『永遠の0』を読んだ。
ただ一言、感動した。途中で何度も、涙があふれてきた。
ご存じ、百田尚樹氏が2006年に書いたデビュー作で、累計350万部売れている国民的ベストセラー小説。
今年、映画化され、12月21日から全国ロードショー公開らしいが、主人公の天才パイロット、宮部久蔵を演じるのがV6の岡田准一、その妻・松乃を演じるのが、井上真央。
祖父の足跡を辿る現代に生きる孫が、三浦春馬と吹石一恵。
その他、特攻隊員役も夏八木勲、平幹二郎、山本学、橋爪功と錚々たる役者が揃っている。
監督は「ALWAYS三丁目の夕日」で、日本アカデミー賞受賞の山崎貴監督。
そして主題歌はこの夏、完全復活したサザンオールスターズ。
物語は、現在、司法試験に4回落ち、フリーターの佐伯健太郎とジャーナリスト志望の姉・慶子が、祖母の葬式で今まで血がつながっていると思っていた祖父が、実は再婚であることを聞かされる。
そして実の祖父が特攻隊員で戦死したことを知り、実の祖父を知る調査を始める。
かつて、一緒に戦った太平洋戦争の生存者を訪ね歩き、祖父の話を聞く。
そして次々に祖父の人物像が明らかになるのだが、読み進むうちに、様々なエピソードが明らかになり、読者はぐいぐい引き込まれていく。
開戦当時は、世界一の無敵の戦闘機だった海軍零式戦闘機、零戦。
その祖父が、真珠湾攻撃から参加した、神技のテクニックを持つ零戦の天才パイロットであり、何より愛する妻と子供のために生きて帰りたがっていたということを知る。
当時は、お国のために命を投げ出すことが当然の軍隊において、生きて帰りたいという祖父を臆病者よばわりする生存者も多くいる。
この時代に家族を何よりも大切に思い、愛する妻と子供のために生き残ることは罪悪だったのか。
太平洋戦争は、なぜ引き起こされたのか、何が間違いだったのか?
臆病者で自分の命だけを大切にし、兵隊を虫けらのように特攻させた当時の海軍エリートたち。
それでも国を想い、家族を守るために命を投げ出し戦った多くの若い兵士。
そして最後に、あれほど家族のために生きて帰ろうとした祖父が何故、終戦間際に特攻に身を投じたのか?
その謎が、最後に明らかになったとき、涙が止まらなかった。
最後のほうは、どんでん返しの連続で、最期まで、飽きさせない文章力はとてもデビュー作とは思えない。
あの戦争は何だったのか?
命とは?平和とは?愛とは何か?
本当に考えさせられた。
今年、終戦から約67年が経つ。
その当時を知る人たちは、もうすぐいなくなるだろう。
だからこそ、今、多くの日本人にこの小説を読んで欲しいと真剣に思った。
この67年前の世界をリアルな映像では、どのように表現するのかもとても楽しみである。
先日スタジオジブリの『風立ちぬ』の映画を観たが、あの映画も戦時中、この最強の戦闘機『零戦』の開発に命を懸けた堀越二郎氏の物語だった。
映画自体は良かったのだが、この宮崎駿監督が、この『永遠の0』の小説、映画を酷評しているのはとても残念でならない。
百田尚樹氏は、別に「零戦」を神格化しているのでもなければ、戦争を賛美しているのでもない。
宮崎駿監督は、強烈な反戦論者らしいが、あの戦争は何がいけなかったのか、その反省を検証しなくては、ただ「戦争反対」を唱えても机上の空論に過ぎない。
今、憲法9条の改正や沖縄米軍基地の移転問題で、国会ももめているが、国民が正しい判断をするうえで、この『永遠の0』は一つの羅針盤になる小説だと思う。


