”””””2 0 0 7 年を振り返る””””” | 恵の演出メモ

恵の演出メモ

マグダレーナの情報源

 

この作品は役者としての感性を磨き、役について深く追求できる恰好の題材となるはずだ。テンポが優先されるライトコメディではここまで深く掘り下げる必要が無い。とりあえず軽快に表現すればOKするのだがこれはそうはいかない。語尾の一言にも執拗にダメを出している。毎回ダメを出しているのだがダメだしノートのページはいっこうに減りそうもない。
次々欲が出てくるからだ、ここまで、これまでと思いながらこの欲求は無限に続くものなのかもしれない。ただ言えることはその分だけ舞台の人物はどんどん濃くなり深みが増し、面白くなっていく。
さあ、あと残された時間はそれほど多くはない、が人物を仕上げ深い表現を求めるにはまだ十分、間に合うはずだ。もう1度台本を読み直して欲しい。
セリフ一言一言に裏打ちされた感情が保たれているか。何気なく何も感じないで不用意に口に出してはいないか。口にしたセリフを聞いた相手のリアクションを見ているか、感じているか。その後のリアクションは出来ているか。セリフがないシーンで素に戻っていないか。次ぎのセリフを探していないか。次ぎはこう演じてやろうとシーンの先読みをしてはいないか。演出の指示待ちでなく自ら工夫をしているか。身体の何処に傷を受け、どのように痛むのか。衣服や髪の乱れはどうか。事件に遭遇して暴徒にどう扱われ衣服の破れ、汚れはどうなっているのか。季節はいつか?宿直室の温度は。昼と夜の温度差を感じ分けているか。シーンの瞬間瞬間を人物として生きているか。これらを一つずつ体感させていかなければこの舞台のシーンは成立しない。
観客は役者のうまいセリフ廻しや動きを観に来ているのではない、人物が舞台で生きているかどうかを観てそれが感動に繋がっていくのだ。そう思って欲しい。