Book2.ザ・プロレス365 | Cap as Cap Can!! 俺は帽子とだってプロレスできるぜ日記
知る人ぞ知るプロレス内幕ものの元祖本です。

昭和の時代に、ここまであからさまにプロレスの内側を書き記した書籍が許されたとは驚きです。
(逆に今の時代、ここまでは書けないか・・・)

門茂男氏は日本プロレスコミッション事務局の職員という立場で、力道山を始めとする日本プロレスのレスラー、フロントの言動、行動を知り尽くしていた数少ない人物であり、日本プロレスの歴史の証人と呼んでおかしくない存在です。

私が彼のことを知ったのは、ゴング誌の連載読み物「門茂雄の事件簿」でした。

力道山はもちろん、遠藤幸吉、ユセフ・トルコ、グレート・東郷、沖識名、豊登といった日プロ時代のいかがわしい連中が主な登場人物で、「ガチンコ」「ピストル」「セメント」「しょっぱい」「テラを切る」「ばっちい奴」と言った隠語が溢れていました。
それはまるで18歳立ち入り禁止のような過激な内容でした(笑)

当たり障りのない記事が中心の当時のゴングに、なぜこんな連載が許されたのか、今でも不思議でなりません。



そして、ザ・プロレス365。

この本は一般書店では販売されませんでした。

それもあって、リミッターを外した門氏によるこの書籍の内容は、Mr.高橋の暴露本以上に過激かつリアルなものになっています。

にもかかわらず、不思議と後味の悪さはありません。

おそらくその理由は、プロレスそのものの仕組みや仕掛けを暴露するのが目的ではなく、あくまでもレスラーの悲喜こもごもに視点を置いた読み物になっていたからだと思います。

正直、Mr.高橋が世に出した書籍の内容は、ちょっとプロレスに精通していたファンであればわかっていたことであり、それを得意気に吹聴する彼の姿勢に、少なくとも私は嫌悪感を感じずにはおれませんでした(そんなこと、わざわざ言わんでええやろ!という感じでした)。

ザ・プロレス365は、通販限定で全10巻発売される予定だったはずです。

たしか第一巻発売時に「半年に1冊ペースで発行し、5年かけて完成させる」という筆者の宣言があり、それを読んだ私は「そうか、10巻全てが揃う時には、俺は二十歳を越えているのか」と思ったことを覚えています。

結論から言うとザ・プロレス365は第八巻以降は発刊されず、残念ながら未完で終わっています。

詳しい事情はわかりませんが、おそらく出版資金の行き詰まりと門氏の健康問題にあったのではないでしょうか。

そもそもが自費出版のような形態での発行で、事前に書籍代を振り込んで、次の巻が送られてくるのを待つという仕組みだったので、最後に振り込んだ書籍代は戻って来なかったと思います。

日本プロレス史においては、田鶴浜弘氏、鈴木庄一氏、桜井康雄氏、竹内宏介氏といった方々の名が著名執筆家として挙げられることが多いですが、私は門茂男氏の存在を決して忘れてはならないと思います。

ザ・プロレス365(門茂雄)
門茂男プロレス全集刊行会 1981年5月