上がり待ちをしてたタグが上がってきたので、作業を再開。
最後の仮縫いサンプルから、恐らく誰にも見分けがつかないだろう箇所を何カ所か修正。
修正箇所を部分的に再度仮縫いをしてチェック。
これは私個人の職人気質なところのこだわりなので、発注者には見ていただきませんでした。
完成した型紙から親カバのパターンをグレーディング。
本来一番面白くない、手間のかかる作業ですが、Illustratorの機能を使ってわずか数分で終了。
小さなパーツが多いので、今回は縫い代を7mmにしました。
縫い代付けもIllustratorで数分で二型分を終了。
パーツをA4用紙に入るように振り分けてプリントアウト。
グレーディングを始めてプリントアウトまで、30分かかりませんでした。
型紙を作ったことがある方ならわかると思いますが、奇跡的な早さです。
この方法を思いついてなかったら、カバの制作はお受けしてなかったかも知れませんし、これだけの仮縫いの回数は不可能だったと思います。
型入れ。
今回の素材はコーティングされたストレッチ素材。表面は少し凹凸があり、カバの皮膚っぽいです。
使用針はオルガンの11番。ミシン糸は40番手を使用しました。
小さいものなので、縫い目のピッチはかなり 狭め。
仮縫いの時点では本番は楽勝と思ってたのですが、そうはうまくいきませんね。
全部のパーツが小さいということと、コーティング系の素材なので、一回縫うと針目が残ってしまうので縫い直しが出来ません。
仮縫いでは省いていた足の裏部分が最高に難しかったです。
同じく仮縫いでは省いていた、耳、目&眉毛、口、尻尾、鼻(の穴)も本番では作らないといけません。
全てボディが出来てからの後付けのつもりだったのですが、熟考した結果、色々と問題も出てきました。
苦労したのは耳です。
小さいパーツなので、縫ってから裁断します。
かなり小さいパーツなので、縫ってからひっくり返すのも一苦労。
アクセサリー用の先の細いプライヤーで何とか裏返しました。
裏返っても写真のような状態で形が定着しません。
ステッチはかけたくなかったので、中に布用ボンドを流し込んでクリップで挟んで定着させました。
眉毛は刺繍糸でチェーンステッチをしました。
縫い始めたら、2日もあれば出来るだろうと思ってたのですが、耳の作り直しで数日かかりました。
作り直した耳の一部
縫い上がったボディに綿を詰めていくのですが、仮縫いの時に感じていた「綿の詰め方」。
一塊の綿で全部詰めることは出来ないので、いくつかに分けた綿を詰めるのですが、この綿の詰め方や密度が出来上がりにかなり影響します。
尻尾や脚はかなり小さいパーツなので、指で詰めていくことが難しいので、造形用の工具を使いました。これはかなり便利でした。
「今日でやっと完成かぁ~」と思いながらやってたのですが、またまた問題発生。
伸びない生地なので、縫製後に縫い代を5mmにカット、カーブ部分には縦に切り込みを入れたのですが、それでも縫い目が波打つ部分が出てきました。
口になる縫い目も波打っていたので、目立つ部分ということもあり、ほとんど詰め終わっていた綿を全部出して対策することにしました。
素材の性質から、アイロンは使えないので、縫い代を割ったり片倒しにすることが出来ません。
口の縫い代は割らないといけなかったので、いろいろ考えた結果、ボンドで固定することにしました。
耳の時もそうだったのですが、この衣料用ボンドは完全に乾くのに丸1日くらいは置かないといけません。
一日おいて、再度綿を詰めてやっと完成。
発注者さんの希望で、目と鼻はシンプルに黒の素材を貼付けることになりました。
没になった目、鼻、耳。
出来上がりはそんなに急がないということだったので、のんびり作業させてもらったのですが、最初の粘土造形から9ヶ月もかかってますね。
今の私の技術ではこれが精一杯。まだまだ修行が必要です。