2026年2月11日に公開されたものの、『王と生きる男』の記録的大ヒットのあおりを受けて、早々にVOD送りになってしまった、可哀想なスパイ・アクション映画。
キャストも豪華で、監督がリュ・スンワンということで、期待値MAXで観た。
韓国で蔓延する麻薬ルートの解明を目的に、ロシアのウラジオストクで協力者=情報源(ヒューミント)の獲得活動をしている韓国国家情報院チョ課長(チョ・インソン)。
彼は新たに、北朝鮮レストランの従業員チェ・ソンファ(シン・セギョン)と接触する。
ソンファは北朝鮮国家保衛省パク・ゴン(パク・ジョンミン)の元婚約者で、北朝鮮のウラジオストク総領事館キム・テヒョク(イ・シンギ)は二人の関係を疑い調査を始める。
テヒョクはロシアのマフィアのボス・アレクセイ(ロベルト・マーサー)ともつながっていた。
やがてテヒョクの調査によって、ソンファが南と内通していたことが発覚し、彼女は北朝鮮へ送還されることになる。
一方のゴンは、自国側のテヒョクによる不正に突き当たり、物語は南北国家間の対立だけでなく、それぞれの個人的な思惑が絡み合う展開になっていく。
物語は全編を通して暗いトーンと冷たい質感で統一されていて、映像美が「ハルピン」に似てたけど、舞台が極寒の地なのでそう感じたのかもしれん。
アクション物に欠かせんカーアクションと効果音響音も抜群で、やっぱり映画館で観たかった。
そう考えるともったいない。
早く観れたのはいいけどね。
内容自体は韓国映画十八番の南北のスパイ物ということで、設定だけを見ると新鮮味はないが、その上をいく展開はさすがとしかいいようがない。
内容的には『ベルリンファイル』に似てる感じがしたけど、見慣れたダレた展開もなかった。
同じリュ・スンワン監督の『密輸 1970』でもそうだが、チョ・インソンのアクションは切れがあり、演出も良かった。
同じくパク・ジョンミンは、本作では徹底してハードボイルドに寄せていて、演技の幅の広さがうかがえる。
この人は自分の演技に思うところがあり、しばらく本屋をして役者業からは距離を置くといっていたが、どうなったんやろ。
シン・セギョンについてはここ一番の表情が素晴らしく、ラストの”なでなで”するシーンは構図も含め素晴らしかった。
よくこんなラストを考えたと思う。
韓国映画らしい“えぐい終わり方”ではないが、リュ・スンワンなら納得。
あと、チョ課長のパートナー・イム代理を演じたチョン・ユジンが、ずっと韓国を代表するミュージカル音楽監督のキム・ムンジョンに見えて、「嘘やん?」と思いながら観てた。
アレクセイ、「お前はいつ死ぬねん!」とも。
ツッコミどころもあり、ソンファのラストの選択を含め「何で?」の描き方が弱かったように思うが、そやから内容が薄い理由ではないと思う。
これは”映画館で観たかった”という未練かもしれん。
大音響・大画面向きな作品ですからね。



