私が学習支援に行っている小学校には小さな中庭があり、6畳ほどの四角いコンクリートの池があります。
この池はあまり手入れがされていないようで、周りは草ぼうぼう、池の底にはかなり泥が溜まっています。
ある日、3階の窓から覗いていると、ぷかっ ぷかっ と三角の頭らしきのもが水面から出ています。
亀です。
大きさ25センチぐらいでしょうか? 種別などはわかりません。他に魚らしきものなど見えず、
『亀』一匹の独占の池です。
どうも垂直のコンクリート壁は、脱走を許さず、いつも亀は池の中をぐるぐるまわっているみたいです。
ああ、『山椒魚』だ... 井伏鱒二の。
急に思い出しました。この状態は岩穴に閉じ込められた、あの山椒魚です。
...で、図書館から「井伏鱒二全集」を借りて『山椒魚』を読み直してみました。
井伏鱒二の釣行文は釣り漫画を描いているときにかなり読みましたが、『山椒魚』はいつ以来だろう...? 中学か高校の教科書にのってたっけ?
読んでみると...またいつものように「こんなのだったけ?」となりました。 自分の記憶の悪さにほとほと嫌になります。
特に後半のカエルとの会話がこんなに短かったかな? もっと長いやり取りがあったような気がするのですが...
そこで調べてみると、この『山椒魚』は井伏鱒二自身が1985年に全集に載せる際に訂正し、結末の十数行をカットして刊行したらしいのです。
じゃあ私はその前の『山椒魚』読んだのだろうか? 図書館で1985年以前のものを探したのですが、初版が1956年で第44刷が1995年の文庫本でも全集と全く同じ長さでした。
ああ、なんかモヤモヤする。訂正前の『山椒魚』があるなら読んでみたい。カエルとの喧嘩や言い合いの中に何か大事なものが、もっとあったような気がするのだが...