「グリーンブック」を観た。
2019年、第76回ゴールデングローブ賞、そして第91回アカデミー賞のいずれも作品賞を受賞した珠玉の名作。
この映画は、実話に基づいている。
まだ黒人の人種差別が色濃く残る1962年、黒人天才ピアニストのドクターシャーリーが、南部に演奏旅行に行くため、クラブの用心棒をしていたイタリア系白人のトニーリップを運転手件用心棒として雇う。
映画でも描かれているが、当時は黒人差別はひどかった。
特に差別のひどい南部に演奏に行くのは、まさに命懸け。
そしてこのタイトルの「グリーンブック」とは、当時黒人が利用可能だった施設を記したガイドブックのこと。
このグリーンブックを頼りに、2人は8週間の演奏旅行に出かける。
その間で、粗野で暴力的な用心棒のトニーは、ドクシャーリーの天才的なピアノに魅了され、尊敬の念を抱く。
そしてドクシャーリーも、粗野で野蛮だが、正直で真っ直ぐなトニーに信頼を抱き、この2人の心温まる心の交流を描いている。
本来なら、白人より黒人の方が、貧困と差別で社会的地位も低いのだ
が、このドクシャーリーは天才的なピアニストであるだけでなく、博士号も8つも持っているという最上流階級である。
一方のトニーリップは、クラブの用心棒で生計を立てるイタリア系白人なのだが、当時、黒人の運転手をさせられるのは屈辱的だったろうと想像できる。
しかし、この2人は様々な事件を通じ、心を通い合わせ、実際にドクシャーリーが86歳で亡くなった、わずか3ヶ月後に後を追うように、トニーリップもこの世を去っている。
その間も、ずっと2人は変わらぬ友情を育んでいたらしい。
このドクシャーリーは、「春の祭典」「火の鳥」など、20世紀を代表する作曲家ストラヴィンスキーが、「彼の技巧は、神の領域だ」と言わしめたほどの天才だった。
しかし、元々はクラッシックのピアニストだったからか、あるいはあまりに育ちが良すぎたからか、天才でありながらジャズピアニストとしての名声はあまり残していない謎の人物でもある。
有名なジャズミュージシャンとしてデュークエリントンと、共演したくらいしか、記録も残っていない。
しかし、この映画のラストシーン、8週間の演奏旅行を終えて、運転に疲れたトニーに代わり、ドクシャーリーが運転してクリスマスにニューヨークに戻ってくる。
その雪がしんしんと降り積もる、ニューヨークの町並みは幻想的で、感動するラストシーンである。
是非、お薦めしたい映画です。