蜷川 紘子&前田 祐里 デュオコンサート | 音楽と競馬、思ったことを書いて行きます

2018/5/3

本日、お二人の公演を聴きに伺って来ました。2年半程前の公演の記事ですが、記事を再掲させていただきます。

 

2015/9/15

ご出演された、ピアニスト・前田祐里さんから、コメントを頂戴いたしました。祐里さん、ありがとうございます。




 

9/13

お二人がステージに登場された時、その衣装に驚きました。頂いていたチラシの中で着られていた衣装の色がそっくり入れ替わっていて、「やられた!」と思いました。お二人ともかなり「お茶目」ですね。

さて、初めてお聴きする蜷川紘子さんのヴァイオリンですが、2階席から拝見していたので、余計にそう見えたのかも知れませんが、かなり楽器に被さるような、独特の奏法と言う感じで、ちょっと体(特に肩から腕・指)に負担のかかるような奏法のようにも見えました。(実際に、左手の調子があまり良くなかったと、演奏後にお聞きしました。) そのような弾き方をされる「理由」が、彼女が紡いで行こうと言う音楽そのものにあるようにも思いました。弓を元から先まで目いっぱいに使いながら、弓の返しの時も全く音が途切れることなく、とてもスムーズに音が繋がって行きます。これは弛まぬ鍛錬の賜物なのでしょう。運指もとても独特で、滑るように指板の上を指が上下して行きます。そう言ったことが合わさり、極力音符と音符の「隙間」を作らないよう、腐心されていることが良く感じられます。そう言った「音作り」、それが彼女の弾き方の「根拠」なのではないかと、私はそう思いましたが、どうでしょう。技術的な面ももちろん素晴らしく、破綻や弾き違いのようなものが、この日の舞台を通じて聴こえてきませんでした。音符そのものの処理も大変見事で、どの音符も決してないがしろにされること無く、吟味され磨き上げられた上、そのすべてが意味深く聴き手に迫って来ます。彼女の演奏に「手抜き」と言われるようなものは何ひとつ無く、音色そのものはそれ程魅力的とは思わないんですが、長短を問わず、ひとつひとつの音には「実」と「意味」がびっしりと詰まっていて、聴く側に気を抜く暇を与えませんし、本当に充実した音楽をお聴き出来たと言う実感が湧きあがって来ます。音楽を聴いた時、こういう気持ちになることは本当に稀ですね。

前田祐里さんのピアノは、これまで何度もお聴きしていますが、楽譜の読みが深い上に、良い意味で音楽に伸縮感があり、テクニックも非常に安定していて、安心して音楽に身を委ねることが出来ます。アンサンブルに於いても、いわゆる「空気が読める」奏者ですので、僅かなズレも瞬時に音楽的に修正され、それが恰も正しい演奏なんだと聴かせられる技量をお持ちの方です。今回は、祐里さんが音楽的な主導権を執っておられたような感じがしました。お二人それぞれの音楽性の方向は異なっていますが、そこは一流の音楽家です。お互いを認め合いつつ、時には丁々発止、高いレヴェルの音楽を聴かせて頂きました。

紘子さんの演奏で、最も感銘を受けたのは、チャイコフスキーです。「なつかしい土地の思い出」、有名なメロディを含む第3曲しかお聴きしたことが無かったんですが、彼女の懐の深いところから湧き出て来る音楽的な趣は、誰にも真似のできないものですよね。心に沁みました。ラヴェルのソナタは第3楽章が圧巻でしたね。これだけ完璧にこの楽章を弾き切ると言うのは、なかなか難しいはずです。第1楽章のセンス良い「美感」もとても素敵でした。第2楽章は、真面目で几帳面な「ブルース」と言う感じで、ほんの少し「型にはまった」ように感じられたのが、個人的には残念でした。ラヴェルのピアノ独奏曲の譜面を見たことはありませんが、この曲のピアノパートには、空虚な感覚を醸し出す「五度」音程がそのまま移動して行くような部分が多く見られますが、ここらへんの祐里さんの音楽的なセンス・バランス感覚は特に素晴らしく、曲の持つ雰囲気を良く伝えられていたと思います。お二人の音楽性が重なり合い、それが見事に昇華して行ったフランクのソナタ、やはりこの日一番の聴きものでした。お二人の演奏が有機的に重なり合い、絡み合い、重量感に溢れる演奏を聴かせて頂きました。ムード音楽のような甘い雰囲気で流れて行ってしまうような演奏もある中、ここまで楽譜・音符を徹底的に追い詰めた演奏も珍しいと思います。時に息苦しさを感じるような場面もありましたが、フランクのこの音楽がそういうものなのですから、正に的を得た演奏だったと言うことなんだと思います。

 



これは、第4楽章の一部なんですが、祐里さんの弾くこのピアノ・ソロの部分はとてもユニークで、これまで聴いたことのないようなレガート、ルバート、そしてデュナーミクが聴かれ、ここまで独自の解釈でピアニスティックな音楽を奏でられる祐里さん、やはり只者ではありませんね・・・。

デュオの醍醐味を心から堪能させて頂き、本当にありがとうございました。

 

9/11

今、帰りました。

「今年一番」の素晴らしいコンサートでした。それにしても、蜷川さん、凄いですね・・・。祐里さんも、もちろん凄い。こんな素晴らしい「スーパー・デュオ」を聴かされたら、もう他の演奏は聴けなくなってしまいますね・・・。それ程の素晴らしさでした。アンコール(ラフマニノフ=クライスラー/パガニーニ・ラプソディーから第18変奏)も超美演。私もその曲を弾きたいと思いました。早速譜面を探しましょう。

今日は、ラヴェルとフランクの譜面を持って行きましたので、演奏でいろいろと発見することも多かったです。終演後のお疲れのところ、お客さんで溢れるホワイエで、ご無理を申し上げ、譜面にサインを頂き、ありがとうございました。詳しい感想は、また改めて。今日は、ご盛会、おめでとうございました。