原題は『さよなら、兄よ(안녕, 형아)』。
2002年から小児癌で闘病中のソルフィと弟チャンフィ兄弟の実話をモチーフにした作品。
「안녕(アンニョン)」には、出会ったときの「こんにちは」と、別れるときの「さようなら」の二つの意味がある。
天下泰平の9歳児チャン・ハニ(パク・チビン)は、世の中に恐ろしいことがなく自由奔放な日々を送っている。
一方、兄のハンビョル(ソ・デハン)は、そんなハニの面倒をよく見る弟思いの優しいお兄ちゃん。
ある日、ハンビョルは塾に行くために、目覚し時計を合わせて寝ついたが、ハニが時計を止めたことから寝過ごし、帰ってきたオモニ(ペ・ジョンオク)が叱ってしまう。
すると直後、ハンビョルは激しい頭痛を訴えて吐いてしまい、狼狽したオモニは慌てて病院へ連れて行く。
精密検査の結果、脳腫瘍が見つかり、そのまま緊急入院することになる。
ハニは事の重大さを理解できず気ままに遊ぶが、ハンビョルの病名を知らされたアボジ(パク・ウォンサン)は、それまでの楽天的な態度から一転して、急に真顔になって「一度でも兄ちゃんを困らせたら許さない」とハニを厳しく諭す。
ハニにとって、ハンビョルの病室も遊び場でしかなく遊び回るが、いよいよハンビョルは脳手術を受けることになり、髪を剃って丸坊主にする。
手術後、同じ病室になったウク(チェ・ウヒョク)はハンビョルを「ヒョン(兄)」と呼び仲良くなるが、ハニはこれが面白くない。
弟は自分なのにウクにハンビョルを取られたようで、ウクを拒絶する。
そして嫉妬心からウクに強く当たって鼻血を出させてしまう。
罪の意識から、これをきっかけにハニは人懐っこいウクと、次第に打ち解けて仲良くなる。
ハニはウクを自分の弟として受け入れ、ウクの家に泊まりに行く関係になるが、見た目とは裏腹にウクの病状は日増しに悪化していく。
そして、容態が急変したハンビョルは、再び命をかけた手術を受けることになる。
基本的に、脳腫瘍と闘う兄と、その現実に向き合うことで精神的に自立していく弟、そして家族のヒューマンドラマなんだが、ハニが年齢ゆえに状況を理解できないのか、それとも天真爛漫な性格ゆえに受け入れようとしないのかが、前半はよく分からない。
これが意外とリアルで、強がっているようにも見えるが、楽天的なアボジの性格を考えると、ハニは父親の血をそのまま受け継いだ性格なんだと思う。
兄の再手術、そして親友ウクの病状悪化という、ハニが「死」という現実や「大切な人を失うかもしれない恐怖」に直面する後半。
ハニは兄を救うために裏山で「奇跡の湧き水」を求めて必死に走り、病室に水筒を持ってくるシーンでは、「やっと事態を理解できたのか、それとも受け入れたのか」と、観ているこちらはなぜか安心してしまう。
そして、意識を取り戻したハンビョルの隣のベッドでウクが「안녕, 형아 안녕」と言うことで伏線が回収され、タイトル(原題)の意味が響いてくる。
ウクからすると「형아 」は兄ちゃんになるんだろうね、だから原題は『さよなら、お兄ちゃん』。
ハニはウクの死を通して、「大切な人を失う痛み」と「自分が誰かのお兄ちゃんになる責任」を知ることになった。
だからこの作品の影の主役はウクだと思う。
しかし、ラストで雪が降ってるからと兄を外へ連れ出すシーンを見ると、「懲りてないな」と同時に「やっぱり元々の性格なんやな」という思いが交差する。
それでも、冒頭でおもらしをして兄に面倒を見てもらっていたハニが、後半ではハンビョルに服のお世話をする姿を観ると、「成長したやん」になる。
とにかくハニをはじめ、子役たちの演技が素晴らしい。
ウクが息を引き取るシーンは「どうやって撮ったのか?」と思ってしまう。
あと、チョン・ヘジンも出てます。
エンドロールのテロップによると、脚本家キム・ウンジョン氏の甥であるホン兄弟の実話で、兄のソルフィ君は公開当時カナダで闘病中とのこと。
「制作資金:イ・ウン氏」と出てたが、実話の支援や治療費に関わるものだったのかもしれないが、そのあたりはよく分からんかった。
