古山子(コサンジャ) 王朝に背いた男 | 三匹の忠臣蔵

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朝鮮の完璧な地図「大東輿地図」の完成に一生を捧げた金正浩(キム・ジョンホ)と、その地図をめぐる朝鮮王朝の権力争いを描く歴史サスペンス。金正浩の号が古山子となる。

王朝の地図作りに"モグリ"で参加するほど熱心なキム・ジョンホ(チャ・スンウォン)は、幼いころにデタラメな地図で父(イ・ソクチュン)を亡くしたことから、正確な地図を作ることが人生の夢と言い、朝鮮半島を歩き回って地図を書く。

地図の完成が近づき、誰もが正確に複製できるよう、道中で描き溜めた地図を版画にするため、3年半ぶりに娘(ナム・ジヒョン)のもとへ帰ってきた。
しかし、その地図の精度の高さを聞きつけた興宣大院君(ユ・ジュンサン)と宮廷の重臣・キム一族は、お互いの権力争いにジョンホを巻き込み、争うことになる。

朝鮮初の完璧な地図「大東輿地図」、王朝にとっては権力の象徴で、もし他国の手に入ったら国を脅かすことにもなるからと、民には知らせず王朝が管理するという。
復権を狙うキム一族にとっては、自分たちを護る事ができる道具。
ジョンホは、誤った地図で亡くなった父親のような人をもう出さないという信念で、民のために使うべきだと一歩も譲らない。

地図のために、一度家を出ると3年も帰ってこないような父親。娘の年齢も顔すらも忘れてるような父親を待って、一人家を守るスンシル(ナム・ジヒョン)。
ジョンホの良き理解者、彫り師のファ・バウ(キム・イングォン)。

スンシルとヨジュ宅(シン・ドンミ)は、ジョンホに「自分と地図のどっちが大事なの?」と尋ね、ジョンホは「お前だよ」と答えるものの、誰も信用してない。
その後のシーンで地図が他国に渡るとどうなるかを身をもって体験することになる。
ジョンホ自身が地図が持つ意味と力を知らなかった。
そして、興宣大院君といえば天主教の「キリスト教弾圧(丙寅教獄)」。

冒頭の地図行脚は「大王セジョン」でも見た気がするけど違ったかな。
あと、シン・ドンミは役作りが上手いと思う。

韓国映画を見てるとよく出てくる呼称、金正浩の「号」やヨジュ宅の「宅」ってなんぞや?という話。
金正浩の号である「古山子」は、彼の学識や業績が認められて与えられた、または自ら選んだ呼称で、これは、学者や文人が使用する別名で、その人の理想や志を表現することが多い。

 

ミスター・サンシャインでの「ハマン宅」、本作の「ヨジュ宅」のような呼び方は、主に既婚女性に対して使われる呼称。
出身地や特徴を表すことが多く、この場合「ヨジュ」という地域出身の女性を指すらしく、夫もこの宅号で呼ばれることがあり、例えば「ヨジュ両班」のように呼ばれることもあるらしい。