あくまでも、現地で実際に聴いた時の印象を記した、個人的な感想です。
下記課題曲(1)(2)を演奏すること。演奏時間は(1)(2)を合わせて25分以内とする。
1.以下の a) ~ d) より1曲選択。伴奏はピアノのみとする。
a) C.P.E.Bach : Sonate D-dur Wq 83
b) C.P.E.Bach : Sonate G-dur Wq 86
c) M.Blavet : Sonate Op.2 No.2 “La Vibray”
d) M.Blavet : Sonate Op.2 No.4 “La Lumague”
2.以下の a) ~ e) より1曲選択
a) J.Andersen : Ballade et Dance des Sylphes Op.5
b) H.Busser : Andalucia Op.86
c) A.Jolivet : Chant de Linos
d) F.Martin : Ballade (1939)
e) R.Muczynski : Moments Op.47
5/29 第二次審査1日目
1.エヴァ・サヴァドス(ハンガリー) 23歳 三次進出
<一次No.43 ☆☆☆☆> 伴奏者:上野 円(同伴伴奏者)
ブラヴェ:2-2/アンデルセン
プラヴェは全体的に良く練りこまれている。テンポ感も良い。装飾音符が曲に良く入り込んでいる。デュナーミクが多少作為的(作為的)な感があり、自然に聴こえないのが残念。アンデルセンは速い部分で幾分しっくり来ない→曲に振り回されているような印象。ピアノに助けられている部分もあり。ヴィブラートは曲に合っていて素敵。
→ ☆☆☆★
2.ホン・チェンチュン(台湾) 26歳
<一次No.14 ☆☆★> 伴奏者:西脇 千花
ブラヴェ:2-2/ジョリヴェ
ブラヴェはかなり饒舌だが、音楽に勢いがある。良く練られている。音符の性格を良く分析し、上手に吹き分けている。音色はあまり好みではない。ジョリヴェは常に音圧が強い傾向だが、とても良い演奏。ピアニストとの相性も良く、一体感あり。
→ ☆☆☆★
3.秋元 万由子(日本) 24歳 三次進出
<一次No.10 ☆☆☆★> 伴奏者:上野 円(同伴伴奏者)
C.P.E.バッハ:G-dur 86/ジョリヴェ
端正で品が良い。自然体。伸びやかな音楽。音色も曲に良く合っていて、自然に聴き手を曲に誘ってくれる(かと言って、決して埋没してしまっている訳でもない)。第3楽章の装飾音符がすっぽりと嵌っているのがとても良い。ジョリヴェは表現・音色の幅が大きい。いろんな色の音を持っている。清水公望さんのヴァイオリン(聴く側に委ねるような演奏)を連想させる。段階を進むにつれ、本領を発揮し始めた印象。三次に進出出来れば、更に楽しみな存在となるはず。
→ ☆☆☆☆★
4.ジェシー・グ(アイルランド) 26歳
<一次No.35 ☆> 伴奏者:鈴木 華重子
C.P.E.バッハ:D-dur 83/マルタン
音を押す感じなのが嫌。動きすぎ。楽器のコントロールが今一つ。マルタンは聴けた。個人的に好みでない。
→ ☆☆
5.上野 星矢(日本) 27歳
