大統領の理髪師 | 三匹の忠臣蔵

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平凡な理髪師が突如大統領の理髪師になったことで、彼と家族の周りに巻き起こる予期せぬ出来事をユーモラスに描いたヒューマン・コメディ。
韓国の1960〜70年代の激動期を、政治とは無縁だった市井の視点から描くことで、当時の不条理な政治状況をコミカルに浮き彫りにした作品。

青瓦台がまだ景武台と呼ばれていた時代、この町で孝子理髪館を営んでいたソン・ハンモ(ソン・ガンホ)は、国がすることならば常に正しいと信じていた。

李承晩政権を崩壊させた4.19革命の導火線ともなった「3.15不正選挙」のシーンでは、お国のために投票用紙を食べたり、野山に投票紙を埋めたりして、三人組公開投票や投票用紙の掏り替えなど不正選挙の一端が描写されている。

 

妊娠したけど結婚はしないというミンジャ(ムン・ソリ)を説得したのも「四捨五入改憲」で、冒頭部分では、盲目的に市井の人々が李承晩政権を支持していた様子が伺える。

ある日、ハンモは、陣痛が激しくなったミンジャをリヤカーにのせて病院に向かう途中、大規模デモに遭遇する。
軍人の発砲に傷を負った学生たちは、白衣を着たハンモを医師と間違いし、ハンモはミンジャを乗せたリヤカーに青年たちも乗せて病院へ向かい、ナガン(イ・ジェウン)が生まれた。この日が後に「4.19民主革命」と呼ばれることになり、李承晩政権は退陣する。

ある日、訪ねてきた大統領府警護室長チャン・ヒョクス(ソン・ビョンホ)によって、ハンモは人生の転機を迎える。ひょんなことから大統領の髪を切る大統領府理髪師となる。

竜の話、チャングムの誓いみたいでが、物語は禿頭の新大統領が登場して終わります。全斗煥ですね。
その禿頭の新大統領に向ってハンモが「髪の毛が生えたらまたきます」という言葉は、素直な気持ちにも思えて笑える。