『ミシシッピー・バーニング』 | 三匹の忠臣蔵

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1964年にアメリカ南部で実際に起きた、公民権運動家3人の失踪・殺害事件をモチーフにした社会派サスペンスの傑作。

地元保安官と白人至上主義結社「クー・クラックス・クラン(KKK)」の共謀で黒人への差別や暴力が日常として繰り返されているミシシッピーで、公民権運動家3人が失踪する。

捜査の為に訪れたFBIの捜査官アラン・ウォード(ウィレム・デフォー)とルパート・アンダーソン(ジーン・ハックマン)が情報を集めようと聞き込みをするが、黒人は捜査員と一緒にいたというだけで、見せしめと口封じによる暴行が加えられる。

地元の保安官レイ・スタッキー(ゲイラード・サーテイン)と副保安官のクリントン・ペル(ブラッド・ドゥーリフ)この事件に関わっていて、ペルはKKKのメンバーでもある。
町そのものが排他主義に染まっていて、捜査は難航する中、ペルの妻(フランシス・マクドーマンド)だけは考えが違い、捜査に協力したことで事件の真相へと進む。

しかし彼女は真相を話したことで、夫のペルから激しい暴行を受けて病院送りにされてしまう。

 

 


 

 

何か大きな出来事があるとエンタメに昇華させて世に知らしめる。
事件の真相である「保安官補らによって逮捕・釈放された後、待ち伏せていたKKKメンバーらが銃撃する」は事実で、実際にダムから遺体が発見された。

この事件を含む公民権運動への世論の高まりを背景に、人種差別を禁止し、選挙権の平等を保障する公民権法が1964年7月2日に成立した。

KKKが恐ろしいのは、黒人を憎む怪物がいることではなく、普通の人間が差別を学習していくことだと思う。

ペルの妻がアンダーソンに言った「(人種差別による)憎しみは生まれつきじゃない、教えられる」というセリフは本当にその通りだと思う。
昨日まで仲良く遊んでた友達が、急に遊ばなくなったので聞くと「あの子は朝鮮人やから遊んだらアカン」と親から言われたと、何度も聞かされたことがある。

しかし、「こんな町で暮らしているのが醜い」と語っていた彼女が、退院後、無惨に壊された家の中でアンダーソンから「これからどうするんだ」と聞かれた時、「この町で生まれたから、この町で死ぬ」と答えたのはとても印象的だった。
私にはそれが、町の再生の始まりのように映ったので。

はじめは報復を恐れて声を上げられなかったが、声を上げたことで町が変わるきっかけを作った。

その代償は大きかったが、すべて受け入れて町に残り生きていくことを選択をする。

夫からは半殺しにされて、家をめちゃくちゃに破壊されて、普通なら恐怖で町を逃げ出すはずが、彼女は残ることを選んだ。
「絶望」ではなく「町の再生」を選んだ。

だから差別をなくすには、誰かが声を上げなければならない。

しかもこれが、アンダーソンの原動力となり、ちょっとしたカタルシスになる。

フーバー長官という名前が何度か登場したが、「フーバーメモ」も映画になり、観た覚えがある。
これもFBIが絡んだ実話物で、この年代の映画は実話モノが多かったように記憶してる。

もう30年前になるので記憶もなかったが、ジーン・ハックマンとウィレム・デフォーによる、ベテランと若手の捜査官コンビの対立と葛藤も面白かった。

 

 

 

ミシシッピ・バーニング 差別とKKKの恐怖