雑草のように生きる人々を観察しているが、自分も観察されていたというオチ。
喫茶店に集まり人生を語る市井の人々の後ろで、聞き耳を立て盗み聞いているアルム(キム・ミニ)。
一つの会話そのものが一つのプロットなのか、このやり取りを観察していたアルムが感想を語る。
アルムは喫茶店で得た知識をもとに弟ジノ(シン・ソッコ)に説教するが、噛み合わない。
他人の人生の評論家になってしまったアルムの言葉は軽すぎて、感想をしゃべってるだけにしか聞こえない。
盗み聞きがバレていて、アルムは「こっちに来い」と誘われるが断る。
他人の人生を疑似体験しているだけの自分が、懸命に生きている人の輪に入れないことを本能的に悟ったのではないかな。
上から目線で感想を語っているけど、雑草のように懸命に生きている人たちと疑似体験は違うことを。
結局、アルムがホン・サンス自身だったということではないかな。
明確な主人公がいてストーリーがあるわけでもない、市井の人々の会話が延々と続く。
客同士が会話している背後で流れるクラシックの調べの上に会話が乗り、一つ一つが小粒の短編のようにも思える。
見ているとクラシックのクライマックスに向けてストーリーがどうなるかも想像してしまう。
ラストはオッフェンバックかな、余韻を残すように終わってる。
この作品の前だったかホン・サンスとキム・ミニの不倫が問題になりホン・サンスが怒っていたというニュースを見た覚えがある。
まぁ、キム・ミニがやたらと(5本目?)彼の映画に出てるので聞いても驚かなかった。やっぱりって感じで。
私的にはアン・ジェホン、コン・ミンジョンのパートが一番良かった。
アン・ジェホンもいいが、コン・ミンジョンがこんな役を演じられるのかと驚いた。
