離婚した両親に対する複雑な感情や、環境の変化に戸惑いながらも揺れ動く思春期の少女の心情を描いた作品。この作品も10代の少女オクジュ(チェ・ジョンウン)の視点で、家族のあり方を描いています。
出演者の演技がとても自然で、バックミュージックや効果音もなく、ストーリーは淡々と進みます。まるで実際の家族の姿を見ているようで、イラン映画「別離」を思い出した。
夏休みのある日、オクジュは父ビョンギと弟ドンジュと共に、大きな庭のある祖父ヨンムクの家に住むことになる。
居心地の悪さを感じながらも暮らしていると、次は叔母のミジョンも加わり、まるで合宿生活のような日々が始まります。
生活の変化に戸惑いながらも、ふたりの孫たちを温かく見守るヨンムク。
事業に失敗し、車でバッタモンの靴を売りながらも、資格取得のために勉強中のビョンギ。
「離婚すると考えると楽しみでならない」と言うミジョンですが、その理由は分からない。
思春期でさまざまなことが気になるオクジュと、何事にも無頓着で天下泰平なドンジュ。何かとオクジュにチョッカイを出すドンジュの姿が無邪気でかわいらしい。しかし、オクジュに甘えているようにも見えるが、実はオクジュの方がドンジュの無邪気さに支えられているようにも見える。
夏休みに母親に会いに行くというドンジュに「プライドってないの?」と問い詰め、「うん」と答えるドンジュに対し、オクジュは「会うな」と怒る。前回も会えなかったらしいけど、なぜオクジュがこれほど怒るのか、その理由は見るもの想像に委ねられている。
やがて、ヨンムクの介護を心配するビョンギとミジョンは、施設に入れて家を売ることを考える。居候している子どもたちが、父に相談もなく家を処分しようとすることに異を唱えたのがオクジュ。
軒先で肴にイカを炙ろうと、コンロを借りてきたビョンギに対するミジョンの問に「生きるためには図々しさも必要」と言い放つが、現実を受け入れるしかないなら返す言葉がない。