『ピアス 刺心』 | 三匹の忠臣蔵

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フェンシングの練習に励むジージエ(リウ・シウフー)には、かつて殺人事件で服役していたが、仮釈放される兄ジーハン(ツァオ・ヨウニン)がいる。
しかし母親(ディン・ニン)はジーハンのことを快く思ってなく、ジージエはジーハンが仮釈放されることすら知らされていなかった。

ジーハンは母親と連絡がつかないことから、台北郊外で暮らすことになっていたが、「家族とくらしたい」と町に戻ってくる。

母親はジーハンは「息を吐くように嘘をつく信用できない人間だ」といい放つ。
ジージエが幼い頃に水に溺れた時も、ジーハンが助けたのは、自分がいたからだという。
とにかく母親はジーハンのことを「悪魔」のように毛嫌いして拒絶する。

当初、ジージエは母親の話を鵜呑みにしてジーハンを警戒していたが、再会を重ねるうちに彼の熱心さと純粋さに触れ、フェンシングの手ほどきを受け、みるみる上達する。

ある日、母親に2人でいるところを見られ、さらに練習場ではジーハンが絡む事故があり、「やはり母親の言うとおり危険な男」だと思い込み、ジージエは距離を置くことをジーハンに直接伝える。
しかし、その事故の当事者がニッカーを履いていなかったために起こった事故だということが分かる。
そして、大会会場でジーハンが絡む事件が起きる。

 

 


 

 

監督が、実際に台北で起きた無差別殺傷事件と、自身の兄との関係性から着想を得た。

というのは観終わって知った。


それでも疑問なのは、母親がジーハンをあれほど拒絶する理由がまったくわからない。
そしてジーハンも母親が言う通りスラスラと嘘をつくので、サイコパスに見えるっちゃぁ見える。
親戚との会席で、自分は医学部4年生だと語るシーンは詐欺師そのものなので。

だから、ジーハンを母親が言うように詐欺師として見ると、ラストの会場での事件はサイコパスで母親の言うとおりになる。

しかし、作中では父親の話がまったく出てこない。
ということ、は母親と父親の間で何があり、死別なのか離婚なのかも分からない。
ジーハンが本当か嘘か分からないが、「父親の最後は...」と言っていたので病死かもしれないし、ここだけが事実で、実際に家庭内で何かあったのかもしれない。

 

トラウマでもあったのか、新しい相手と再婚するかと思いきや、何故かそれを断る。
シングルマザーの苦しい生活からやっと抜け出すチャンスを自ら逃す、というか捨てる。

そうだとすると、母親はジーハンに亡き夫の姿を投影してるのではないかな?
だからむっちゃ仲が悪く、顔を見るのも嫌だった夫が目の前にいるから許せない。
ジーハンは、そんな夫婦の問題を引きずってる可哀想な存在にも思えてくる。

幼い頃から実の母親に「父親の身代わり」として徹底的に嫌われ、愛されずに育ったことによる「夫婦の犠牲者」という話で、だから歪んだ人格になった。

そして、この異様な様子を横で見て育ったジージエの行動が、ラストにつながる、みたいな。


こんな感想を聞くと監督は何というのか気になる。
「違うわ、勝手に話を作るな!」と言われそうやけど。

 

 

 

『ピアス 刺心』