管内視察の最後の目的地は日高医療センターです。

 

 耐震検査で耐震性が不足していることが判明し、昨年度に「日高医療センターあり方検討委員会」による議論が始まり、入院機能雄の廃止などを含めた提案がなされました。その後の議論の中で、入院機能を縮小したうえで存続させるなどの修正を盛り込まれた整備計画が発表されました。

 この議論の中で、私も地域の開業医の方々、病院のスタッフの方々等からお話をお聞きし、整備計画につて議論を行うだけでなく、様々な提案も行ってきましたが、副院長からお話をお聞きすることができなかったので、大変ありがたい機会を得ることができました。

 

 

  お話は日高町立日高病院が設立された時にさかのぼり、その時から病院の隆盛期を迎え、環境が変わる中で医師が減っていくとともに、病院経営と医師の労働環境が悪化していく様を、初めから勤務されてきた副院長の実体験と共に詳細に説明をいただきました。

 

 

 一度に数人の医師がやめられた時には、救急医療機能を日高医療センターで廃止することがなければ、副院長もやめざるを得ないと思ったといいます。

 

 

 現状でも応援の医師が来ていただけるので何とか維持はできているのの、医師は風邪もひけない状況であるのです。

 

 地域の慰労を守っていくためにはこの医師不足を解消することが最大の懸案であること。外来診療・入院治療・人間ドッグ・透析治療の4機能を2人の内科医師(所属は院長を含めて3名ですが、院長が体調不良で休養中)で行うことは医師の負担が大きすぎる上に、医療レベルの低下の恐れがあるために、機能を絞ることを検討するべきであると述べられました。

 

 私は議会の提案の中で、透析機能を豊岡病院に移転する事を提案しましたし、人間ドッグの廃止も仕方がないものと思っております。私たちも病院についてより深く理解し、現場で必死に医療に取り組んでいただいている医師に寄り添って、支え合うことが必要だと思います。無理難題をつきつけて医師を追い込むようなことがあってはならないと思います。

 

 最後に私から副院長に「私たちも医師の皆さんを支援したいと思っています。」とお話しすると副院長から「よろしくお願いします。」とこころからの言葉を受けて感じるものがありました。

 

 私も医師の確保の為に活動したいと思いますが、私一人の力では足りません。市民の皆様にも但馬で勤務しても良いといわれる医師の方がおられたら組合までご紹介いただければ幸いです。

 

 

 公立豊岡病院組合議会の第二の目的地は出石医療センターです。

 

 

 この病院は隣接して介護老人保健施設があり、長期の療養が必要な患者を受け入れる入院機能の中心を担う病院です。

 

 

 院長をはじめとするスタッフの方々から病院の現状を説明を受けました。

 こちらからも朝来市医療センター同様に医師不足の問題の指摘を受けました。それだけでなく、特に具体的に医師派遣で医師の確保を続けている現状は、結果として常駐して長くこの病院を支える医師の高齢化を招いていて、差し迫った危機的な状況にあることを強く指摘されました。

 

 

 そこで、院長自らも自分自身をいかに長く働けるように体力の維持を図ること、医師の確保にも努めていることを説明いただくとともに、医師の確保は但馬出身の医師や医師になろうと希望している学生へ働きかけるほうが効率的であり、そういったシステム作りに取り組むのが議会や行政の役割だと強く指摘を受けました。

 

 実は現在、私は医師や医療関係の進路を目指している豊岡の高校生に対して豊岡病院への関心を深めてもらえるような授業ができないか調整をしている最中です。

 背中を押されたような気持になりましたが、その責任の重さを改めて指摘された気持ちになりました。

 さらに加速して活動してまいりたいと思います。

 

 

 

 平成29年度の公立豊岡病院組合議会にて5月23日に管内視察を行いました。組合では旗艦的な病院である豊岡病院のほかに、朝来と出石・日高の3つの医療センターを運営しており、その状況を院長から直接お話を聞こうというものです。

 

まず最初の目的地は朝来医療センターでした。

 

