『蘭に魅せられた男 驚くべき蘭コレクターの世界』という、蘭マニアの生き様を冷静な目線で描いたノンフィクションがあるのですが、それがとても好きで、

衝撃的な事件やドラマチックなストーリーはなく、淡々とした流れの中に、

植物マニアというものの本質が浮き彫りになり、光っているんです。

 

 

 

 

『蘭に魅せられた男』を映画化した「アダプテーション」も、観ました。

 

 

 

 

アダプテーションは”適応”という意味のほかに、”脚色”という意味もあるそうで、

植物が環境に適応することと、淡々と描かれた『蘭に魅せられた男』を、いかに脚色するか悩むストーリーが交錯していて、虚と実の境界が曖昧になって混じり合う奇妙な仕上がりでした。

監督と脚本家は「マルコヴィッチの穴」を制作した人たちです。

 

「アダプテーション」の中で、メリルストリープ扮する『蘭に魅せられた男』の作者(スーザン・オーリアン)が、蘭に魅せられた男=蘭マニアに「私もあなたたちがそんなに熱狂する幽霊ランを見てみたい」と訴え、自生地探索に連れて行ってもらいます。それほど熱狂させ、夢中になるものに自分も出会ったら、自分の人生も何かが変わるのではないかと期待を寄せてです。

二人で腰までつかるような沼を超え、湿地を歩くのですが、なかなか見つけることができません。ついに蘭マニアのジョン・ラロシュが着生している幽霊ランを見つけ、スーザン・オーリアンへ誇らしげに示します。

それを見たスーザン・オーリアンの心中のセリフが、

「なんだ、ただの草じゃないの」です。

私は、ここのシーンが特に好きです。

 

この温度差。

蘭マニアで、豊富な知識や栽培経験のあるラロシュにとって、まるで宝のような蘭であっても、スーザン・オーリアンにとっては、結局、ただの草なのです。きっと永遠に埋まらないであろう両者の溝が、蘭マニアを客観的に描く推進力になったのだと思います。

何かをコレクションしたり、崇拝するという行為は、対象を触媒として、自身の心から芽生えるものです。それは、もしかしたら幻想かもしれません。そのモノに感応することがなければ、「ただの○○」になります。

私は食虫植物がとても好きで、ラロシュの気持ちもわかるのですが、スーザン・オーリアンの目線も忘れずに持っておきたいです。

※ちなみに、原作の『蘭に魅せられた男』では、幽霊ランは結局見つかりません。

 

それはさておき、

ジョン・ラロシュとスーザン・オーリアンの幽霊ラン探索ほど、困難を極めるものではありませんでしたが、私も、過日、菌従属栄養植物のタシロランの探索をしてきました。

 

場所は四季の森公園。以前もここで見たので、

どんな感じになっているのか、見てみたかったのです。

いろいろ探してみたところ、広範囲にわたって生えていました。

 

以前見たときは固まって群生していたのですが、

今回はポツポツとまばらに生えていました。

その姿はキノコのようでもありました。

 

 

 

葉緑素を持たず、白く透き通る草姿は、よほど幽霊のようです。

 

必ず、近くにキノコが生えていました。

 

 

ーーーーー

 

キラキライベントのお知らせ、再掲しますキラキラ

7月21日(金)下北沢本屋B&B

木谷美咲×村田沙耶香×藤野可織「女たちが愛でる、植物の美とエロス」

 

芥川賞作家の村田沙耶香さん、藤野可織さんをお迎えし、

植物のエロス、そしてエロスの深淵について、お話しします。

そもそも文学と植物は親和性の高いものですが、

そこに官能というファクターが加わると、どんな風に話が広がっていくのか、予測不可です。

おそらく有機的に広がっていくだろう、

官能植物の宴を、ぜひお楽しみくださいませ。

 

■開催概要

日時:2017年7月21日(金) 20:00~22:00(開場19:30)

場所:本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)

出演:木谷美咲(食虫植物愛好家、文筆家)

     村田沙耶香(作家)

     藤野可織(作家)

入場料:1500円+1ドリンクオーダー(予約制)

イベントURL:

http://bookandbeer.com/event/20170721_event/

ご予約はこちら

https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01fugfyz2569.html

 

 

■本件に関するお問い合わせ先、取材申し込み窓口

NHK出版 山本耕平

Email : yamamoto-kh@nhk-book.co.jp

TEL : 03-3780-3307  FAX : 03-3780-3521

 

 

ーーーーーーー

 

新刊「官能植物」 information

 

 

官能植物 官能植物
 
Amazon

 

 

 

2017年5月16日上梓した著書「官能植物」のニュース&書評のまとめです。

 

 

植物の魅惑の世界へ惹きこむ本「官能植物」をご紹介!/LOVEGREEN編集部

https://lovegreen.net/special/p99619/

 

めっちゃ上品!知性溢れるエロス!いや、ほんまに。/HIU(堀江貴文イノベーション大学校)公式書評ブログ

http://bookrev.horiemon.com/entry/2017/06/27/220000

 

植物セクシー。植物に秘められた官能美に迫るビジュアル本『官能植物』がとにかく妖艶/カラパイア

http://karapaia.com/archives/52239902.html

 

SM、緊縛、両性具有... 一見エロい植物に学ぶ「官能」の深淵/BOOKSTAND

https://dot.asahi.com/webdoku/2017060100030.html

 

美しき官能植物ー35の植物に秘められた”官能”に迫る/ダヴィンチニュース

https://ddnavi.com/news/373685/a

 

木谷美咲『官能植物』:美と快楽への誘い/京都アカデメイア

http://kyoto-academeia.sakura.ne.jp/blog/?p=681

 

エキサイトコネタの『官能植物』ロングインタビュー記事です。

植物の美はエロティック。根源に光を当てる『官能植物』

By 篠崎夏美さん

 

書評サイトHonzさんの『官能植物』書評はこちらです。

いざ、萌えん、エロスしたたる『官能植物』

By 仲野徹さん

 

官能植物ってどんな本??とご興味をもって下さった方へ

内容紹介の特設ページを、木谷美咲サイトに作りました。

特設ページはこちらです。

 

この本のアートディレクションをご担当くださった

岡本洋平(岡本デザイン室)さんが、ご自身のサイトに、

官能植物のデザインについて詳しく書かれています。

こちらも合わせてご覧いただけると、より官能植物を楽しめます!

http://www.okamotodesign.com/1275/

 

 

官能植物PVです。

 

 

 

 

 

ーーーー

木谷美咲ブログの過去記事ダイジェスト。

こちらもオススメです。

 

クローバー新刊『官能植物』、見本ができました!

クローバー第二回美しい食虫植物 冬のドロセラ、無事終了しました

クローバー食虫植物スケッチ18Drosera rupicola&binata

クローバー珍味⑦シュールストレミングの悪臭と豊潤

クローバー食虫植物で園芸療法!私の病気が治るまで その1

クローバー関西食虫植物展めぐり〜リンクまとめ〜完全版

 

 

Twitterを使われている方は、ハッシュタグ「#官能植物」とつけて、ご感想をいただければ嬉しいです。

Amazonレビューも、ぜひお願いいたします。

 

 

 

官能植物ツイッターはこちら

木谷美咲ツイッターはこちら

instagram(インスタグラム)

noteもやっています。

 

木谷美咲公式サイトはこちら!