倫理と生存の狭間を描いた:ベサメムーチョ | 三匹の忠臣蔵

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借金返済の重圧と後ろめたさの中で、夫婦それぞれが愛と家族を守り、危機を乗り越えられるのかを描いた、“何が善で何が悪か”というモラルの曖昧さにも切り込んだ社会派ドラマ。

4人の子供を育てながら毎週水曜日に夫婦の時間を大切にするイ・チョルス(チョン・グァンリョル)とヨンヒ(イ・ミスク)は平凡な日々を送っていた。
しかし、チョルスが失業し、友人の保証人となったところ、その友人が蒸発したため、1億ウォンの代理返済を迫られ、家屋も差し押さえられる。
返済の猶予は1か月。

夫婦はこの危機を乗り越えようとするが、チョルスは不正に手を染め、資産家ソリン(ホン・スンヒ)に誘惑される。一方、ヨンヒは旧知の実業家ハン・ジフン(ハン・ミョング)から秘密の提案を受ける。

不正をして稼ぐのと体で稼ぐのと何が違うのか?という道徳的に際どい問題になる。
日本でも、旦那公認で奥さんがAVで稼いで家計を支えるケースは珍しい話ではない。
そう考えると、テーマはそれほど衝撃的でない、だから心に響かないと感じる人もいるかもしれない。

2001年の作品なので、そのあたりは微妙。四半世紀が経つと、社会の価値観も大きく変わるからね。
ただ、あなたの妻や夫だったらどうします?という問いは成立すると思う。

返済期日のカウントダウンが字幕に表示され、何か劇的な展開を期待したのに、ごく当たり前の常識的な展開。
何がしたかったんだ。

唯一緊張感と言っていいのか分からんが、4人の子供たちの無邪気な姿が希望や家族の絆の象徴であり、親からするとこれ以上のプレッシャーはない。そう考えると、この設定は良かったと思う。

ただ、長男ジオが実はチョルスの兄の子供だったというサブプロットは、なかっても良かったと思う。
まぁ、描き方の問題とは思うけど。

そういう意味で言うと、返済期日のカウントダウンと同じ。
入れるなら、何かしらあしらえよと。

一応ではあるが、ハッピーエンドのラストには救われた。
ラスト、「キスしてください、たくさんしてください」「あなたを失うのが怖い」の『ベサメ・ムーチョ』が流れたが、歌詞が夫婦の愛や切なさを象徴していると思うので、字幕が欲しかった。