調査報道で有名な【PD手帳】がたまたま流れてきたので見たら、不思議に思ってた「統一教会が何故反共なのか」が分かった気がする。
番組内容をザクッとまとめ、URLは最後に置いときます。
タイトルは『12.3非常戒厳1周年特集2部:非常極雨令』で、内容は韓国国内の極右ネットワーク、特に宗教・政治的つながりの実態を探るものになってます。
全体として、尹錫悦政権下の非常戒厳令(2024年12月3日発令)をめぐる極右勢力の影響を分析しています。
動画の11分あたりの部分では、韓国プロテスタントの歴史的・イデオロギー的役割に焦点を当てています。
ナレーターは、韓国プロテスタントの「強い教義的保守傾向」を指摘し、以下のように説明しています。
- 初期のプロテスタント信者の約70%が北西部地域(現在の中国寄り)に集中していた。
- 北朝鮮の共産主義政権樹立後、これらの信者・教会は迫害を受け、南部の韓国に逃れてきた。
- この南下経験が、プロテスタントに「強い反共意識」を植え付け、反共イデオロギーを武器にした独裁政権である朴正煕政権下で急速に成長した。
- 結果、プロテスタントは韓国保守派の強力な後ろ盾となり、大規模教会を中心に進歩政権である金大中・盧武鉉時代に対する危機感を煽り、極右ネットワークの基盤を形成した。
キーポイントは、「反共が最大のセキュリティだった社会で、その崩壊が脅威になった」「保守キリスト教徒、特にメガチャーチ中心の勢力が危機感を抱き、問題提起を始めた」といった表現が出てきます。
これは、動画全体の文脈では極右の宗教的つながりで、プロテスタントが保守・反共の「イデオロギー的エンジン」として機能していることを強調しています。
韓国プロテスタントの歴史的背景:北起源・南下と反共意識の形成
韓国プロテスタントは、単なる宗教ではなく、政治・社会運動の重要な担い手として発展してきました。
特に、北朝鮮起源の南下経験が、反共・保守イデオロギーの基盤を築いた点が核心。
1. 導入と北朝鮮での初期成長(19世紀末〜1945年)
導入経緯: プロテスタントは1880年代頃、米国長老派・メソジストなどの宣教師によって朝鮮半島に伝えられました。
当初は医療・教育を通じた布教が中心で、平壌(現在の北朝鮮の首都)で急速に広がりました。
平壌は「東洋のエルサレム」と呼ばれ、1920年代までに信者数は全国の70%以上が北西部(平壌・新義州・咸興など)に集中していました。
これは、農村部での識字教育や独立運動支援(例: 3・1運動での役割)が功を奏したためです。
日本植民地時代との関係: プロテスタントは抗日独立運動の精神的支柱となり、保守的・ナショナリズム的な性格を帯びました。一方で、神道や仏教との対立も生じ、植民地支配下の「抵抗宗教」として位置づけられました。
2. 分断と南下:共産主義による排除(1945年〜1950年代)
北朝鮮樹立後の迫害: 1945年の朝鮮半島解放後、北部はソ連占領下で共産主義政権(金日成政権)が成立。
プロテスタントは「帝国主義の残滓」として敵視され、教会閉鎖・牧師処刑・信者強制労働が横行しました。
1946〜1948年の「宗教弾圧」では、数万人の信者が殺害・投獄され、教会の90%以上が破壊されました。
南下の波: これにより、数十万人のプロテスタント信者・牧師・教会関係者が南下(「難民」として)しました。特に1948〜1950年の時期にピークを迎え、ソウルや京畿道に定着。
朝鮮戦争(1950〜1953年)中、北朝鮮軍占領下でさらに反共主義者が処断され、南部のプロテスタントコミュニティに「共産主義の恐怖」がトラウマとして刻まれました。
結果、南部のプロテスタント人口は戦前比で爆発的に増加(1950年代に約100万人超)。
米国との結びつき: 南下プロテスタントは、米国からの支援(経済・宣教師派遣)を受け、反共イデオロギーを強化。
米国はこれを「冷戦の防波堤」として活用しました。
3. 反共意識の強化と保守派との結びつき(1950年代〜現在)
朴正煕時代(1961〜1979年)の成長: 南下したプロテスタントは、朴正熙の軍事独裁を「反共の防衛線」として支持。
政府の反共教育(国家保安法など)と連動し、教会は「反共セミナー」や「北朝鮮宣教」を推進。
メガチャーチ(例: 汝矣島純福音教会、愛大一協会)が台頭し、信者数は1970年代に1,000万人超に急増しました。
反共が「信仰の核心」となり、共産主義を「悪魔のイデオロギー」と位置づけました。
政治的役割: この反共DNAが、保守派(国民の力党など)の基盤となり、プロテスタントは有権者の20〜25%を占め、尹錫悦政権(2022〜)の支持母体です。
特に、極右団体(例: 韓国自由連合)や反LGBTQ・反フェミニズム運動で教会が後ろ盾にしています。
動画で触れられる「危機感」は、進歩政権(文在寅時代)の南北対話政策が「反共の崩壊」を招いたという保守側の論理を反映しています。
現代の影響: 北朝鮮・中国への「宣教」が反共闘争の延長線上になり、グローバル極右ネットワーク(米国福音派との連携)にもつながっています。
しかし、一部では「商業主義」や「排他性」が批判され、若年層の離脱も進んでいます。
初めて韓国へ旅行に行った時に、街のあちこちに十字架があり、協会の多さに驚いたことがあります。
特に夜になると山の斜面やビルの屋上に赤や青のネオン十字架が無数に光っていて、「ここは本当にアジアなのか……?」って錯覚するレベルで、電車に乗ってると突然「ハレルヤ!」って。
韓国プロテスタントは「伝道=義務」意識が異常に強く、1教会が分裂→新教会設立を繰り返す。
「うちの教会の方が聖霊が強い」「うちは癒しがすごい」と競い合うので、どんどん増えるらしい。
