絶対の愛 | 三匹の忠臣蔵

三匹の忠臣蔵

日々是好日。
お弁当ブログだった「お弁当にはたまご焼き」からリニューアル。
映画レビューを中心に、日々思いついたこと、感じたこと、趣味のことを書いてます。

恋人の愛情を取り戻すために整形で別人になった女と、そうとは知らず新しい恋に落ちる男とのすれ違い。
二人の関係を変えてしまう時間の流れと、過去には戻れない時間の一方通行、どれだけ努力しても時は戻らない現実を描いていて、キム・ギドクらしい残酷な作品。

長年付き合っていたセヒ(パク・チヨン)とジウ(ハ・ジョンウ)。
セヒはジウの愛情が冷めてきたのは「自分に飽きたから」だと悩み、突然姿を消し整形手術で別人になる。

しばらくセヒを探していたが、セヒと通ったカフェで「セヒ」と名乗る女性に出会い、彼女と恋に落ちるがこれが整形した新セヒ(ソン・ヒョナ)。
新セヒはジウを誘惑しつつ、彼が本当に元のセヒを忘れたか試すが、ジウはセヒを忘れられないと告白する。

しかし元の顔に戻れないセヒは、自分の写真で作ったマスクをかぶってジウの前に現れ、正体を明かす。
驚いたジウはその場を立ち去る。新セヒはジウが新しい姿で自分の前に現れるだろうと期待する。

ジウのヨニ(キム・ジホン)に対する行動を見ていると、やっぱりセヒが求めているものとは違って、彼は単純に愛がどうのこうのとは無縁の中途半端な男。
失った愛の大きさに気づいてるとか、後悔してるようには見えない。
だからセヒの切ないほどの努力は噛み合わずに空回りしていて虚しささえ感じる。

どうなんかな、付き合ったのもたった2年やし、元々の性格にも問題があったのか、倦怠期にも、見えるし。
結婚もできず長年付き合った焦りから若さに嫉妬するというのもあるし。

整形すると元の顔には戻れない、過去には戻れないし、時間も取り戻せない。
やっと気づいたジウにしても、まあ顔は恋愛の要件ではないとも言えるし。顔はきっかけぐらいで、見慣れたらそれでいいもんね。

そう考えると原題の「時間」は成長であり、変化であり、老いにも似ていて、いくら努力をしても過ぎ去った時間は取り戻せない。
そして顔は人生の年輪を刻んでいて、整形は「何かしらの動機」そのものを象徴しているのかもね。

ソン・ヒョナの演技がエグい。最近見た「女は男の未来だ」良かったんだが、もったないねこの人も。
アン・ソニョンに似てると思うことがあるけど。

それとこの喫茶店、普通に考えてセヒとジウは出禁やろ。