<一次No.6 ☆☆☆☆> 伴奏者:與口 理恵
ブラヴェ:2-4/マルタン
立ち位置がピアニスト寄り。ブラヴェは沈んだような音色が曲に合っている。音の種類が多く、音楽に合っている。表情付けが見事。マルタンはピアノの蓋全開。立ち位置中央に。とても力強く、表情も多彩。音色も輝かしく、これはなかなかの名演。
→ ☆☆☆☆
6.キム・ジャアン(韓国) 19歳 三次進出
<一次No.16 ☆☆☆☆☆(満点)> 伴奏者:石橋 衣里
ブラヴェ:2-2/ジョリヴェ
きちっとしていて、とても健全・清潔なフルート。音楽が生きている。ブラヴェは装飾音符も曲に入り込み、見事に収まっている。お手本のような演奏。ジョリヴェは決して大げさではなく、スタンダードな演奏だが、表情の幅がもう一つで、インパクトに欠ける感もあり。
→ ☆☆☆★
7.エレーヌ・ブルゲ(フランス) 26歳 三次進出
<一次No.44 ☆☆☆☆> 伴奏者:石橋 尚子
C.P.E.バッハ:G-dur 86/ジョリヴェ
ピアノの蓋全開→フルートの音も最初から大き目。バッハはまっすぐな伸びやかな音だが、音そのものが印象に残りすぎ、音楽作りと言う点でのまとまりが多少希薄・単調な印象。ジョリヴェも抑揚に乏しく、強弱だけで曲をまとめている感じで、聴く方も耳が疲れてしまう。個人的に好みではない。
→ ☆☆★
8.山内 美慧(日本) 26歳
<一次No.32 ☆☆☆★> 伴奏者:與口 理恵 <暗譜>
ブラヴェ:2-2/ビュッセル
動きが多少目障りだが、目をつむって聴くとそうでもない。熱演の割に、もう一つ心に届いてこない。幾分外面的なのかも。ビュッセルは珍しい選曲で、一見聴きやすいが、曲の質自体が低いのか、中身のないような曲で、演奏もそれに比例してしまうのか、聴いていて飽きてしまった。
→ ☆☆
9.ジョルジョ・コンソラーテ(イタリア) 23歳
<一次No.42 ☆☆☆☆★> 伴奏者:西脇千花
C.P.E.バッハ:D-dur 83/ジョリヴェ
立ち位置ピアニスト寄り。ジョリヴェから。あまり心に届いて来ない。ピアニストとの相性にも問題ありか。品が良く、フルートと言う楽器そのものの魅力には十分に触れられる。一次との印象のギャップがある。
→ ☆☆☆
10.ミハイル・コヴォスチコヴ(ロシア) 30歳
<一次No.9 ☆☆☆☆★> 伴奏者:鈴木 華重子
ブラヴェ:2-2/ジョリヴェ
端正。デュナーミクに細心の注意を払っているのが良くわかるが、それ以上に感じ取るようなものがない。ジョリヴェも同様で、テンポ設定は常識的だが、音楽が生き生きしていない印象で、一次で感じた感想との間にギャップがある。
→ ☆☆★
11.マリアンナ・ゾォナック(ポーランド) 18歳 三次進出
<一次No.39 ☆☆☆★> 伴奏者:與口 理恵
C.P.E.バッハ:D-dur 83/マルタン
立ち位置ピアニスト寄り。若々しく素直な音色。伸びやかでノーブル・高貴ささえ感じる。デュナーミクは繊細で、演奏そのものに説得力あり。色気もあり、しっとりと聴こえる。アンサンブル能力も非凡。マルタンは暗譜。ヴィブラートの種類も多彩。素晴らしい!