 朝来市内にあった2つの病院を統合し、平成28年5月に新規に建設され、運営を開始した組合では最も新しい医療センターです。

 

 

 

 さっそく院長よりお話をお聞きしました。

 

 いま最も病院にとって大きな問題は医師不足だそうです。病院内を拝見しましたが、広い病院には患者さんがさほど多くなく、ハード的な当センターの能力を使いきっていないのは明白でした。

 

 

 上のシフト表を見てください。グレーに塗りつぶされているのが外部からの応援医師です。見ての通り、応援医師により何とか機能が維持されているのがよくわかります。病院の医師はこれに入院患者の対応を加えると休む暇がないということがよくわかります。

 

 ただ、外部からの医師は地域の開業医の方も多く、この病院が地域の開業医の方々との意思疎通と連携がしっかりと行われていることの表れです。豊岡市では市町村合併にあわせて、医師会も統合してしまったので、日高と出石ではこういったことが難しくなっているのかもしれません。一つの課題であると思われます。

 

 

  センター内はとても明るくて快適です。

 

 

  こちらがリハビリ科です。素晴らしい環境です。ただ、豊岡病院にあればいいのかもしれませんが、生活復帰の為のリハビリとしてはお風呂と階段だけだったような気がします。

 脳内出血で私の母は右半身の運動機能を失いましたが、立派に生活復帰できています。これは八鹿病院のリハビリが素晴らしく、その中ではこたつや洗濯機など、普通の生活空間が再現されていて、生活の為のリハビリが行われています。家の中で役割を持つこと、自分でできることは極力自分でやることが最も大事なのです。

 

 いずれにせよ、朝来医療センターで最も大きな問題は医師不足です。それと、リハビリ機能を使って包括ケア病床の取り組みが始まります。すこしでも経営の改善と朝来の人たちに役立つ医療センターとなってくれるよう、議会もサポートしたいと思います。

 

 

 

 

 私は歴史が大好きです。特に私たちの日本の歴史は非常に興味深く、いろいろなサジェスチョン(示唆)を私たちに与えてくれます。

 

 幕末には大きく歴史に影響を与え、尊敬すべき人物がたくさん登場しました。坂本龍馬、島津斉彬、西郷隆盛、大久保利通、吉田松陰、高杉晋作、松平春嶽・・・・・。

 

 その中でわたくしが尊敬してやまないのが勝海舟です。

 

 たった41石の旗本小普請組の生まれで、直進影流剣術の免許皆伝を受け、蘭学に精通し、独自の世界観を持ちました。安政の改革で才能を認められて臨海丸で渡米し(船が苦手で大変だったそうです)、「幕府のための国」ではなく、日本という国家感を持つに至り、強い軍と経済を持つことで欧米の支配からのがれ、国家としての未来を目指した幕臣です。

 私塾を開き、坂本龍馬などの若い志士と交わり、神戸に海軍操練所を開設しました。

 一旦は幕府から疎まれて一線から姿を消しますが、戊辰戦争で幕府が窮地に追い込まれると再び一線に戻され、江戸無血開城と徳川の系譜を残すことに成功しました。

 

 私がさらにこの勝海舟が好きになった理由がこの後にあります。海舟は戊辰戦争で戦を避けたことから旧幕府の人々から批判を浴び続けますが、徳川慶喜の謹慎処分を解くことに奔走し、成功します。それから、武士が廃刀令など地位を失うにあたり、明治政府から取り残された幕僚や旗本などの武士たちの不満を明治政府にむけさせないために、就職先の援助や資金援助を行いました。

 最も興味深かったのは不満を募らせていた幕府の精鋭部隊に対し、「これから民衆は豊かになると、武士や貴族だけが楽しんでいたお茶をみんなが飲むようになる。」といって、静岡に大きな茶畑を作らせて、そこで武士を働かせていますし、新潟の上越市では葡萄農園を作らせたりしています。

 まさに、柔軟な頭脳を持った政治家なのです。

 

