ロゴ制作やサイト制作のお仕事をいただいた方が、いよいよ4月にお店をオープンという3月。
お店は千葉にある、ヘッドスパ&ビューティーサロン「ラ・ムール」
https://lamour358.com/
開店祝いは何にしようかな〜、お花は枯れてしまうしななどと考えてる時に思いつきました。
YouTudeでレジンで作るミニチュアのステンドグラス風なのを見たことがあったんです。
お店のオーナーはステンドグラスもお好きだと聞いてたし。
まずはお店のロゴをステンドグラス用にリデザイン。


どうせならランプにしてしまおうと思いました。
本体ケースはステンレスで作ろうと、材料を購入。
なぜステンレスにしたかというと、やはり強度と耐久性。
この選択が後々の苦労の始まりでした。

ステンレスは切るのも穴を開けるのも一苦労。
考えただけで憂鬱になるくらい硬いんです。
(この時はグラインダーを持ってなかったので)
そうこうしてるうちに思いついたんです。
ホールケーキを焼く枠が使えるなと。
素材もステンレスだし。

これでステンレスを加工する手順は7割減りました。
adobe Illustratorでリデザインした原稿に、各ワイヤーの長さをiPMのセグメントツールスで算出。
セグメントツールスは超便利というより、これがないとこんなことできません。


この設計図をもとにステンレスのワイヤーを組んで行きます。
ここからが苦難の始まりでした。
事前に確認済みだったのですが、ステンレスのハンダ付けには、ステンレス用のハンダとハンダゴテが必要です。
しかも通常のハンダ付けより難しいらしい。


何回も失敗しながらなんとか枠ができました。
色のシミュレーションもIllustratorで。

ところが、少し力を入れるだけで、ハンダ付けした箇所がパキっと外れてしまうんです。
技術不足のため、ちゃんとハンダ付けができてないんです。
すでにレジンを流し込んでしまってるところは高熱をかけれないので、一旦レジンを外してハンダ付のやり直し。
そして再度レジンの流し込み。
作業してるとまた別の箇所のハンダ付けが外れる‥‥。
で、ハンダ付のやり直し‥‥。
これを何回繰り返したことか。
なんとか全部レジンを流し込んだが、また問題発覚。
流し込んだレジンが、先に流し込んでる隣のレジンの下に流れ込んでるんです。
その部分は色が重なって見え方が変わってしまいます。
そこをスクレイバーやヤスリで剥がしてると、またハンダ付けが外れる‥‥。
その部分はハンダ付けからやり直し。
毎日作業してたわけではないですが、この時点で3ヶ月。
お店はとっくにオープンしてます。
こういうものを差しあげるって事前に言ってなくてよかった(笑)。
手直し手直しを繰り返すと、だんだん汚くなってくるんです。
このままやり切っても、お渡しできるようなものではありません。
思い切って最初からやり直すことにしました。
流石にハンダ付けは上達していて、前より綺麗にできました。

ただ、隣にレジンが流れ込むというのは改善されません。
出来上がった後に裏の流れ込んだ部分を除去してると、また汚くなるんです。
隣に流れ込まないように流し込みを一発で決めないと、後処理で汚くなります。
ここで6ヶ月を経過してるのですが、再度のやり直しを決意。
今度は作業計画を一から見直しました。
◎流れ込み防止の観点と強度の点から、1.2mmのステンレス線から1.6mmに変更。
◎強度の点から、はんだ付けからろう付けに変更
1.6mmになるとかなり硬くなって、曲げは難しくなりますが、ろう付けしたことで強い力をかけても外れなくなりました。
流し込みの前にワイヤーに接着剤をつけて、裏からプラ板を貼ることで隣の枠への流れ込みは防止できました。
レジンに傷があったり凹凸があると、光を当てた時に目立つので、やっぱりヤスリで面を整えました。
あとは艶出しのコーティング用レジンを塗って出来上がり。

次に厚みとなるサイドのステンレス板を、電源コードの出口を作るために一部カット。

ステンドグラス面にろう付け。
ろう付けする部分のレジンは一旦外しました。
ろう付けが終わったら外してたレジンをハメ込み、サイドの内側にテープ状のLEDを両面接着。
壁掛け用の三角カンをつけた背面パネルをろう付けして完成です。


着想から試行錯誤、2回の完全やり直しを経て、9ヶ月もかかってしまいました。
持論では、初めて作ったものは3個目でやっと形になると思ってるので、1個目のこれは完成度という点ではまだまだ、まだまだです。
何しろレジンもまだ素人ですから。
コストを無視するなら、本物のステンドグラスを勉強して作った方が早くできたかなと思います。