いつもお読みいただきありがとうございます😊
自分の勉強不足を痛感し、今、また本をたくさん読んでいます。
人から色んな話しを聴くことも、本を読むことも、そして自分を深く内観することも、いま、とても大切だと思っています。
いま読んでいる本の中に、ハッとする文章がありました。
ある男性が、飲酒や不摂生が原因で、脳梗塞になられ、入院されたというエピソードが書いてありました。
その男性は自暴自棄になり、”リハビリテーション(以下リハビリ)なんてしてもしかたない”といった態度でした。
ところが、理学療法士の男性の1言で見違えるようにリハビリをがんばるようになったのです。
それは
”Mさんが元気になったら、歩いていける、そこの居酒屋の美味しいお酒をご馳走しようと思っていたのにな〜”という言葉です。
大量飲酒が原因で、脳梗塞になったMさんに、普通の医療従事者はこんな言葉はかけないと思います。
でも、理学療法士さんは、Mさんの本当の願い、好きという強い気持ちに働きかけ、見事、Mさんは、歩けるようになられたのでした。
誰かにリハビリがんばって!とか、デイサービスに行ってください、と言うことがあると思います。
私の外来は脳神経内科外来なので、高齢者の方や、難病で歩行障害がある方も多いです。
そうしたとき、私が外来でできるのは、丁寧な診察をして、その人がどうなりたいかを聞いて、治療を考えることです。
本を読んで、もう1歩、踏み込んで本人の思いを聞こうと思うきっかけになりました。
そして、デイサービスにしても、”認知症の予防になるし、運動をしないといけないから”といった画一的なアドバイスをしても、行きたくない!と言われている患者さんには響かない。
私の外来に通院されている、パーキンソン病の患者さんは、山にいって写真や動画を撮るのが好きな方で、そのために、足を維持したいから、リハビリをがんばる、と言われていました。
また、ある女性は
”娘が仕事をがんばっているから、私もデイサービスは仕事だと思って、行ってます。でもね、そこで絵を披露したら、褒められて。今は楽しくいっているんですよ”と言われました。
人は、〇〇したいから、これをがんばる、という気持ちが身体を動かすんだなと思っています。
デイサービスに行きたくない!という、レヴィ小体型認知症の男性Tさんは、そのことで娘さんがとても困っておられます。
”なんで行きたくないんですか?”と聞くと、Tさんは ”あんな年寄ばっかのところ行きたくない!”と言われるのです。
娘さんは、その直後、”あんたも立派な年寄りでしょうが!”と笑いながらいわれました。
Tさんは、76才です。
家にずっといて、座って、あれこれ言っているだけなので、筋力がどんどん低下し、もともと自律神経障害も強いので、立つと血圧が下がります。
今が、回復するギリギリなラインだと診察していて思います。
先日の外来では、このままいくと、本当にすぐに歩けなくなること、そうすると家での生活はできなくなる可能性があることを医師として伝えました。
次回の診察では、Tさんが、何が好きか、どういう所ならでかけていきたいか?聞いてみようと思います。
患者さん1人1人の、好きなこと、その人なりの価値観、どう生きたいのか?
そういったことを、聴いて、ご家族といっしょに、どうしたら本人がより良く生きることができるのか、探していこうと思います。