→ ☆☆☆☆☆(満点)
12.ユ・ユアン(中国) 16歳 三次進出
<一次No.27 ☆☆☆★> 伴奏者:石橋 衣里 <暗譜>
ブラヴェ:2-2/アンデルセン
ブラヴェは曲に合わせたような少し鄙びた音色が印象的。とても端正、繰り返し後のアドリヴも良い。ヴィブラートも曲に良く合っている。アンデルセンも良く曲に乗り、共演者とのアンサンブル・息もぴったり。共に素晴らしい演奏。
→ ☆☆☆☆★
13.イ・ウンジュン(韓国) 27歳 三次進出
<一次No.5 ☆☆★> 伴奏者:石橋 尚子
C.P.E.バッハ:D-dur 83/アンデルセン
ピアノの音のあとにひっついて行くという感じがする。音を押す傾向あり。前打音の処理の仕方が珍しい。単調さがあり、音楽が停滞気味になり、ちょっと退屈。短いがカデンツァが面白い。アンデルセンは、前の奏者の演奏がとても良く、それと比較してしまうと分が悪い。悪い演奏ではなかったが、順番が悪かったか。
→ ☆☆☆★
5/30 第二次審査2日目
14.サラ・テナリア(イタリア) 22歳
<一次No.25 ☆★> 伴奏者:上野 円(同伴伴奏者)
C.P.E.バッハ:G-dur 86/ジョリヴェ
多少くすんだ音。ちょっとよそ行きな音楽作り。確かにバッハの吹き方ではあるだろうが、音を押す傾向があり、耳にくどい。ジョリヴェは外面的で、演奏効果を見せる演奏になってしまっている印象。心に届かない。曲の本質的なものが見えてこない。聴いていて疲れるジョリヴェ。
→ ☆☆★
15.松木 さや(日本) 26歳 三次進出
<一次No.11 ☆☆☆☆★> 伴奏者:西脇 千花
C.P.E.バッハ:G-dur 86/マルタン
とても自然体で爽やか。曲に身を委ねている。フルートの構え・高さも「これ見よがし感」が無く、見ていて安らぐ。バッハのこの曲がどのような音楽なのかが透けて見えてくる。発音、決してきつくないのに、出したい音が聴こえ、どんな音が出したいのか良くわかる。能力を感じる。マルタンも、淡々とだが、貫くものがあり、熱い。フルートと言う楽器の良さを見せてくれる。常に冷静・確実。完全に曲を自分のものにしている。大変素晴らしい。
→ ☆☆☆☆☆★(満点超え)
16.キム・ソヒョン(韓国) 15歳
<一次No.36 ☆☆☆> 伴奏者:鈴木 華重子
ブラヴェ:2-4/ジョリヴェ
譜面台ななめ。重厚な音。「曲を吹いています」感が出てしまっている。ブラヴェでの自分なりの色が出ていない。真面目に一生懸命だが、譜面に書いてあることを吹いていますと言うような印象。音楽が若い。ピアニストとの一体感ももうひとつ。経験を積めば・・・。
→ ☆☆★
17.アンナ・コンドラシナ(ロシア) 26歳 三次進出
<一次No.15 ☆☆☆> 伴奏者:與口 理恵
ブラヴェ:2-4/ジョリヴェ
立ち位置ピアニスト寄り。落ち着いた音色、適度な表情付け共に曲に良く合っている。曲作りが上手。ジョリヴェは重ための音色。勢いも感じ、全体的に良くまとまっているが、この人でないと、と言うようなインパクトに欠ける。
→ ☆☆☆★
18.ハン・ヨジン(韓国) 15歳 三次進出
<一次No.24 ☆☆☆☆★> 伴奏者:蒲生 祥子(同伴伴奏者) <暗譜>
C.P.E.バッハ:D-dur 83/マルタン
良く動く。すんだ音で、音楽が伸びやか。活き活きしている。音楽に推進力あり。思い切ったデュナーミク・表情付け。すいすい泳ぐ魚のような自由さ。マルタンは幾分消化不足か。音楽よりも音が聴こえて来てしまうのは、音と音との間の有機的なつながりに欠けるためなのだろうか。ピアニストとは良く通じ合えている。
→ ☆☆☆☆
19.フランシスコ・ロペス=マーティン(スペイン) 30歳
<一次 No.33 ☆☆☆☆★> 伴奏者:石橋 衣里
C.P.E.バッハ:D-dur 83/ジョリヴェ
