密輸 1970 | 三匹の忠臣蔵

三匹の忠臣蔵

日々是好日。
お弁当ブログだった「お弁当にはたまご焼き」からリニューアル。
映画レビューを中心に、日々思いついたこと、感じたこと、趣味のことを書いてます。

やっと見た、最後の一滴まで面白かった!
内容はさて置き、声から判断するとハリュンのチェ・ジョンウォン、チン・ギョンも出演しており、映画館で見られたのが何より良かった。
”昭和ミュージック”がガンガン鳴り響き、自宅で見るとボリューム調整に苦労しそう。
オクブン(コ・ミンシ)が黒幕と一緒に海へ飛び込む、勇猛果敢なイギデ(二妓台)ジャンプも良かった。

ただ、気になったのは字幕の「家政婦」表記。
キム・ヘスがオム・ジョンアに生い立ちを話すシーンで、セリフは「シクモサリ」と言ってて、この字幕は3回出てきます。
3回目は「シクモサリ」と言っていないのに字幕は家政婦となっていたかな。

シクモサリを直訳すると「食母生活」や「食母暮らし」で、意味的に日本語で近いのは「住み込みの女中暮らし」になりますかね。
この言葉はユン・ヨジョン主演の「バッカス・レディ」でも生い立ちで使ってたと思う。

シクモ(食母)とは、貧しい家の少女が、経済的に余裕のある家に預けられ、無給で家事を手伝うことなんですが、「食べさせてもらうだけでも感謝しろ」という考えのもと、口減らしのために出された女中奉公のようなもので、「差別と蔑視、貧困」を象徴した言葉になります。

したがって、刑務所での面会で出た2回目の「家政婦」のセリフは、「シクモサリ上がりなので良くしてやったのに」という意味になる。つまり、キム・ヘスは人に言えない修羅場をくぐってきた、ということを表現してるんだと。

この「シクモサリ」の背景を理解することで、キャラクターの人生が社会的な文脈で明確になり、戦後から続く社会の格差や、当時の女性たちの貧しさを伝えることで「時代設定がより鮮明になる」のではないかな。

と思った次第です、ご参考まで。