6月23日横浜・赤レンガ広場で「鈴木みのるデビュー30周年イベント」が行われ、そのメインイベントとして、鈴木vsオカダがマッチメイクされました。
特筆すべきは、このビッグマッチが完全無料で開催されたことです。
普通、この手の記念イベントは開催レスラーが興行主となり、儲け全てをそのレスラーがごっつアンです!と持っていくのが当たり前になっています。
女子プロレスラーなどは、このデビュー記念興行と引退興行が持ち回りで連発され、レスラーたちの貴重な収入源になっているのではないかと思われるほどの頻度で行われています。
そんな時代だからこそ、「たとえ苦しくても、男としてこれくらいの見栄を張って生きたい」と思わせてくれる鈴木の生き様にあらためて痺れを覚えたのでした。
試合は土砂降りの中でのゴング。
私用で京都にいたため生観戦できなかった私は、「ごめんね、鈴木!超晴れ男の私が行っていれば、絶対雨なんか降らせなかったのに・・・」と心の中でお詫びしていたのですが、結果的にはこの雨が鈴木らしいドラマチックな演出となったようです。
ストレィト 船木誠勝物語
ある時期、鈴木みのるともつれ合うようにして人生を生きた船木の自叙伝です。
自叙伝とは言っても、パンクラスを立ちあげる前の藤原組の若きエースとして光り輝いていた頃の船木が書き綴った自叙伝ですから、今から考えるとまだまだ半生記にも満たない内容です。
この時点の船木と鈴木の関係は、いわば太陽と月のようなもの。
人気実力ともに鈴木は船木に一歩譲っていた印象があり、鈴木にとってはその事実を認めきれない切ない時代だったような気がします。
その後、パンクラスを立ち上げるわけですが、鈴木は体調を崩したこともあり、いつしか船木との差も開き、若手にも猛追され、総合格闘技の世界ではとうとう一番にはなれませんでした。
それどころか、若くして引退の危機にあったことは、皆さんご存知のことと思います。
だからこそ、このデビュー30周年イベントでのオカダ戦後の鈴木の言葉が、心に刺さります。
「(今日の試合が)惜しかったとか、良く頑張ったとか、そんなことはどうでもいい。勝って次に行かなきゃ意味ねえんだよ。おい、クソガキども。世の中に出たら、勝ち続けなきゃ上に行けねえんだよ。俺が言いたいのはな。ガキども、世の中、そんなに甘くねえぞということだ。勝ち続けることだよ」
「しょぼくれている中年ども。俺は先週、50になった。でも、俺は負けねえ。おまえら、指くわえてプロレス見ているだけだったら、俺が全部持っていくぞ!」
「俺は30(歳)のヤツにも20のヤツにも負けねえ」
「高山、がんばれ、がんばる、がんばろう」
あかん、書いてるだけで、泣きそうになる。。。
リアルプロレスラー、鈴木みのる。
彼の闘いをまだまだ追い続けたいと思います。
ストレィト 船木誠勝物語 1969〜1992
(ナツメ社 佐々木徹 1991.11)