記憶をあまりにも簡単に扱った『記憶の夜』 | 三匹の忠臣蔵

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記憶をなくしたことを知らなかった男が、やっぱり知らなかた方が良かったと心底思う、「最後まで行く」で脚本を担当したチャン・ハンジュン監督作品。

秘密の部屋がある一軒家に引っ越してきた四人家族。
親子四人仲良く暮らしてたソン・ジンソク(カン・ハヌル)の兄ソン・ユソク(キム・ムヨル)が突然誘拐される、と思ったら何故か笑顔で戻ってくる。

それでも不思議に思ったジンソクは父(ムン・ソングン)と母(ナ・ヨンヒ)に相談するが取り合ってもらえない。
ジンソクは自分の手で真相を追うことにするが、「なぜ?」は解消されないまま終わる。

早々に露骨なネタバレが提示され、これを頭に入れて見ることになる。
前半の緊張感とミステリアスな雰囲気で引きつけるが、中盤は勢い失速、終盤は説明のネタ証しが長すぎて冷めてしまう。

しかもご都合主義な人間関係でテンポが緩み、それなら前編に、例えばユソクの幼少期の苦労を丁寧に描くなど、もっと緊張感ある作り方はできなかったのかとツッコみたくなる。

結局、カン・ハヌルとキム・ムヨルの演技に頼るところが多く、前半で力尽きたのが残念。
ムン・ソングンとナ・ヨンヒの、見るからに怪しい演技も後半へのつなぎとしては良かった。

「最後まで行く」のレベルではなかったね。