冤罪事件の日韓の差【善惡の刃】 | 三匹の忠臣蔵

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タクシー運転手刺殺事件で15歳の少年が有罪になり、服役した10年後、お金もバックもない崖っぷち弁護士と出会い無罪を勝ち取る戦いを描いた実話ベースのサスペンス。
原題は『再審』で、2000年 8月10日に全羅北道益山市永登洞で起きた「益山薬村五差路タクシー運転手殺人事件」をモチーフにしてる。

日本でも冤罪の見出しが踊る昨今、2025年8月1日に無罪が確定した前川彰司さんの『福井中学生殺害事件』で思い出し、再視聴した。

深夜2時に五差路交差点『益山薬村』でタクシー運転手殺人事件が発生する。この事件の唯一の目撃者だった10代の少年チョ・ヒョヌ(カン・ハヌル)が、警察の捜査で犯人とされ、10年間服役することになる。

一方、仕事もなく借金も積もり、家庭崩壊寸前の弁護士イ・ジュニョン(ジョンウ)は、無料弁護士相談でヒョヌの事件を知るり、金と名誉のために冤罪裁判を提案する。

最初は心を閉ざしていたヒョヌがジュニョンに希望をみいだし、ジュニョンも正義感に目覚め再審開始を目指すが、刑事ペク・チョルギ(ハン・ジェヨン)や警察と、同僚の弁護士モ・チャンファン(イ・ドンフィ)と担当検事チェ・ヨンジェ(キム・ヨンジェ)が立ちはだかる。

事件現場となった、深夜2時の薬村五差路の雰囲気が不気味で、奥深く冤罪の魔物が住んでるように見える。
驚くことに、映画の全体のプロットが実際の事件と80%一致するらしい。

映画では警察署内部での拷問や過酷な行為のシーンは描かれていないが、実際の事件では刑事たちが某氏(映画ではヒョヌ)を益山警察署の刑事課に連行し、ビンタや『原産爆撃』(身体を極端に酷使する行為)などさまざまな暴行や過酷な行為を行っていた。

さらに、ヒョヌの身元を確認するために母親(映画ではキム・ヘスクが演じるスニム)が警察署を訪れた瞬間にも、暴行は続いていたという衝撃的な現実は描かれていない。というより描けなかったんやろうね。

このエグさをペク・チョルギ役のハン・ジェヨンが見事に演じていて、この人はどんな役でもこなし、名演が光る。

この他にも、とても映画では描けない現実があったらしい。
ちなみに、、作品中では崖っぷちの弁護士と描かれているジュニョンだが、モデルとなったパク・ジュニョンさんは、2007年の水原駅ホームレス少女殺人事件で再審事件の活動を始めていた。

韓国では冤罪で16年、日本では今回の福井で39年、この差は何なんだ。
数年前から言われていることだが、韓国で冤罪事件があった場合、関わった検察や警察は法廷に立たされる。
しかし日本ではそのようなことはなく、無罪放免どころか栄転すらある。

偶然の一致と思いたいが、こちらも冤罪で死者まで出した『大川原化工機事件』と前川さんの冤罪の場となった福井県がつながる。

大川原化工機の冤罪事件の立役者と言われていた警視庁公安部第一課長の増田美希子氏が、福井県警本部長に栄転し、福井県警初の女性本部長として話題になっている。
彼女は警視庁の黒歴史にも残るほどの冤罪事件をでっち上げた首謀者と言われている。

 

 

映画「悪の刃」ポスター、タクシー運転手殺人事件モチーフ