音大きく太い。ちょっと暑苦しい感も。面白い演奏だが、いろいろやりすぎと言う感もあり。それにより、音楽の肝心な「核」の部分が見えにくくなっている。ジョリヴェは技巧やアドりヴ・曲の持って行き方は見事だが、奏法と強弱を強調するようになってしまうと、こうなるしかない的な、決まりきった演奏となってしまう例を見たような感じもする。
→ ☆☆☆
20.クリス・ジェームス(カナダ) 25歳
<一次No.4 ☆☆☆☆★> 伴奏者:西脇 千花
C.P.E.バッハ:D-dur 83/ムチンスキー
譜面台ななめ。この「普通さ」が良い。自然体なバッハ。品が良い。余計な・極端なことをしない。見通しの良い澄み切った音楽。ムチンスキー、楽章形式になっているので、聴きやすい。選曲よし。演奏から人柄が見えてくる。ユーモアに富んだ人。こういう確信犯、好き。
→ ☆☆☆☆★
21.イェルジャン・クシァノヴァ(カザフスタン) 27歳 三次進出
<一次 No.20 ☆☆☆☆★> 伴奏者:石橋 尚子
C.P.E.バッハ:G-dur 86/ジョリヴェ
自然体だが、表現力と言う点で幾分劣るか。とても立派だが、フルートを使っての魅力を伝えきれていないきらいあり。音楽よりも音が聴き手に捉えられる。ジョリヴェは独特な吹き方。こういうアプローチの仕方は、この曲に関しては好き。呪術的な印象のあるこの曲に良く合っている。
→ ☆☆☆★
22.ヴィルジル・アラゴ(フランス) 29歳
<一次No.34 ☆☆☆★> 伴奏者:鈴木 華重子
ブラヴェ:2-4/ジョリヴェ
格調高い含蓄のある響き。音は大きいが深い。吹き方など良く考えられている。時々ポカもあるが、演奏は楽しめた。ジョリヴェは音そのものよりも、吹いている音楽の方に中身がある。自分のスタイルが出来ている人。
→ ☆☆☆☆
23.ステラ・イグロッソ(イタリア) 22歳 三次進出
<一次No.17 ☆☆☆☆★> 伴奏者:與口 理恵 <暗譜>
ブラヴェ:2-4/ジョリヴェ
独特の鄙びた味わいがある。音楽的な押し出しが幾分弱い。足(姿勢)が特徴的。素晴らしいが、あまり心に残らない。饒舌な印象で、かなりおなか一杯になるジョリヴェだった。
→ ☆☆☆★
24.アレクサンダー・マリネスク(ロシア) 29歳
<一次No.40 ☆☆☆☆☆(満点)> 伴奏者:石橋 衣里
C.P.E.バッハ:D-dur 83/マルタン
とてもはっきり吹く。音は大きいが伸びやか。音楽はわかっているのだろうが、曲の様式感はあまり伝わってこない(ヴィブラートが多いこともあるのか)。1&2楽章のカデンツァのアイディアが楽しい。マルタンは、この難曲に身を委ね、曲そのものと共に演奏を楽しんでいる。
→ ☆☆☆★
25.セス・モリス(アメリカ) 33歳
<一次No.19 ☆☆☆☆☆(満点)> 伴奏者:石橋 尚子
ブラヴェ:2-4/ジョリヴェ
節の唄い回しがうまい。成熟している。不必要な音を押さず、聴かせたい音を生かしている。音楽に安心感がある。ジョリヴェは、曲の雰囲気作りがうまいが、あまり余計なことはしていない。常に安定している。
→ ☆☆☆☆
26.脇坂 颯(日本) 17歳
<一次No.8 ☆☆☆★> 伴奏者:新居 幸枝(同伴伴奏者) <暗譜>
ブラヴェ:2-2/ジョリヴェ
冷静・落ち着いている。丁寧で厚みのある音。強弱はもっとあっても良いが、中庸でやりすぎないのも今の彼女のセールスポイントだろうか。心の奥に届くような、懐かしい雰囲気あり。なんて清潔で素直な音楽を作れる人なんだろうと思う。ジョリヴェは、これまで聴いて来た奏者に比べ、特に中間部が音楽的表現から見て弱い。概して「個性」と言う点で他の奏者と比べ弱く感じ、今現在の彼女の弱点はこのようなあたりにあるのだろう。
→ ☆☆☆
<私のジャッジ>
☆☆☆☆☆★・1名 15
☆☆☆☆☆・1名 11
☆☆☆☆★・3名 3 12 20
☆☆☆☆・4名 5 18 22 25
↑ ------三次進出ライン------- ↑
☆☆☆★・8名 1 2 6 13 17 21 23 24 (この中では 17 21 24 が上位)
☆☆☆・3名 9 19 26
☆☆★・4名 7 10 14 16
☆☆・2名 4 8