 その勝海舟は面白い言葉を残していますが、私と同じ思いであると感じた言葉があります。

 

『政治家の秘訣は何もない。 

 ただ「誠心誠意」の四文字ばかりだ。』

 

さらには
 
『外交の極意は、誠心誠意にある。
 ごまかしなどをやると、返ってこちらの
 弱点を見抜かれるものだよ。』
 
  その通りだと思います。それに私にはそれしかできないので、この言葉を聞いてほっとしたものです。
 
 これからも、わたしらしく「誠心誠意」背伸びもせず、おごらず活動を続けていきたいと思います。
 

 これからの国会で議論されるだろういわゆる「民泊法案」が現在の政府内で議論されている様子が報道などから伝えられてきます。

 

 「民泊」とはもともとは旅行者に対して市民が有料で空いた部屋などを提供する宿泊サービスの事です。ヨーロッパなどでは文化として定着してきましたが、これをビジネスとしてとらえてインターネットを通じて紹介するサービスだけにとどまらず、多くの空き部屋を抱えた不動産などの業者がこれに参入して、大きなビジネスとなっているのが現状です。

 

 今回の法案は旅館業法などで規制の強い日本で民泊を行う事は違法な状況であるのですが、拡大し続ける外国旅行社に対して社会問題になってきている都市部の宿泊施設の現状打破とシェアリングビジネスの拡大のためにこれを合法化するためのものです。

 

 私は基本的には賛成ですが、例えば豊岡市の抱える素晴らしい城崎温泉などにおいては宿泊施設が不足していることもなく、逆に民泊を導入されることで木造3階建ての街並みが失われることにならないかと恐れていて、そういった場所においては各市町村で設置を認めないなどの自治体の規制が行われることを認める形に法令をしていただきたいと考え、昨年の9月議会において同趣旨の意見書を採択して、政府に対して提出されるように働きかけ、実現しました。

 

 しかしながら、現在の政府内での議論はなかなか思うように進まないのが現状のようです。「地方創生」をこれからの進むべき道であるというならば地方自治体による規制は当然の話だと思うのですがなぜなのでしょうか。

 

 シンプルに民泊を認可できない地域と営業日数に関しては各市町村により条例により定めることができるという数行の条文を加えるだけのことなのです。

 

 地方創生とは地域を元気することです。その為に地方自治体はそれぞれ異なる街づくりをしていかねばなりません。その為に必要と思う事、そうでないことは各地方自治体が決める権利があっていいはずです。むしろ、その様な権限がなければ地方創生など絵空事であります。

 

 各地域がそれぞれの判断で行って失敗すればそれを修正すればいいことなのです。全国を画一的に縛ることはミニ東京をもう一度全国に作ることで、地方創生には全く逆行したことだと思います。

 

 

 そしてこの件についての報道はどうでしょうか。

 

 私が愛読させていただいている某全国紙の最後の一文にがっかりしました。

 

「自治体が独自規制を強めれば、法案自体が骨抜きになる。」

 

 各自治体も地域経営のために必死に取り組んでいる最中です。民泊によって街が元気になればよいのです。この法案を受けて地域のためにいかに民泊を生かすのかが私たちに課せられた、大きなテーマだと思っています。農業や漁業のさかんな場所では農家民泊などもシンプルに民泊にすれば大いに拡大する可能性もありますし、宿泊施設の少ない出石などでは街づくりに夜のソフト開発を加えることも可能になります。空き民宿の多い漁村やスキー場では、繁忙期に空き家を民泊として使うこともできます。

 

 ただ、民泊の抱えるマイナスの影響に対して備えたいのです。例えば規制の多いホテルや旅館などとの競合による地域の産業を引っ張る観光業への疲弊や、住宅密集地の火災の危険性の増大、騒音やゴミなどの被害の対処など、細やかな管理を行い、市民と地元企業との共存を図りたいのです。

 

 全ての物事にはプラスとマイナスがあり、どちらにもしっかりと目を向けてほしいと思います。