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The Magellan

Poetry Magazine Magellan 発行人のブログ

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ことしの紅葉からは
惜別の匂いがしないと
きみはいう
ひとが
別れの惜しみかたを
忘れていくからか
無垢な風はもう
写真のなかにも吹いていない
種子を運ぶ鳥を見送る燃える樹林帯
森の入口には異人が待っている
友達でいることができる時間は何分?
背中の砂時計から激しく落ちる砂の汗
足うらから朽ちていく不安な明日に
誰も希望をもたなくなった
ものうい幼年期の視界が
つくりごとの世界にみえてくる
無呼吸で夢をみて
無呼吸で帰ってくる
いつもの迷路
ひとの名前の書かれた
たくさんの紙片が
落ち葉に変わり
ねじれた境界線の上に
弱々しい光が
差し込んでくる