癖になる辛さで知られる「辛ラーメン」、私も時々無性に食べたくなります。
そんな「新羅麺」こと辛ラーメンに挑戦状を叩きつけたのが、話題の新商品「百済麺」こと「白製麺」。
この白製麺を発売したのは、鶏肉で有名な「夏林(ハリム)」で、イーマートと協業し、あえて「辛ラーメン」を意識した攻撃的なネーミングで勝負に出たということ。
新羅と百済、時空を超えた味の対決
韓国の歴史に詳しい方ならピンとくるかもしれませんが、実はこの二つの商品名、歴史的な国名に由来しています。
日本では新羅(シンラ)を「シラギ」、百済(ペッチェ)を「クダラ」と呼びますが、韓国語では辛ラーメンが「신라면(シンラミョン)」、つまり「新羅の麺」と発音されます。
一方、白製麺は「백제면(ペッチェミョン)」、「百済の麺」を意味します。
つまり、現代のインスタント麺の世界で、「新羅」と「百済」が時空を超えて味覚戦争を繰り広げようというもの。
地域と歴史が味に宿る
辛ラーメンを製造する「農心(ノンシム)」の本社は慶尚南道・釜山にあり、かつて新羅の領域だった地域に位置しています。
対する白製麺の「夏林(ハリム)」は全羅北道・益山に本社を置き、こちらもかつて百済の本拠地でした。
味の違いと歴史の因縁
辛ラーメンは牛骨スープの濃厚な味わい。
白製麺は鶏ガラベースに豚骨と牛骨の旨味、さらに海鮮と野菜の風味を加えた深みのある鶏コムタン味。
個人的にはどちらも好きなので、交互に食べて飽きないのが嬉しいところ。パッケージも白を基調にしていて、あっさりすっきりした印象。
三国時代の背景
朝鮮半島の三国時代は4世紀中頃から7世紀中頃まで続き、高句麗、百済、新羅の三国が激しい勢力争いを繰り広げた時代です。
高句麗は朱蒙(チュモン)が建国し、現在の朝鮮半島北部と中国東北地方の一部を支配し、広開土王の時代に最盛期を迎えました。
百済は朱蒙の三男・温祚(ウンジョ)が建国し、古代ドラマ「朱蒙」でもおなじみですが、百済の生い立ちが「近肖古王」と「朱豪」ではまったく違う様に描かれているので比較してみるのも面白い。
最終的に百済は唐と新羅の連合軍に滅ぼされましたが、今回の白製麺のマーケティングはこの歴史的な末路をどう捉えているのか、非常に興味深いところ。
歴史と地域性を味わう楽しみ
ただのインスタントラーメンの対決にとどまらず、朝鮮半島の歴史や地域性を背景にしたストーリーが絡むこの戦い。
新羅の辛さか、百済のまろやかさか。
韓ドラファンとしては、単なる食べ物以上の深みを感じ素直に早く食べたいと思います。