お荷物部署扱いされながらもプライドを持って捜査に挑む「ひき逃げ専門捜査班」の中に、ホンマモンの走り屋がいたという極上のカーアクション。
映画館で体験してTSUTAYA・アマプラ含め10回以上は観てる。
原題は「뺑반(ペッパン)」で、「ひき逃げ」を意味する「뺑소니(ペンソニ)」と、チームを意味する「班(バン)」を組み合わせた造語。「ひき逃げを追う班」を略した呼び名になる。
以下、長いので「ペッパン」とする。
内容を簡単にまとめると、韓国初のF1レーサー出身の実業家チョン・ジェチョル(チョ・ジョンソク)が代表を務めるJCモータースは、賄賂で検察・警察の上層部を操り不正・事故をもみ消していて、末端の刑事にはとても手が出せない。
パク警察長官(ユ・ヨンス)はこのスキャンダルを隠蔽するため、贈収賄事件を追う刑事のウン・シヨン(コン・ヒョジン)をペッパンへ左遷する。
ペッパンは警察内部でも単なる事故処理係として扱われるお荷物部署。
しかし、班長のウ・ソニョン(チョン・ヘジン)は警察学校を首席卒業した元エリートで、彼女の元には、驚異的な直感と車の知識を持つソ・ミンジェ(リュ・ジュンヨル)がいる。
ミンジェは、元暴走族という暗い過去を隠してる。
ミンジェは元刑事で、現在は自動車整備工場を営むカ・チヒョン(イ・ソンミン)を人生更生の恩人として実の父親の様に慕い、共に暮らしてる。
ある日、金の引き渡しのことで訪れたパク警察長官とジェチョルは話の折り合いがつかなかったことから、憂さ晴らしにジェチョルは愛車バスターに乗り公道を走るが、死亡事故を起こしてしまう。
この時に乗っていた車バスターを押収しようと、警察庁の内査課長ユン・ジヒョン(ヨム・ジョンア)はペッパンと内偵捜査をはじめる。
そしてバスターの押収に成功したかに見えたが、この過程でミンジェの育ての親チヒョンが命を落とし、ジヒョンは自分の出世や組織の保身のためにジェチョル側に寝返ってしまう。
孤立無援となったシヨンとミンジェは、ジェチョルの海外逃亡を阻止するため、チヒョンを慕っていた民間レッカー軍団をも巻き込み、プライドをかけたカーバトルが幕を開ける。
この映画を何度も観ている理由は、映画を構成する一つ一つの要素へのこだわりにある。
私は、映画を「音」と「光」で魅せる芸術だと思ってる。
本作は派手なCG大作とは一線を画し、実車によるリアルなカースタントに徹底的にこだわってる。
それを映画音響を最大限に駆使し、響き渡る重低音のエンジン音、風を切り加速するスピード音、タイヤがアスファルトを削るような金属音が脳を揺さぶる。
果ては雨しぶきがボディーを打つ飛沫音にまでこだわってる。
この徹底した「音」の演出があるからこそ、「光」の計算されたカメラワークや構図が圧倒的なリアリティを伴って生きてくる。
ジェチョルとミンジェがプライドをかけたカーアクションでは、工場内でスピンターンを決め、そのままバックで駆け抜ける。
吊るした鉄鋼の下をすり抜ける瞬間、ボンネットを擦って飛び散る火花の美しさには思わず息をのむ。
レッカー軍団を使った場面転換も見事としか言いようがない。
この手の作品になると往々にしてストーリーがお座なりになる印象があるが、ここは俳優陣がストーリーに緊張感を与え、一瞬の隙もつかせない。
一見すると劇画のような雰囲気があるが、一つ一つのプロットが趣向を凝らし丁寧に作られていて、この見せ方のアイデアはどこから来るんだろうと、毎回感心してしまう。
やっぱり作り手の最低限の条件は「映画が心底好きなこと」なんだと思わせてくれる。
観るたびに「もう一回、映画館の大スクリーンと音響で観たい」とさみしい気持ちになるほど、自分にとっては満足度高の一本。
ラストのキム・ゴウンはシーズン2のサイン。
それから気長に待ち続けて早7年。そろそろ観せてほしい。
余談ではあるが、ジェチョル秘書の立ち振る舞いが自然で演じるイム・ソヌが雰囲気を持ってるのが観るたびに気になる。
彼女は大学卒業後、4年間普通の会社員として働いていたが、演技に魅了され、会社を辞めて韓国芸術総合学校に入り女優になったという、珍しい経歴の持ち主。
インディーズ作品を主戦場にしてるらしく、日本未公開も多くなかなか観れない。
当然TSUTAYAにもない。
韓国のVODで観ようと思ったけど、日本からのアクセスなのでIPで弾かれ観ることができなかった。
なかなか縁がなく残念に思っている。
