ~」

「ふべっ!?」


扉から出ようとした朱鷺子を慧音が抱きしめる。

いつの間に前に回り込んだんだお前は。


「お話しようよ☆おは、お話しようよ☆」

「う……うぅ……」


慧音が暴走し過ぎてマ〇ド〇ルドの教祖化し、朱鷺子は恐怖で声を出せない。


「ふぇ……怖いよぉ……。助けて…店主……」

遂に泣き出す朱鷺子。


そこで慧音の母性本能&教師の本能が、慧音を現実に引き戻す。


「あわわ、済まない!驚かせてしまったな……」

とりあえず泣いている朱鷺子を抱え、香霖堂から脱出。


ちなみに自分の服も回収済み。

そのまま慧音は自分の家に向かって消えた。





「おや……。店の扉が開いてる?」

霖之助が店の入り口に帰って来る。


その両手には無縁塚で集めてきた見知らぬ道具が抱えられている。

「で、なんで僕の洋服箪笥が開いていて……」


店内に入った霖之助がある物を拾い上げる。

独特な形をしたそれは、誰かの頭に乗っかっていたはずの物。


「慧音の帽子が落ちているんだろうなぁ……」


慧音の帽子を頭に乗せて霖之助は呟いた。






慧音と霖之助 Ⅶに続く…
ヒャッハァー!!リア充は爆発だァ!!

↓本編







「霖之助~。遊びに来たぞー」

香霖堂の戸を叩く慧音。


彼女は時間を見つけてはこうしてやって来る。

健気な通い妻である。


「……いないのか」

いくらドアを叩いても中から反応はない。


どうやら出掛けて居る様だ。

「……霖之助が、いないんだよな」


慧音の言葉に陰が出る。

辺りに誰もいないのを確認して、慧音は香霖堂に侵入。


無言のまま店内を通り過ぎ、霖之助の部屋に上がる。

「…………」


箪笥を見つけると慧音は躊躇なく開ける。

中から取り出すのは霖之助の服。


「……装甲パージ」

一瞬にして服を脱ぎ去り、下着姿を曝す慧音。


あんたは何処の九尾の狐だよ。

「……究極装甲、装備!!」


これまた一瞬で霖之助の服を着る慧音。

どう見ても変態です本当に(ry


「霖之助の匂い……」

「霖之助!本を返せってば!!」


バァン!と扉を破壊して名無しの本読み妖怪こと、朱鷺子が来店する。

「って、あぁ!?また壊してしまった!」


入り口の扉を直す朱鷺子。

イマイチ妖怪っぽさに欠けると言うか、雑魚臭が拭えない女の子である。


(…やべぇ)

霖之助の部屋で変態(慧音)が戦慄する。


あの妖怪が霖之助とどういう関係かは解らないが、私の姿を見られる訳にはいかない。

しかし今から着替える訳にもいかない。


「ぬ?お姉さん誰だ!?」


「…………」

もうバレたよ変態。


二人が無言で見つめ合う。







慧音と霖之助 Ⅵに続く……。