女たちがトップの座をめがけて争い、お互いを嫉妬し陥れ合いながら戦うが、実はコップの中の戦いだったという話。
19歳の学生・頌蓮(コン・リー)は、父親が亡くなり実家が没落したため、富豪・陳佐千(マー・チンウー)の第四夫人として嫁ぐことになる。
嫁入りすると王女のような待遇を受けるが、屋敷では毎夜、陳佐千が泊まる夫人の部屋の前に赤い提灯が掲げられる。
広大な屋敷には、すでに老いて夫からは声がかからないが、正妻としての絶対的な品格と冷徹さで家を仕切る陳家の第一夫人・毓如(ジン・シュアフェイ)。
表向きは優しいが、裏では執念深く陰湿な罠を仕掛ける第二夫人・卓雲(ツァオ・ツイフェン)。
元・京劇のスターで、激しい気性とプライドを持ち、好戦的な第三夫人・梅珊(ホー・サイフェイ)。
そして、裏では陳佐千の寵愛を受けながら、密かに「次の妻」になることを夢見る頌蓮お付きの召使い・雁児(コン・リン)。
この四人の女たちが、陳佐千の寵愛をめぐり、嫉妬と裏切りの戦いを繰り広げる。
構図としては、屋敷に長く住んでいることで、すでに一通り経験してきたのか、第一夫人・毓如は若い3人の妻とは距離を置いている。
というより、彼女たちの戦いを上から見ているような印象。
心のなかでは「何やってんの、この子たち」といった役回りに見える。
実質的には若い3人の女の戦いなんだが、卓雲と梅珊は頌蓮を巻き込み、2対1の構図に持ち込もうとする。
そこにジョーカーのような存在である召使い・雁児が裏道から割って入る。
はじめはお姫様気取りだった頌蓮も徐々に屋敷の雰囲気に染まり、偽装妊娠をして一歩前に出るが、すぐに引き戻される。
彼女たちは自分たちが主人公だと思い、あれこれ知略を巡らせる。
しかし、屋敷の使用人たちは彼女たちとはどこか空気感が違う。
彼らは誰かの味方というより、この屋敷のルールを維持するためのシステムそのものに見える。
だから彼女たちは、「広大な屋敷という名の監獄」に囚われた囚人にすぎず、生きたままここから出ることすらできない。
だからいつの間にか戦いの目的も、「監獄から出る」ことではなく、「監獄の中で一番待遇のいい囚人になる」ことに変わっていく。
最後の最後、あの真っ白な雪の中で狂気に囚われてしまった頌蓮の姿が、その絶望感を際立たせている。
彼女が自分の置かれた本当の立場に気づいた時には、すでに遅かった。
そして浮気が露見したことで、梅珊は女たちの競争から強制的に降ろされる。
彼女は勝ったわけでも、逃げたわけでもない。
屋敷の掟を破った者として、競争そのものから消されてしまっただけ。
そして、梅珊の末路を目の当たりにした頌蓮は、ようやくこの屋敷の本当の姿を知ることになる。
陳佐千にとって夫人とは名ばかりで、彼からすると女性は子どもを生む存在にすぎず、広大な鳥かごに夫人たちを囲い、使用人たちに世話をさせていた。
だから誰が勝っても陳家から出られない。
「嫁入り」だと思ってやってきた頌蓮からすれば、こんな世界は想像もできなかったやろうね。
だからラストは、ホラーと言ってもいい。
どうしても反りが合わない雁児を、頌蓮が「ヤー!」と呼ぶ。
韓国の時代劇なら雁児はお付きの尚宮になるわけで、「ヤー!」も聞き慣れた言葉。
やっぱり大陸は地続きなんだと笑ってしまった。
