ミスター・サンシャイン | 三匹の忠臣蔵

三匹の忠臣蔵

日々是好日。
お弁当ブログだった「お弁当にはたまご焼き」からリニューアル。
映画レビューを中心に、日々思いついたこと、感じたこと、趣味のことを書いてます。

 

 

1871年に勃発した辛未洋擾の混乱の中、アメリカにたどり着いた子どもがアメリカ海兵隊大尉として朝鮮に戻り、歴史のうねりに巻き込まれ、国が消えていく話。
咽び泣くようにもがき苦しみ、何かを訴えるようなオープニングのバイオリンは弦がしなってて心に響きます。駆け上がるピアノも力強く心に迫ってきますね。

仕事で画像や動画の編集をするんですが、このドラマのカメラワークとバックサウンドはとにかく素晴らしいの一言。
巧妙なフォーカスコントロールから繰り出される計算された構図と、何より光と影の操作が巧みで、結果的に動的で奥行きのある映像美を生み出している。
そして音の使い方も見事で、特に暗から明に変わるシーンでの管楽器に乗るスキャットは透明感があり視覚的な語りを生み出している。
素朴な響きの管楽器は西洋楽器ではなく民族楽器だろうね。
動画編集の参考しようと何度も見ています、今も。
ホント勉強になります。

 


この作品は1895年の乙未事変から1910年までを日本が朝鮮を植民地化しようとする動きが本格化する1902~1907年を中心に、朝鮮併合前後に活動した義兵を描いています。
個人がヒーローではなく、その時代を生きた市民が主人公です。
物語は1871年の辛未洋擾の頃から始まります。
奴婢の両親のもとに生まれたユジンが推奴に追われ、米軍艦に乗り込みアメリカに渡ります。この時の登場人物がのちの伏線となります。
1907年にハーグ密使事件が起こり日本が圧力をかけ、李氏朝鮮王朝26代王・高宗が退位します。
ちなみに高宗の妃である明成皇后は、日本の公使が主謀者となり日本の軍隊、警察らが王宮に乱入し殺害され、遺体も焼かれてます。
「辛未洋擾」「日露戦争」「日韓議定書」「乙巳五賊」「ハーグ密使事件」「朝鮮併合」など、歴史に関するキーワード順にドラマが進むので調べながら観ると理解が進みます。

 


最終回で義兵を取材した英国人記者は実在した人物でフレデリック・アーサー・メケンジといい、彼がイギリスに帰国して出版したのが「韓国の悲劇」1908年だそうです。
この本には日韓併合前後の歴史的実証と抵抗と対立、証言などが記録され撮影した27枚の写真も収録されています。
脚本家のキム・ウンスクさんはこの義兵らの写真からインスピレーションを得て執筆したそうです。

公開時に「親日派」を美化してると批判されましたが、乙巳五賊が暗殺さるシーンで親日派とは、も理解できます。
この時代の映画やドラマになると反日だとかフィクションだと騒ぐ人がいます。
ハリウッドの戦争映画でナチス、今のドイツが悪役として描かれても別に反ドイツ映画にはならないのと同じで、日本が悪役のように描かれたからと反日映画と単純にすり替えるのは違うと思いますね。