昭和の時代、日本の国民的英雄だった伝説的なプロレスラー力道山、本名はキム・シルラク(金信洛)、日本名は百田光浩。
彼は朝鮮出身であり、その一代記を描いた作品。
いじめに耐えかねた力道山(ソル・ギョング)が相撲をあきらめ、髷を切り、プロレスと出会い、国民的ヒーローにのし上がる彼の人生を描いている。
ソル・ギョングの体の作り方がエグい。
興行主の会長(藤竜也)を通して、きれいごとではない興行の世界も描かれている。
戦後、芸能界にしろ興行を仕切っていたのは裏社会の人たちで、このあたりをしっかりと描くのは韓国映画らしい。
日本ではこうした描写は難しい。
子どもの頃はプロレスがテレビで見られ、ジャイアント馬場がプロレスを引っ張っていた。
力道山は他界していたが、その名前はまだ知られており、子どものヒーローだった大木金太郎も登場していたと思う。
その後、力道山と言えばアントニオ猪木。
とにかく気性が荒く、弟子への日常的な暴行は虐待そのものと言われていた。
「虐待三羽烏」と言われたジャイアント馬場、大木金太郎(キム・イル=ノ・ジュノ)、アントニオ猪木の中でも、特にアントニオ猪木への暴力は伝説となっている。
しかし、その猪木が北朝鮮に住む力道山の娘に会いに行き、政治家になってからは日朝関係に風穴を開けようと何度も訪朝したことを考えると、「そこに愛はあったんだろう」と思ってしまう。
ちなみに、力道山の暴力的指導は、その後の日本プロレス界における体罰文化に影響を与えたと言われているが、その源流は大相撲にあるのは間違いない。
力道山は早々に引退してビジネスをやりたかった。
「力マンション」を手掛けるなど、プロモーターのようなことをしたかったと言われている。
森永健次郎監督で力道山主演の「力道山物語 怒涛の男」もその流れの一つで、引退後を考えての活動。
ここには彼が考える理想の力道山像が描かれている。
身分を明らかにしてはどうかと勧めるキム・ミョンギル(パク・チョルミン)に対して、力道山は「朝鮮が俺に何をしてくれた」と言う。
これは金田正一も同じことを言っていた。
そして「憧れの存在は朝鮮人ではいけない」、こちらは松田優作が言っていた言葉。
先に「朝鮮出身」と書いたが、彼らの時代は日本人として生まれ、戦後、突然朝鮮人となった時代背景がある。
日本は植民地支配下で彼らを日本人として扱いながら、戦後は国籍を一方的に剥奪し、置き去りにした。
他国を植民地にしながら、戦後に一方的に国籍を剥奪したのは、恐らく日本だけだろう。これは、ヨーロッパなどで黒人であっても欧米国籍を持つ人々がいることからも見て取れる。
当時の朝鮮人の間では、自分が日本人からどう見られているかを気にし、望まれる姿になることで、どん底の扱いから抜け出せると考えていた。
そうして自分の場所を作るしかなかったのだろう。
今、れいわ新選組の党首である山本太郎も出演している。
彼はアパッチ部落を題材にした映画「夜を賭けて」や「GO」などに出演しており、これが在日朝鮮人とされるようになったきっかけでもある。
力道山、大山倍達、柳川次郎は何かしらの付き合いがあったと言われているが、竹内力主演の「実録 柳川組」以外ではその関係は描かれていないのではないかな。
