三匹の忠臣蔵 -37ページ目

三匹の忠臣蔵

日々是好日。
お弁当ブログだった「お弁当にはたまご焼き」からリニューアル。
映画レビューを中心に、日々思いついたこと、感じたこと、趣味のことを書いてます。

原題は「海岸線」。
朝鮮半島の南北を隔てる海岸線で、誤って民間人を銃撃&爆破した、やる気満々の海兵隊員と被害者の恋人との、どちらが被害者かを競う狂気を描いてるうちに、海岸警備隊がもっともゴミやったというキム・ギドク監督作品。

「警告!夜7時以後、こちらに近づく者は、スパイと誤認されて射殺される」という警告板が立っている東海の海辺で海の家を営むチョルグ(ユ・ヘジン)の妹ミヨン(パク・チア)は、酒によった勢いで恋人であるヨンギル(チェ・ヒヨン)を挑発し海岸線を超える。

これを目撃した、日頃からスパイを捕まえたくて仕方ないカン・ハンチョル上兵(チャン・ドンゴン)は、ここぞとばかりに銃を撃ちまくり、ミヨンの腹上で全身に弾丸を浴びたヨンギルは這いつくばって逃げるが、ハンチョルは手榴弾まで投げて見事命中してしまう。

コトの最中に自分の腹上から突然ヨンギルがいなくなったミヨンは、散り散りばらばらになったヨンギルの血を全身に浴び、精神に異常をきたす。
民間人を爆死させたことを知ったハンチョルも負けずに精神に異常をきたすことになる。

ここから被害者となった2人の触れ合いを描いてるはずが、海岸警備隊が主人公として躍り出て、そのクズっぷりが明らかになる。

キム・キドクあらしい映画といえばそうだが、どちらも中途半端で、監督がストーリーの畳み方を迷った挙げ句に逃げたのではないかな。
とさえ思ってしまう、ぶっ飛んだストーリー。

海兵隊出身であるキム・ギドク監督が、自身の実体験を基に脚色したものだが、海兵隊からすると怒り心頭の内容だったので、撮影に協力を得られなかっただけではなく、映画製作をやめるように抗議まで受けたという。
海辺の住民の海兵隊に対する態度も異常で、とても事実とは思えない演出になってる。

誰が悪いかは明らかにミヨンで、それを隠そうとして気が病んだ被害者をよそってる様で、それが南北分断の被害者の様な描きたにも見えるが、キム・キドクはそんなことを描きたかったわけでもあるまい。

どちらのストーリーも中途半端になっていて、見るものに「好きに判断して」もずるいと思う。
結局、脚本のアナを役者の演技力で埋めてる感じかな。
特にチャン・ドンゴンとパク・チアの演技は圧巻。

 

 

映画「海岸線」ポスター:兵士と慰霊碑