おかしな邦題をつけられたおかげで、世界で一番損した夫婦の愛の物語。
かつて最高の彫刻家として名声を得ていたが、病に倒れ、廃人のような生活を送るキム・ジュング(パク・ヨンウ)。
妻のジョンスク(キム・ソヒョン)は、彼を献身的に支えることを生きがいにしている。
ある日ジョンスクは、配給所で見かけたイ・ミンギョン(イ・ユヨン)に、ヌードモデルになってほしいと提案する。
経験がなく迷っていたミンギョンだったが、生活のために引き受けることにする。
彼女のもとには、ベトナム戦争から復員した夫の後輩と名乗って居座るクンス(チュ・ヨンホ)がおり、暴力を振るわれながらも、子どもとの生活のために耐えていた。
ミンギョンの出現によって生気を取り戻し、制作意欲が湧いてきたジュングは、見違えるように回復していく。
その姿を見てジョンスクも喜んでいたが、ミンギョンの仕事に不信を抱いたクンスがアトリエに乗り込み、暴れた末にミンギョンを連れ去る。
時を同じくしてジョンスクは、ジュングの主治医ユン博士(ナム・イル)から、彼の余命が長くないことを知らされる。
夫の戦死の便りを伝えに来た男がそのまま家に居座り暴力を振るう、という設定は昭和の日本映画でもよくある話。
ミンギョンの娘ソンイ(キム・スアン)が、観ている者が思っていることと同じことをミンギョンに言うが、明日がどうなるかも分からない貧しい生活の中、彼女の選択は違う。
そもそも選択できような時代ではないし、選択できる状況でもないので、今の感覚で批判はできない。
モデルと言われてもどうしていいか分からなかったミンギョンが、徐々に要領を覚えてきて、スッと脱いで、スッと構える様になる。
ジュングとミンギョンの距離が徐々に近くなっていくが、これは恋ではなく同士的な関係。
それを妻のジョンスクも理解していて、ミンギョンを全力で守る。
彼女を守ることがジュングとの暮らしを守ることでもあり、その想いがラストに引き継がれる。
クンスがアトリエに乗り込みミンギョンを連れ帰るが、暴力から逃れるために逃げてきた彼女の表情が無力で惨めな子犬のようで、演じるイ・ユヨンの表現力の幅の広さに驚く。
構図はもちろん、細部まで映像美にもこだわっていて、芸術を題材にしてるだけのことはあり完成度は高い。
にも関わらずエロビデオの様な邦題が付けられているのは、非常に残念でならない。
原題は「春」で、キャッチコピーも「あなたの春はいつですか?」という問いかけになってる。
オープニングで「夏の終わりに訪れた春」と語り、ラストではジュングが「作品のタイトルを“春”にする」へとつなぐ。
これがそのまま妻ジョンスクへの告白として終わる。
ホント観もせずにつけたんだろうな、逆に観てこの邦題にしたなら「頭おかしいやろ」としか言えない。
とても美しい映画だったので、(黙って)借りてきたサムネを、いつもより余分に載せときます。








