誰も傷つけない銀行強盗の「別の何が」を追う刑事たちを描いたクライムサスペンス。
ダルトン・ラッセル(クライヴ・オーウェン)をリーダーとする銀行強盗が、アーサー・ケイス(クリストファー・プラマー)が創業した銀行を襲撃する。
犯人グループは、その場にいた客と行員ら全員に自分たちと同じ服装をさせ、人質にする。
この事件を担当する刑事キース・フレイジャー(デンゼル・ワシントン)とビル・ミッチェル(キウェテル・イジョフォー)は、現場の指揮をとる。
一方、強盗事件が発生したことを知ったアーサー・ケイスは女性弁護士マデリーン・ホワイト(ジョディ・フォスター)に、自身の「絶対に知られてはならない秘密」の隠滅を依頼する。
実際にダルトン・ラッセルと交渉したキース・フレイジャーとマデリーン・ホワイトは、彼らに「金」とは違う違う目的があることに気づく。
人質となった人々への事情聴取のシーンが、現在進行形の形で事件の合間に挟まれるので、事件の結末はある程度予想できてしまう。
別の目的も途中から明らかになるので、プロット自体にそれほど大きなヒネリはない。
それでも引き込まれてしまうのは、人質たちの人種や宗教に対する警察の偏見や、第二次世界大戦中の歴史の闇が横たわってるからだと思う。
しかも、それらの社会的なテーマがどれも中途半端になってな。
そして銀行強盗も派手な撃ち合いはないが、サスペンスとしてしっかり描いてる。
犯人と刑事、犯人と弁護士の交渉も、緊張感漂う展開に仕上げられてる。
ネタ的にも珍しくないし、伏線回収もちゃんとしてる。
それでいて驚くようなドンデン返しもない。
それでも最後まで飽きさせない、不思議な作品。
この不思議さをタイトルから読み解くと、「インサイド・マン」とは「内部の者」もしくは「内通者」という意味らしい。
「内部の者」なら、銀行の隠し壁の中に一週間も潜んでいたラッセルになると思う。
しかし「内通者」となると、「一体誰が内通者なのか」となるんだが、私の感想としては「誰が」より「何が」だと思った。
ではその「何」とは何かというと、銀行会長ケイスが必死に隠蔽しようとした、過去の重大な秘密を証明するものがその「何」になり、この隠された秘密そのものが事件全体を動かす黒幕的な「内通者」だと思う。
