誰もが経験したことがある、幼い日のあの頃を思い出させてくれる、ひと夏の成長を描いた小さなロードムービー。
冬冬の夏休みというので何?と思ったら冬冬は主人公の男の子の名前「トントン」ということ。
小学校を卒業した冬冬(ワン・チークアン)と幼い妹の婷婷(ティンティン:リー・シュジェン)は、母親が入院したことから、夏休みをおじいちゃん(グー・ジュン)が住む田舎で過ごすことになる。
このおじいちゃんが堅物で、二人は気を使いながらも田舎町で知り合った子どもたちと触れ合い、小さな事件にも巻き込まれながらも、夏休みのワンシーンを記憶することになる。
事件やアクションがない。
効果音やBGMもない。
それでもじっくりと見入ってしまう不思議な作品。
積極的に現地の子どもたちと交流する冬冬とは裏腹に、婷婷は殻に閉じこもって兄について回る。
人見知りや怖いとかではなく、婷婷はどうしていいのか分からないんやろね。
婷婷にとって見知らぬ土地では冬冬が全てなわけで、一緒にいるべきだと幼心に感じてるんやろうな。
そんな婷婷が、冬冬にとっては邪魔な存在なんだが、邪魔と言い切れない。
やっぱり気にかけてしまう幼いお兄ちゃん。
これは親から言い聞かせられてるからね。
だから婷婷もそのことを知ってるから、ついて回る。
観ている側は、ここだけは親の目線になってしまい、安心すると言うか、ホッとすると言うか。
とにかく微笑ましい。
自分の子どもの頃の夏休みを見てるようで、見ず知らずの子どもともすぐに仲良くなれる、あの頃の不思議さ。
冬冬と婷婷がおじいちゃんの住む田舎へ行くのは、二人にとって未知の世界への旅立ちでもある。
そして夏休みが終わると、一回り大きくなって帰って来る。
幼い兄妹を演じたワン・チークアン、リー・シュジェンの振る舞いが自然で、現地の子どもらも役者さんなのか分からないが、子どもらしい。
そして風の音や、蝉の声といった「環境音」そのものを音楽のように扱ってて、川の流れの絵面も美しい。
そう言えば「あの日にかえりたい」って歌があったよね。
物語ではなく“記憶”を見ているような、そんな映画やったかな。
