『春が来れば』 | 三匹の忠臣蔵

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日々是好日。
お弁当ブログだった「お弁当にはたまご焼き」からリニューアル。
映画レビューを中心に、日々思いついたこと、感じたこと、趣味のことを書いてます。

うだつが上がらないトランペット奏者が、中学校のブラスバンド部の臨時教師として赴任したことをきっかけに、人生を再生する物語。
廃部の危機を乗り越えて全国大会で優秀な成績を収めた実在する「道渓(トゲ)中学校」のブラスバンド部の実話をモチーフにした作品。

交響楽団のオーディションに落ち続け、恋人ヨニ(キム・ホジョン)とも別れて人生のどん底にいるラッパ吹きイ・ヒョヌ(チェ・ミンシク)。
生活のために、田舎の寂れた炭鉱町にあるトゲ中学校のブラスバンド部へ臨時教師として赴任することになる。

自暴自棄な息子を心配する母(ユン・ヨジョン)の思いとは裏腹に、ブラスバンド部の子どもたちの前でもまったくやる気を見せない。
クラブは優勝できなければ強制解散の運命にあるが、ヒョヌは、やる気満々の子どもたち相手にもどこか気乗りしない。

そんなある日、街の薬局の薬剤師スヨン(チャン・シニョン)を気にかけるようになる。
これをきっかけにバンドの指導にも真面目に取り組むようになるが、彼女にはジュホ(キム・ガンウ)という恋人がいる。

ところが家庭の事情から音楽の道を諦めかけている教え子のジェイル(イ・ジェウン)を救おうと奔走する中で、ヒョヌにも別れを乗り越え、再生へと向かう春がやってくる。

 

 


 

 

Amazonプライムにはオーケストラとなってたのに、実際は吹奏楽部の話だった。
オープニングはママさん音楽教室の「鳳仙花」からはじまり、なんとなく暗い雰囲気。

そして話は男女の別れから新しい彼女との出会い、しかし彼女には男がいたという、ドロドロになってもおかしくない、よくある設定。
ところが、どこか爽やかで温かい映画になってる。

これはチェ・ミンシクとキム・ホジョンの役柄が大きいと思う。
そして戦闘能力ゼロで優しいキム・ガンウ、いくつになっても親に心配をかける息子を持つ母親役のユン・ヨジョン、妖婆ナ・ムニが唯一「オンニ」と呼ぶ、ジェイルの祖母役キム・ヨンオクの存在も大きいと思う。

ジュホがヒョヌに殴りかかり、喧嘩になる。

交番へ行くと、巡査役でオ・ダルスが出てきて、思わず笑うと同時に妙な安心感も感じた。

見ていて、ヨニとヒョヌがこれで終わりには見えないけど、「終わりなんだろうな」と思ったら、そうではなかった。
ここはヨニを演じるキム・ホジョンの柔らかい雰囲気が効いていて、スヨンとは「くっつかんな」というのが何となく分かる。

そしてラストは、柔らかい春の日差しとともに温かく終わる。

ジェイルの祖母が入院し、お金がなく退院できないということで、その費用をなんとか工面しようとスナックの舞台に立つヒョヌ。ところが、ラッパ吹きのはずなのに何故かサックスを吹く謎の設定。

私は中学2年で吹奏楽部に入ったが、新人なのに学年だけは先輩。当然、楽譜も読めないのに、後輩たちはすでに読める。
だから恥も外聞もなく後輩に教えてもらいながら大変だった。
しかも初中級学校だったので、必死に練習をした。

映画と同じような少人数の弱小吹奏楽部だったが、3年生のときは全国大会で金賞を受賞したこともあり、劇中の子どもたちを見てると「あるある」「やったやった」の連発で懐かしかった。

カン・ヨンソク(キム・ドンヨン)が家庭の事情でコンクールに出られないことを知ると、ヒョヌは炭鉱まで父親(チェ・イルファ)に会いに行き、説得する。
このあたりから子どもたちの自主練のシーンが流れる。
そして炭鉱へ行き、労働者の前で雨の中で演奏する。

私はクラリネットだったので、思わず「ベークライトやろ」とツッこんでしまった。
木管のクラリネットは温度や湿度の変化に弱いので、天気が悪いときは「俺、プラスチックやけど」と影に入り、フルートやサックスには「お前ら鉄の木管やろ」と追いやって、よく遊んだ。

コンクールの舞台で、トゲ中学校の前のバンドが「ドボ9」を演奏していたが、抜粋版とはいえ、これも中学校のときに吹いたことがある。
とまぁ、映画を観ながら懐かしい中学校時代を思い出すような作品だった。

そして、どこをどう突っついてもチェ・ミンシクが25歳には見えない、というオチも心地良かった。

 

 

 

 

『春が来れば』