『ブラックベリー』時間を売ったBlackBerry、体験を売ったiPhone | 三匹の忠臣蔵

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スマートフォンの元祖「BlackBerry」の誕生から、iPhoneの登場によって一気に没落していくまでを描いた、実話ベースの物語。

RIM社の共同創業者であるマイク・ラザリディス(ジェイ・バルチェル)とダグラス・フレギン(マット・ジョンソン)は、フリーの通信帯を使ったポケベルとメール受信機能付き携帯端末「ポケットリンク」を売り込むため、コンサルのジム・バルシリー(グレン・ハワートン)を訪ねる。
しかしジムはうわの空で、タックスヘブンのプレゼン会議に出ていってしまう。

それどころか、RIM社は半年前に納品したモデムがお金にならず、小切手も限度額を超え貸越もできない崖っぷち。
そんな彼らの元に、会社をクビになって崖っぷちのジムが乗り込んできて、マイクとの共同CEOを持ちかける。
資金難に喘ぐマイクらは選択肢がなく、渋々ながら二人はジムを迎えることにする。

崖っぷちのジムはRIM社の銀行口座に所有する抵当権を差し入れるが、ジムはマイクの奇想天外な発想にRIM社の未来を託し営業に奔走する。

AT&Tのプレゼンでは「BlackBerry」が機能と将来性が認められ、販売パートナーとなり一気にシェアを広げていく。

そして、爆発的に増えるネットワーク構築に耐えるため、Googleからポール・スタノス(リッチ・ソマー)を引き抜くが、この強引なやり方が後のトラブルを招く。


さらに遊びの傍らに仕事をするRIM社の社風を変えるため社内改革にも取り組み、調教師兼鬼教官としてチャールズ・パーディ(マイケル・アイアンサイド)を雇う。
こうして薔薇色の未来が見えてきた時にiPhoneが現れ、RIM社は坂道を転げ落ちるように時代に取り残されていく。

 

 


 

 

キレ散らかしながらも会社を引っ張る、サイコパス的なビジネスマンっぷりに対して、ムービーナイトといい遊びの合間に仕事をするようなクリエーターたちの自由奔放さ。

当時のIT関連の会社、特にクリエーターはこんな感じで、とにかく仕事が遊びの延長線上にあった。
だからイーロン・マスクがTwitter社を買収した時は、「こんなこともやってたんか」と話題になったほど。

だから上司に楯を突きクビになり、家まで抵当に入れたジムからすると、とても信じられず受け入れられなかった。

だからチャールズを招聘した。

マイクとダグラスは技術者としては優秀だが、いつまでも遊びの延長線でしか考えていない、今で言うところのオタク。というより技術者気質といったところで、ビジネスがなにかも理解していない。

それでもマイクは業績が上がるにつれビジネスマンになっていくが、ダグラスはオタクたちのリーダー的存在から抜け出せない。

そしてジムは欲がでてビジネスから離れ、マイクは浮かれていたところに、天才的なプロダクトデザイナーであるスティーブ・ジョブズが登場したということ。

iPhoneの素晴らしいところは人間工学と使い方を徹底的に追求したとこにあり、タップやフリック、スワイプの精度は打ち間違いを極限まで減らした。

これは後のAndroidでもなかなか実現することができなかったし、「iPhoneとAndroid」の2強に割って入った「Huawei」でも当時は簡単には追いつけなかった。

そしてスティーブ・ジョブズがやったことは、仕事の道具から体験を楽しむ道具への転換だったと思ってる。
「BlackBerry」が時間を売っていたのに対し、「iPhone」は色んなアプリを入れて楽しむ体感を売っていた。

だから「iPhone」の登場は「BlackBerry」からすると別の土俵が出てきた事になり、その土俵に乗れなかった。
これが敗因ではないかと思ってる。

ラストに倉庫で「深セン」と書かれた段ボールから、届いたばかりの「BlackBerry STORM」を開封するシーンがある。
当時としては、Appleもそうだが、アメリカで企画して実際に作るのは労働力が安い中国だった。

その後、下請工場にすぎなかった中国はものづくりのノウハウを身に付け、マーケティングを覚え、新商品を開発していく。

2010年代では紙ベースのトリセツがあったが、中国の製品にはそれがなく、デザインも洗練されていて、時刻合わせなんか開封と同時に終わるという、年々進化した結果が今につながってると思う。

ただ、そのAppleもスティーブ・ジョブズ亡きあとは迷走を続け、昔のような感動はないと思ってる。
元々スマホは片手で操作できる手軽さが良かったが、今では大きくなり過ぎて、ジョブズが生きてたらなんと言うだろうと思う。
私は「iPhone 4G」から「iPhone Plus」で卒業し、「Huawei」に切り替えた。

本当は「SAMSUNG」にしたかったが、高くて手が出なかったので。

 

 


 

 

参考までに書いておくと、iPhoneの破壊力は強烈で、iモードとほぼ同じ道をたどったので、BlackBerryのことは今でも覚えてる。
NTTドコモが「iモード」サービスを開始すると、同じ様に、RIM社も「BlackBerry」の初代端末を発売する。

日本で世界初の第3世代移動通信3Gサービスが開始すると、BlackBerryが通話機能付きの端末を発売する。

そしてスティーブ・ジョブズが「初代iPhone」を発表し、日本を含む世界で「iPhone 3G」が発表されると、どちらも消えていった。

実は「iモード」にしがみついたこの失敗が、その後の日本のスマートフォン制作に大きく関わってきて、iPhoneとAndroidによる「iOS vs Android」の2強時代が到来するが、日本は置いていかれ、今じゃ背中も見えない。


Androidについては、韓国のSAMSUNGとLG電子がシェア争っていたが、LG電子が撤退したことで、SAMSUNGが現在の世界シェアを誇っている。

結局、BlackBerryは「仕事のための道具」を極めた。
しかしiPhoneは「生活そのものを楽しむ道具」を提案した。
この発想の違いこそが、両者の明暗を分けた最大の理由だったと思う。

 

書きたいことはまだまだあるので、番外編で書いてみる。

 

 

 

『ブラックベリー』時間を売ったBlackBerry、体験を売ったiPhone