内容は重たいけど、面白い。
115分の映画ですが長編作品を観てるようで、映画の魅力を感じた作品。
物語はソウルを離れ、華川に住むジヌと幼いソルの日々から始まる。
安息の日々の中で訪れた、ソルを出産して消えた妹ウニョンの登場が複雑な転機となる。
ジヌの同性愛の噂も広がり、静かな暮らしが崩れていく。
江原道華川の美しい風景、洗練された映像、対角線を織り交ぜた巧みな構図には、お見事としか言いようがない。
この映像が暗い雰囲気をリセットしたり、ストーリーに奥行きを与えている。とにかく撮り方が上手い。
ソルはジヌをオンマ(お母さん)と呼ぶ、これが固定観念の象徴なんだろう、とにかく無駄なシーン、無駄なセリフがない。
詩の作り方を学ぶシーンが、後の農場主(アボジ)の「すべては分からなくても、理解できることもある。」への伏線になってて、娘さんも可哀想。
村の人々の裏切りに対するジヌの心情や、性的マイノリティーとしての生き方に対する苦悩。
『遠い所』は本当にあるのか、どれだけ遠くに行けば良いのか、という問いに対する答は複雑で、それは「欲」なんだろうかで終わってる。