病気の父と一家の生計を助けるため、老人(殿山泰司)の妾になったお兼(若尾文子)。
やがて老人は遺産を残して死に、残した遺産は家一軒を買ってさらに田んぼが買えるほどの大金。
ところが、お兼の父もまた他界する。
お兼は母の希望で共に暮らしていた村へと帰るが、村八分になる。
そこに兵役から戻ってきた模範青年の清作(田村高廣)と出会い、二人は村中を敵に回して結婚し、幸せな時間を過ごしていた。
しかし日露戦争が勃発し、清作に召集令状が届き、戦地へ向かうが、負傷して帰郷する。
模範青年としては、傷が治るとまた戦地へ赴こうとするが、お兼は清作の両眼を刺して二年の服役、清作は戦地行きは免れる。
刑期を終えてお兼が戻ると、清作はなんと言ったか。
ってお話。
脚本は新藤兼人。やっぱり1960年代の日本映画は凄いな、脚本もさることながらカメラワークといい、俳優の演技といい、これでもかと訴えてくる。
圧倒的な存在感を放つ、美しさと孤独を併せ持った若尾文子のふてぶてしいほどの強さと、清作を慕っていたお品(紺野ユカ)のコントラストが、排他的で閉鎖された農村社会の雰囲気をよく表している。
ただ、若尾文子が演じるお兼の感情が阿部定と重なるが、これが明治の世界観なんかな。
あと、成田三樹夫は気が付かんかた。