昨年の第9回神戸国際フルートコンクールで第4位となられた、秋元 万由子さんの公演を聴きに伺いました。
コンクール時に感じた、彼女のフルートについては、
一次予選 https://ameblo.jp/magic1963/entry-12305106354.html
二次予選 https://ameblo.jp/magic1963/entry-12305113509.html
三次予選 https://ameblo.jp/magic1963/entry-12305114279.html
本選 https://ameblo.jp/magic1963/entry-12305114798.html
これらで書かせて頂きました。
この日の演奏は、コンクール時にお聴きした印象とそれ程大きく変わったようには思いませんが、もともとの彼女の持ち味・個性でもある、品が良く端正、あるいは、少し冷たいような肌触り(音色面でも、音楽的な面でも)により表出される、音楽への客観性や、曲そのものが持つ良さを引き出す、そんな特徴に加え、時が経過したことによる奏者としての熟成や、コンクールでの結果からの「自信」からか、「審査」と言う場とは異なり、聴衆との距離感が近いことを奏者も十分に認識されておられるのでしょうか、吹かれる音楽の表情に柔和さや親密度が増し、曲によっては、音楽に対する自由度や柔軟性が更に聴かれたように感じました。
モーツァルトは、聴衆が入った客席の響きを確認しながらと言うこともあったでしょうか、少し音楽的な表情が硬いような印象もありましたが、その一方で、表現的には古典派の曲としてはルバート・抑揚をつけるような場面が多く見られ、個人的にはもう少しストレートな表現や奏法でお聴きしたかったと思う反面、今彼女が吹きたい「モーツァルト像」が、良く見えるような演奏でもありました。
シューベルトは、数日前に東京でも吹かれた曲と言うこともあり、リラックスしながら伸び伸びとした余裕が感じられ、技巧面でも大変見事な演奏でした。
休憩後の2曲、昨年のコンクールの時にも感じた、手垢の付きやすい古い曲よりは、彼女なりの独自の視点がより生きる近・現代曲の方が、より彼女に合っている、そんな思いが間違っていなかったと思わせるような、大変に素晴らしい音楽を聴かせて頂きました。
「ヴォイス」における鋭さと見事な間の取り方、そして高い読譜力・洞察力。プロコフィエフにおける安定した技巧の上に成り立つ、この曲の持つ独特な音列を、単なる「音」の羅列では無く、それらを有機的に結び付けながら「音楽」として見事に聴かせられる彼女の高い音楽性。この2曲は、東京の1回のみならず、この神戸でももう一度吹いておきたいと言う思いが詰まっていたように感じ、決して楽には聴かせては頂けないけれど、彼女なりに「攻めた」厳しい音楽を聴かせて頂き、「秋元 万由子の今」を、十二分に堪能させて頂きました。
アンコールは、彼女が在籍する「ユンゲ・ドイチェ・フィル」がお得意にするマーラーつながりで選曲されたように思いましたが、この愛らしい曲を選ばれた別の意味がおありになるらしい・・・、でも、私にはわかりませんでした。この趣味の良い曲・演奏により、この日の公演がとても良い「収まり」になりました。
ピアノでサポートされたのは、クリスティアン・シャモレルさん。この日は「ザウター」が置かれていましたが、楽器の選択は、彼の要望か、あるいは備え付けなのかは確認していません。ピアノの屋根は半開、このホールの器に見合うような幾分小ぶりで澄んだ音色は、万由子さんのフルートと良くマッチしており、より繊細さが求められるこの日のプログラムに見合った音量・タッチで応えられるなど、余分な自己主張をされるタイプのピアニストでは無く、場を弁えた見事なアンサンブルを聴かせて下さいました。
数日前に行われた紀尾井ホールでの東京公演は満席と言うことでしたが、この日の会場は2/3程度の埋まり方。主催者には、もう少し集客に頑張って欲しかったでしょうか。昨年のコンクール本選は、満席で開演時刻がだいぶ遅れたと言うのに、それがこのような関連事業の集客には結び付かない。これでは「フルートの街・神戸」の名が泣きます・・・。
お疲れのところ、持参した譜面などにサインを頂きました。ありがとうございました。




